宇宙の粒子シミュレーションなど、予測困難な事象の分析に用いられる予測モデル「システムダイナミックスモデリング」について解説する。
経済や社会、物理学など多岐にわたる分野の複雑な問題を解決するために、人間はさまざまな種類の予測モデルを活用してきた。一方で、相互作用の結果が複雑過ぎるあまり、コンピュータでは予測が難しい事象も存在する。このような事象の解明に用いられるのが「システムダイナミックスモデリング」(SDM)だ。その仕組みや活用方法を解説する。
イデアル(環論)数学の世界では、独立した関数で世界を記述できると考える。つまり、世界の事象を線形的に扱えるという考え方だ。一方で、非線形システムでは、ある変数の値を変えると、その相互作用で別の変数も変化する。
コンピュータを用いれば、差分方程式を用いて非線形システムを数値的に解くことが可能だ。差分方程式では、離散数学を用いて特定の解を見つけ、その解の集合を構築する。
このようなシステムの簡単な例として、「捕食者と被食者のシミュレーション」がある。草食動物がいると仮定して、餌となる草木がなくなるまで個体数は増加する。草木がなくなった場合は、草木が回復するまで草食動物の個体数は減少する。もしここに、捕食者である肉食動物が加わったらどうだろう。草木や草食動物、肉食動物の数の推移は非線形になり、予測困難かつ混沌とした状況が生じる。この方程式は「リアプノフ方程式」と呼ばれ、さまざまな経済モデルや流体力学、気体力学の方程式を記述する際に用いられる。
このように予測が事実上不可能な事象である「カオスシステム」の研究手法として、「システムダイナミックモデリング」(SDM)がある。SDMは、離散事象シミュレーションと数値メソッドに基づき、システム内の各構成要素の振る舞いを決定する。
宇宙の謎を解明するための粒子シミュレーションでもSDMが使用されている。複数の星に相互作用する力に基づいて銀河全体の挙動をモデル化し、シミュレーションできる。カオスシステムはフラクタル次元と呼ばれる分数の次元を生み出し、これは反復的で再帰的な構造や新たな振る舞いと関連している。
米国TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。
「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年1月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。
Netflix、さらなる成長戦略は「アドテク自社開発」 広告主のメリットは?
Netflixは2024年第4四半期に1890万人の加入者を増加させ、広告収入を前年同期比で倍増さ...
「THE MODEL」から脱却 それでも売上高5期連続120%以上を維持する私たちがやっていること
マーケティング・セールスの生産性向上を図るため「THE MODEL」を取り入れたいと考える企...