「Apple Pay」が使われる理由と、使いたくない企業の言い分「Apple Pay」導入を考えるときのヒント【前編】

決済手段としてAppleの「Apple Pay」が台頭しつつある。Apple Payのメリットとデメリットの他、小売業者がApple Payを導入するには何を準備する必要があるのかを説明する。

2024年05月02日 07時00分 公開
[Katie FentonTechTarget]

関連キーワード

Apple | iPhone | Apple Watch | POS | モバイル端末


 Appleはモバイル決済サービスの「Apple Pay」を提供している。買い物客のためにさまざまな決済手段を用意したいと考える企業や事業者にとって、Apple Payはその手段の一つとなる。

 消費者はクレジットカード情報をApple Payに保存しておけば、自分の「iPhone」や「iPad」「Apple Watch」といったApple製のモバイル端末で、「NFC」(近距離無線通信)を使った非接触型決済(決済端末に端末やカードをかざす決済方法)ができるようになる。

 ユーザー企業がApple Payを導入する手順は複雑なものではない。決済方法としてApple Payを追加するかどうかを検討するに当たり、Apple Payのメリットとデメリットの他、導入には何が必要なのかを押さえておこう。

「Apple Pay」のメリットと、それでも使いたくない企業の言い分

会員登録(無料)が必要です

 小売業者の全てがApple Payを利用しているわけではない。例えば米国の小売大手Walmartは、自社のデジタルウォレット「Walmart Pay」以外のモバイル決済サービスを利用できないようにしている。Walmartはこうすることで、消費者に自社のデジタルウォレットとモバイルアプリケーションの使用を促すことを狙っている。一方で小規模な小売業者がApple Payなどの非接触決済手段の導入に消極的になる理由の一として、決済用端末の導入コストの高さや、導入作業の難しさが挙げられる。

 Apple Payの導入手順そのものは単純だ。しかし導入するためには決済用端末や決済用ソフトウェア、インターネット接続が可能なネットワークが必要だ。これらを所持していなければ、新たに調達する必要がある。基本的に非接触決済を店舗で利用可能にするには、POS(販売時点情報管理端末)とNFC通信機能が必要だ。企業のIT担当者はApple Payが自社の決済処理システムと連携できることを確認し、セキュリティ要件を満たすための措置を講じる必要がある。そのため導入を決める前に、Apple Payが自社に合っていることを確認しなければならない。

 米国ではさまざまな小売業者がApple Payを決済方法として導入している。しかしApple Payを採用するメリットは、普及状況だけではない。Apple Payには、カスタマーエクスペリエンスの強化やセキュリティの向上、設定方法の手頃さなど複数のメリットがある。

モバイル決済でカスタマーエクスペリエンスを強化する

 非接触決済を利用すれば、スムーズで効率的な支払いができる。消費者であるエンドユーザーがApple Payを設定するには、iPhoneやApple WatchなどのApple製端末で「ウォレット」というアプリケーションを開き、使用したいクレジットカードやデビットカード、プリペイドカードの情報を追加すればよい。エンドユーザーはオンラインでも実店舗でも、Apple Payが利用可能な事業者であれば決済ができる。

 店頭で品物を購入する場合、エンドユーザーは自分の端末でウォレットを開いて使用したいカードを選択し、NFCカードリーダーに近づければ数秒で支払いが完了する。オンライン決済やアプリケーション内決済の場合は、支払い方法にApple Payを選択して使用したいカードを選び、取引を確認する。Apple Payが利用できれば、エンドユーザーは財布を持ち歩く必要がなくなる。

 エンドユーザーにApple Payが選ばれる理由は利便性にある。小売業者がApple Payを導入すれば、顧客に手軽な決済方法を提供できる。


 Apple Payを採用するメリットは「顧客の利便性」だけではない。Apple Payを利用するセキュリティ面でのメリットや、小売業者の利用時に掛かるコストを詳しく説明する。

TechTarget発 先取りITトレンド

米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

新着ホワイトペーパー

事例 Jamf Japan 合同会社

BYOD時代のIT統制強化術、事例で学ぶ安全なAppleデバイス管理

ソフトバンクロボティクスでは、働き方の変化や海外拠点の増加に対応する中で、ゼロトラストセキュリティを前提としたグローバルレベルのIT統制が必要となった。Appleデバイスを業務利用する同社は、どのようなアプローチを採用したのか。

プレミアムコンテンツ アイティメディア株式会社

iPhoneやAndroidスマホを「ノートPC」に変える方法

スマートフォンの進化により、「ノートPCとの2台持ち」の必要性は薄れつつある。スマートフォンをノートPCとして使うための便利な方法を解説する。

プレミアムコンテンツ アイティメディア株式会社

「在宅ワークに飽きた」を解消する“激推しガジェット”はこれだ

テレワークの普及に伴い、スムーズな仕事を実現するだけではなく、ギークの知的好奇心さえも満たすガジェットが充実している。ギークが他のギークに“激推し”したくなるガジェットを紹介しよう。

プレミアムコンテンツ アイティメディア株式会社

「Galaxy S24」が予感させる“AIスマホ時代の始まり”

AI(人工知能)技術の活用が広がる中で、スマートフォンの利用はどう変わろうとしているのか。Samsung Electronicsが発表したスマートフォン新シリーズ「Galaxy S24」を例にして、“AIスマホ”の特徴を紹介する。

プレミアムコンテンツ アイティメディア株式会社

iOSを危険にさらす新手口 ユーザーを脅かす「機内モード」の“わな”とは?

ネットワークからデバイスを遮断する「機内モード」。それを悪用する攻撃が見つかった。「iOS」搭載デバイスを狙うその手口と危険性とは。

From Informa TechTarget

お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。

ITmedia マーケティング新着記事

news026.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...

news130.jpg

Cookieを超える「マルチリターゲティング」 広告効果に及ぼす影響は?
Cookieレスの課題解決の鍵となる「マルチリターゲティング」を題材に、AI技術によるROI向...

news040.png

「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。