SLC、TLC、QLCの違いさえ気にならなくなる「SSD」の進化とは?AI搭載SSDは何に使えるのか【前編】

SSDを含めたストレージの分野では、AI(人工知能)技術をどのように活用できるのか。実際に登場している例を踏まえて、NAND型フラッシュメモリとAI技術を組み合わせる利点を探る。

2024年03月23日 08時15分 公開
[Jim HandyTechTarget]

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 SSDは記録媒体としてNAND型フラッシュメモリを搭載している。そのNAND型フラッシュメモリの利用や、データの管理を効率化することにAI(人工知能)技術が役立つ。

 NAND型フラッシュメモリの摩耗の管理や、ガベージコレクション(不要になったメモリ領域を開放すること)の制御は活用できる一例だ。シングルレベルセル(SLC:1つのメモリセルで1bitを保持する方式)といった各種の記録方式の管理にもAI技術が使える。実際の例も踏まえつつ、具体的な活用法を紹介しよう。

SLC、TLC、QLCの違いさえもう気にならない?

 2つの異なる種類のSSDに格納されているホットデータ(使用頻度の高いデータ)とコールドデータ(使用頻度の低いデータ)を管理するために、AI技術が使える。

 SLCのNAND型フラッシュメモリは、トリプルレベルセル(TLC:1つのメモリセルで3bitを保持する方式)や、クアッドレベルセル(QLC:1つのメモリセルで4bitを保持する方式)のNAND型フラッシュメモリよりも、データの読み書きが高速だ。だが容量当たりの単価はSLCの方が高い。AI技術を利用することで、ホットデータをSLCのメモリに保存し、コールドデータをTLCまたはQLCに移動するといった自動制御が可能になる。

 SSD用のコントローラーを手掛けるInnoGritは、ホットデータとコールドデータを管理するためのAI機能を組み込んだコントローラーを提供している。簡単なトレーニングの後、同社のコントローラーはワークロード(システムにおける作業負荷)に合わせて、ホットデータとコールドデータの配置を管理する。

 同じくSSD用のコントローラーを手掛けるDapuStorは、AI技術を利用して作業負荷を予測することで、SSDにおける読み書き速度を向上させている。同社のアルゴリズムは、SSDの作業負荷をリアルタイムで分析し、その結果を基にデータの書き込み先やI/O(入出力)を制御する。同社によると、これによってSSDのIOPS(1秒当たりのデータ入出力)向上が期待できる。

 PNY TechnologiesのSSD「LX」シリーズは、書き込み負荷の高い処理を必要とする用途に特化している。このSSDは、AI技術を活用し、NAND型フラッシュメモリの耐久性を向上させている。


 後編はマルウェア対策など別の視点から、SSDにおけるAI技術活用の可能性を探る。

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