英国の大学入学統一試験「GCE A Level」でコンピューティング科目を選択した女子生徒の数は増加を続けている。一方でSTEM科目の受験者数の推移は全て好調というわけではない。STEM科目に残る課題とは。
英国の8つの資格授与機関から成る会員制組織Joint Council for Qualifications(JCQ)は、大学入学統一試験「General Certificate of Education Advanced Level」(GCE A Level)の受験者数や成績を公開している。
2023年のGCE A Levelで、コンピュータサイエンスを扱う「コンピューティング」科目を選択した受験者数は2022年が1万5693人、2023年は1万8306人だった。そのうち女子の受験者数は2019年の1475人から徐々に増加し、2023年には2765人となった。ただし全体に占める女子生徒の割合は、十分とは言えない。
2023年にコンピューティング科目を選択した受験者数の中でB評価を得たのは全体の44.4%で、2022年の57.9%から減少した。C評価以上を獲得した受験者数の割合は2022年に76.5%だったのが65.8%へと減少した。
受験方法の変化といった要因から、好成績を修めた受験者数の割合は変化したものの、コンピューティング科目を受験した女子生徒数が増加したことは前向きに評価すべきだ。
「学生がエンジニアとしてのキャリアを積むのであれば、GCE A Levelの試験科目のうちSTEM(科学、技術、工学、数学)科目を受験するのは重要な取り組みになる」。エンジニアのキャリア形成を支援するNPO(非営利団体)EngineeringUKのディレクター、ベス・エルグッド氏はそう述べる。
コンピューティングの受験者数が2022年の1万5693人から2023年に1万8306人と16.7%増加し、全科目の中でも最も高い増加率を見せたのは心強いとエルグッド氏は評価する。それに加えて同氏は、「物理学」や「デザインとテクノロジー」といったSTEM科目の受験者数が減ったことに注意が必要だと指摘する。
コンピューティング分野の課題の一つが人材不足だ。「STEM分野に関心を持つ若者の数や多様性の促進が必要だ。2023年の結果は、取り組むべき課題がまだあることを示している」(エルグッド氏)
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