「サードパーティーCookie」が廃止になっても“あれ”を使えば大丈夫2つの試練がマーケターを直撃【後編】

GoogleはChromeのサードパーティーCookieを廃止する。既に他のブラウザでもサードパーティーCookieのブロックは始まっている。こうした変化を受けて、新しいマーケティング手法に注目が集まっている。

2024年03月22日 08時15分 公開
[Don FluckingerTechTarget]

 Googleは2024年後半までに、同社のブラウザ「Chrome」で「サードパーティーCookie」を無効にすると発表している。サードパーティーCookieとは、アクセスしたWebサイトの運営企業とは異なる企業が設定したCookieだ。Appleのブラウザ「Safari」では既に無効となっている。

 こうしたサードパーティーCookie廃止の動きは企業のマーケティング活動を変化させている。中には"ある工夫"により、サードパーティーCookie廃止の影響を軽減している企業があるという。

サードパーティーCookie廃止でも平気なのは"これ"を使っているから

 調査会社Constellation Researchのアナリストであるリズ・ミラー氏によると、サードパーティーCookieの終焉によって、ファーストパーティーデータ(自社ドメインで収集した顧客データ)を重視するテック系のベンダーやサービスにチャンスが訪れる。実際に一部の企業は、サードパーティーCookieなしでも機能するようにマーケティングのやり方を見直している。

 企業は今後、質の良いファーストパーティーデータを求めて、顧客からの問い合わせ受け付けを担う「コンタクトセンター」を頼りにする可能性がある。電話やメール、モバイルアプリケーション、ソーシャルメディアでのやりとりを参考にするためだ。コンタクトセンターには顧客との継続的な記録がある。

 AIサービスベンダーCrestaのCEOであるピン・ウー氏によると、テキストや画像などを自動生成するAI(人工知能)技術「生成AI」(ジェネレーティブAI)により、コンタクトセンターのデータから以前よりも豊富なインサイト(洞察)を得られるようになっている。同氏は生成AIの活用で、メールやオンライン広告のような単一のチャネルでは不可能な正確で包括的な顧客プロファイルを得られると考えている。

 近年のコンタクトセンターには2つの変化が起きているとウー氏は説明する。「1つ目は、会話を理解できる大規模言語モデル(LLM)の存在だ。これまでの技術では不可能だったきめ細かいレベルで会話を理解できる。2つ目は、サードパーティーCookieの廃止により、現状のアドテクノロジー(広告技術)の大半が使えなくなることだ」

 ウー氏は続けて次のように警告する。「オンライン広告キャンペーンはサードパーティーCookieにまだ依存しており、技術の切り替えを先延ばしにしてきたマーケターは今、サードパーティーCookie終焉後の世界がどのようなものになるかを初めて体験する」

 今後、オンラインの広告キャンペーンは効果が弱まり、支出の結果が芳しくなくなり、リターゲティング広告(Webサイトに来訪したユーザーへ広告を表示させることができるWeb広告)は失敗するようになるのだろうか。「GoogleがサードパーティーCookieをブロックするのはまだ一部のChromeユーザーにとどまるが、今後どのように状況が変化するのか観察する必要がある」とミラー氏は述べる。

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