オフィス向けのテレビ会議システムである「Microsoft Teams Rooms」と「Zoom Rooms」。いずれもソフトウェアと、会議室に設置するハードウェアを組み合わせたものだ。それぞれの機能を確認しよう。
専用ハードウェアを用いて映像と音声をやりとりするテレビ会議システムは、同僚やパートナー企業、顧客とのコラボレーションをするためのツールとして使われている。企業が従業員に対し、オフィスでの勤務もしくはハイブリッドワーク(テレワークとオフィスワークの組み合わせ)を求めるようになったことで、オフィスにいる従業員とテレワーカーの両方が会議に参加できる環境づくりが重要になった。そうした中で、テレビ会議システムの重要性はますます高まっている。
さまざまなベンダーが、オフィスの会議室でもWeb会議を実施できるテレビ会議システムを提供している。本稿はその中から、Microsoftの「Microsoft Teams Rooms」(以下、Teams Rooms)とZoom Video Communications(以下、Zoom)の「Zoom Rooms」の違いを比較する。
PCにインストールして使うソフトウェア版の「Microsoft Teams」とは異なり、Teams Roomsはハードウェアとソフトウェアから成る、複数人が使用可能なテレビ会議システムだ。Microsoftのソフトウェアと、Dell TechnologiesやPoly(2022年にHPが買収完了)、Lenovoなどさまざまなベンダーのハードウェアを組み合わせている。最大5人程度の小規模会議室向け、最大11人程度の中規模会議室向け、18人以上の大規模会議室向けという3つのカテゴリーがある。
Teams Roomsのハードウェアはネットワークに接続し、Microsoftのサブスクリプションサービス「Microsoft 365」と連携している。エンドユーザーは、TeamsかMicrosoftのメールクライアント「Microsoft Outlook」を使い、会議室を予約可能だ。会議室に備え付けられた専用のタッチスクリーンを操作し、会議を開始したり、映像やコンテンツ共有画面のレイアウトをカスタマイズしたりできる。会議室には1台以上の高解像度カメラとマイクを配置し、会議参加者に音声と映像を配信する。
Microsoftは、2種類のTeams Roomsのライセンスを提供している。1つ目の「Microsoft Teams Rooms Basic」(以下、Teams Rooms Basic)ライセンスは、Teams Roomsのハードウェアを購入した企業に無料で付与される。ユーザー企業は、1社当たり最大25室でTeams Roomsを利用でき、デバイスを1回タッチするだけで会議に参加したり、無線通信によるコンテンツ共有などのリアルタイムコラボレーション機能を利用したりすることが可能だ。
2つ目の「Microsoft Teams Rooms Pro」(以下、Teams Rooms Pro)ライセンスは、26室以上の会議室がある大企業向けだ。このライセンスでTeams Roomsを利用する場合、Teams Roomsのハードウェアごとに年間のサブスクリプション料金がかかる。Teams Rooms Proライセンスは、Teams Rooms Basicで利用可能な機能に加え、以下の機能を提供する。
Teams Rooms Proの年間サブスクリプション料金は、会議室1室当たり月額5997円となっている(2024年4月時点)。
Zoom Roomsは、Teams Roomsと同様、小規模から大規模までの会議室に適したサードパーティー製のハードウェアをそろえている。ハードウェアを提供するサードパーティーとしてはLogitech、Poly、Yealink Network Technologyなどがある。加えてZoomは、ユーザー企業がハードウェアを購入する代わりにレンタルできるサービス「Zoom Rooms Hardware as a Service」を用意している。
Teams Roomsのように、Microsoft Outlookなどさまざまなアプリケーションによるリモート会議予約、ワンタッチでの会議参加、ワイヤレスでのコンテンツ共有、ホワイトボードなどの機能も提供する。Teams Roomsとは異なり、Zoom Roomsのライセンスは1種類のみだ。料金は会議室1室当たり月額6600円、年額は6万7100円となっている(2024年4月時点)。
後編は、Teams RoomsとZoom Roomsを選定する際のポイントを解説する。
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