OpenAIが提供を開始したアプリケーションストア「GPT Store」は、ChatGPTのLLM「GPT」の活用方法を大きく変える可能性がある。何ができるのか。
AI(人工知能)チャットbot「ChatGPT」を提供するOpenAIは、ChatGPTが使用している大規模言語モデル「GPT」(Generative Pre-trained Transformer)の活用方法を増やそうとしている。その一環でOpenAIは、2024年1月にアプリケーションストア「GPT Store」の提供を開始した。GPT Storeではどのようなアプリケーションの作成や利用ができるのか。
GPT Storeで企業は、ChatGPTをカスタマイズできる機能「GPTs」(GPT Builder)で独自アプリケーションを作成し、GPT Storeで公開できる。
調査会社Gartnerでアナリストを務めるアルン・チャンドラセカラン氏によると、GPT StoreはAppleやGoogleの公式アプリケーションストアに類似する。同ストアで提供するのは、OpenAIのパートナー企業やユーザー企業がGPTsを用いて開発したアプリケーションだ。
GPT Storeで提供されるアプリケーションには、プログラミングのオンライン学習サービス「Khan Academy」や、デザインツール「Canva」とChatGPTを組み合わせた「Canva GPT」などがある。米国では、アプリケーションの利用状況に応じて開発者が収益を受け取れるよう、OpenAIが収益化プログラムを提供する見通しだ。
「すぐにGPT Storeに飛び付く企業は少数派だが、徐々に利用が広がるはずだ」とチャンドラセカラン氏は予測する。今後はこれまでChatGPTのユーザーだった企業が、“オリジナルのChatGPT”を提供するベンダーになる構図ができつつある。
「GPT Storeで初期に提供されるアプリケーションは、コンシューマー向けが大半を占める」とチャンドラセカラン氏は話す。例えば、お薦めの映画を紹介するアプリケーションや、プログラミングの基本を学習できる児童向けアプリケーションなどだ。ChatGPTは汎用(はんよう)的なチャットbotだが、GPT Storeでは特定用途向けに最適化されたChatGPTも登場する見込みだという。
例えば、金融機関が業界向け機能を実装したGPTアプリケーションを開発し、他の金融機関に向けてGPT Storeで公開することができる。「GPT Storeは、専門的なアプリケーションを流通させるための効率的な仕組みになり得る」とチャンドラセカラン氏は語る。
はっきりしないのは収益化に関する詳細だ。2024年1月時点でのOpenAIの説明によれば、AppleやGoogleのようにアプリケーション配信の手数料を徴収するかどうかといった点は明らかになっていない。
GPT Storeのユーザーインタフェースを、ChatGPTの既存のユーザーインタフェースにどう統合するかも興味深い点だ。「シームレスな使用感の保証は、OpenAIにとって重要な目標だ。GPT Storeで提供されるアプリケーション数が増えるほど、既存のシンプルなレイアウトやユーザーエクスペリエンス(UX)を維持するのは難しくなる」(チャンドラセカラン氏)
後編は、法人向けのGPTs活用プラン「ChatGPT Team」について紹介する。
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