SSDのパフォーマンスを引き出したいならやってはいけない“あれ”SSDを上手に使う4つの方法【前編】

SSDの性能を最大限に生かしつつ、より長く使うには、SSDの特性を理解した運用をしなければならない。SSDの運用における2つのベストプラクティスを紹介する。

2024年04月03日 05時00分 公開
[Jim HandyTechTarget]

関連キーワード

SSD | 半導体ストレージ | 運用管理


 SSDはHDDと比べて、データ読み書きが高速なことが特徴だ。ただし単にHDDをSSDに置き換えただけでは、SSDの実力を最大限に引き出すことはできない。実はSSDには、データ読み書き速度などのパフォーマンスを向上させる上で「やるべきこと」と、むしろ「“やってはいけない”こと」があることを、SSDユーザーは理解する必要がある。

SSDで“やってはいけない”こととは? まずは基礎を確認

 インタフェース規格としてSATA(Serial ATA)を採用するなど、従来技術で構成されたSSDは、内部コントローラーによってデータを管理する必要がある。この作業には克服すべき複雑さがある。

 フラッシュメモリへの書き込みは簡単ではない。データは消去された領域にしか書き込めない、つまりそのブロック内のデータを消去しなければ、古いデータを上書きできないからだ。種類にもよるが、フラッシュメモリは一定回数以上の書き込みで消耗する。

 SSDコントローラーは、書き込む前にデータを消去する動作と、書き込み回数に上限があるという2つの欠点による影響を、ホストOSに及ぼさないように抑えることができる。こうした「隠す技術」はデータのやりとりを複雑にするため、SSDコントローラーの設計者にとっては厄介な仕組みだ。一方でSSDユーザーがフラッシュメモリのこうした性質を知らなければ、SSDの挙動を監視できず、予期しないタイミングで書き込みエラーなどの問題に遭遇する恐れがある。このような問題を防ぎ、適切なSSD管理をするには何が重要なのか。SSD管理のベストプラクティス4つのうち、1つ目と2つ目を取り上げる。

ベストプラクティス1.容量に余裕を持たせる

 SSDの空き容量が少なくなると、データの読み書き速度が遅くなる可能性がある。

 新品のSSDと、ある程度の期間大量のデータを書き込んだSSDは、表示上の空き容量が同じでも、実態は異なる。その違いを把握するには、SSD内部の状態を表す「S.M.A.R.T.(Self-Monitoring, Analysis and Reporting Technology)属性」を調査することが必要だ。

 SSD内部の状況はどうなっているのか。どれくらい消耗しているのか。オーバープロビジョニング(SSDの実際の物理容量に対して、OSやホストマシンに提示する論理容量を少なくする動作)で確保した余剰領域の残量はどの程度か――。S.M.A.R.T.属性を理解すれば、これらの疑問に対する答えが見えてくる。

 S.M.A.R.T.属性の具体的な構成やフォーマットについて、業界で統一された標準はなく、ほとんどのSSDベンダーが独自の構成やフォーマットを用いている。これらを監視することで、システム管理者はSSDの消耗やオーバープロビジョニングに関する情報を得られる場合がほとんどだ。ただしS.M.A.R.T.属性には標準規格がないため、管理を複雑にしないようにするという観点で、複数ベンダーのSSDを同時に使用することはあまり好ましくない。

ベストプラクティス2.SSDをリアルタイム処理が必要なシステムの重要構成要素にしない

 不要なデータを削除して空き容量を増やす「ガベージコレクション」は、完了するまでSSDをハングアップさせる可能性がある、時間のかかるプロセスだ。最悪の場合、この遅延は数秒に及ぶことがある。そのためリアルタイム処理が必要なルーティンは、SSDの遅延で処理が妨げられるシステム構成にすべきではない。

 データを書き込めるページをコントローラーが探し出し、そのページにデータを書き込むことは難しくない。だがSSDの空き容量が少ない場合は、その限りではない。利用可能な空きページが足りない場合もある。その場合はガベージコレクションによって空き領域を確保することになるが、ガベージコレクションによる遅延の元になる。


 次回は、3つ目と4つ目のベストプラクティスを紹介する。

TechTarget発 先取りITトレンド

米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

隴�スー騾ケツ€郢晏ク厥。郢ァ�、郢晏現�ス郢晢スシ郢昜サ」�ス

製品資料 プリサイスリー・ソフトウェア株式会社

データソート性能向上でここまで変わる、メインフレームのシステム効率アップ術

メインフレームにおけるデータソート処理は、システム効率に大きく影響する。そこで、z/OSシステムおよびIBM Zメインフレーム上で稼働する、高パフォーマンスのソート/コピー/結合ソリューションを紹介する。

事例 INFINIDAT JAPAN合同会社

従来ストレージの約8倍の容量を確保、エルテックスが採用したストレージとは

ECと通販システムを統合したパッケージの開発と導入を事業の柱とするエルテックスでは、事業の成長に伴いデータの容量を拡大する必要に迫られていた。そこでストレージを刷新してコスト削減や可用性の向上などさまざまな成果を得たという。

製品資料 日本ヒューレット・パッカード合同会社

空冷だけではなぜ不十分? データセンターの熱負荷対策をどうする

CPUやGPUの性能向上に伴い、データセンターでは今、発熱量の増加にどう対応するかが課題となっている。特に高密度なサーバ環境では、従来のファンやヒートシンクに頼るだけでは熱管理が難しい。こうした中、企業が採用すべき手段とは?

比較資料 アイティメディア広告企画

ユーザーレビューで徹底比較、オンラインストレージ選定ガイド【2025年冬版】

オンラインストレージは幅広い用途で利用されるだけに、市場に提供される製品も多数に上る。最適なサービスを選定するための基礎知識を解説するとともに、ユーザーレビューから分かったサービスの違いを明らかにする。

製品資料 Dropbox Japan株式会社

ファイルサーバをアウトソーシング、「クラウドストレージサービス」の実力

中堅・中小企業の中には、IT担当者が社内に1~3人しかいないという企業も少なくない。そのような状況でも幅広い業務に対応しなければならないIT担当者の負担を減らす上では、ファイルサーバをアウトソーシングすることも有効だ。

郢晏生ホヲ郢敖€郢晢スシ郢ァ�ウ郢晢スウ郢晢ソスホヲ郢晢ソスPR

From Informa TechTarget

お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。

郢ァ�「郢ァ�ッ郢ァ�サ郢ァ�ケ郢晢スゥ郢晢スウ郢ァ�ュ郢晢スウ郢ァ�ー

2025/04/17 UPDATE

  1. 邵イ譬猶v6邵イ髦ェ�定崕�ゥ騾包スィ邵コ蜷カ�狗クコ�ェ郢ァ蟲ィ��ケァ蠕娯味邵コ莉」�ス驕擾ス・邵コ�」邵コ�ヲ邵コ鄙ォ窶ウ邵コ貅假シ樒ケァ�ウ郢晄ァュホヲ郢晏ウィホ懃ケァ�ケ郢晢ソス
  2. 邵イ遯欷S Outposts邵イ髦ェ�ス5G郢ァ蛛オ竊千クコ�ス�、蟲ィ竏エ郢ァ荵晢ソス邵コ蜈キ�シ�ス
  3. 邵イ蠕後Ο郢晢ソス繝ィ郢晢スッ郢晢スシ郢ァ�ッ邵コ�ョ鬮ア�「騾具スス邵コ霈板€髦ェ�堤クコ�ゥ邵コ�ス�シ譏エ竏エ郢ァ蜈キ�シ貅伉€ツ€陷磯メ�シ�ゥ郢ァ�ィ郢晢スウ郢ァ�ク郢昜ケ昴>邵コ�ョ隴趣スョ陷ソ鬆托スエ�サ陷崎シ披�邵コ�ッ
  4. Windows 11邵コ�ァ邵イ蠕後Ο郢晢ソス繝ィ郢晢スッ郢晢スシ郢ァ�ッ邵コ遒�€豕鯉ソス郢ァ蠕鯉ス狗クイ髦ェ�ス邵コ�ッ遯カ諛岩旺邵コ�ョ郢晢ソス繝ー郢ァ�、郢ァ�ケ遯カ譏エ窶イ陷エ貅キ螻擾ソス�ス
  5. 鬨セ螢サ�ソ�。郢ァ�、郢晢スウ郢晁シ釆帷ケァ雋橸スシ�キ陋ケ謔カ笘�ケァ荵昶�郢ァ�ス4G邵コ�ァ郢ァ�ス5G邵コ�ァ郢ァ繧��邵コ荳環€迹夲ス。蟶カ蠑碁ィセ螢サ�ソ�。邵イ謳セ�シ貅伉€ツ€邵コ譏エ�ス髫ェ�ウ邵コ�ィ邵コ�ッ
  6. 邵イ譬猶v6邵イ髦ェ竏育クコ�ョ驕假スサ髯ヲ蠕娯€イ陟「�ス�ヲ竏壺�邵コ�ョ邵コ�ッ邵コ�ェ邵コ諛カ�シ貅伉€ツ€邵イ譬猶v4邵イ髦ェ�ス闖エ霈披€イ鬯ァ�ス蟯シ邵コ�ェ邵コ�ョ邵コ蜈キ�シ�ス
  7. SNS邵コ�ョ邵イ蠕後Ο郢晢ソス繝ィ郢晢スッ郢晢スシ郢ァ�ッ郢ァ�ィ郢晢スウ郢ァ�ク郢昜ケ昴>郢晢スェ郢晢スウ郢ァ�ー郢ァ雋橸ソス邵コ�ウ郢ァ�ッ郢晢スシ郢晢スォ邵コ�ォ邵イ蝓シツー陷崎シ披€イ邵イ竏晢スョ貅假ソス陋サ�ス�ョ貅倪�騾�ソス鄂ー
  8. 邵イ蠕鯉ソス郢晢スゥ郢ァ�、郢晏生�ス郢晢ソス5G邵イ髦ェ�堤ケ晢スヲ郢晢スシ郢ァ�カ郢晢スシ邵コ遒≫�邵コ�ー邵コ�ェ邵コ�ス謔ス陟冶侭�ス騾�ソス鄂ー
  9. 邵イ驛。NMP邵イ髦ェ竊堤クイ蜊ヲelemetry邵イ髦ェ�ス闖エ霈披€イ鬩戊シ披鴬�ス貅伉€ツ€闖エ�ソ邵コ�ス�ス邵コ莉」�ス郢晄亢縺�ケ晢スウ郢晏現竊堤クコ�ッ
  10. 邵イ逾 ̄N郢晏干ホ溽ケ晏現縺慕ケ晢スォ邵イ�ス5驕橸スョ邵コ�ョ鬩戊シ費シ樒クイツ€邵コ繧�ソス陞ウ螟ょ�邵コ荵晢ス臥ェカ諞コ�ォ蛟ャツ€谺クPN遯カ譏エ�ス隴�スー隰堋€髯ヲ阮吮穐邵コ�ァ

SSDのパフォーマンスを引き出したいならやってはいけない“あれ”:SSDを上手に使う4つの方法【前編】 - TechTargetジャパン サーバ&ストレージ 隴�スー騾ケツ€髫ェ蛟�スコ�ス

TechTarget郢ァ�ク郢晢ス」郢昜サ」ホヲ 隴�スー騾ケツ€髫ェ蛟�スコ�ス

ITmedia マーケティング新着記事

news026.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...

news130.jpg

Cookieを超える「マルチリターゲティング」 広告効果に及ぼす影響は?
Cookieレスの課題解決の鍵となる「マルチリターゲティング」を題材に、AI技術によるROI向...

news040.png

「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。