会議室“据え置き”ツール「Microsoft Teams Rooms」「Zoom Rooms」の違い2大テレビ会議システムを比較【前編】

オフィス向けのテレビ会議システムである「Microsoft Teams Rooms」と「Zoom Rooms」。いずれもソフトウェアと、会議室に設置するハードウェアを組み合わせたものだ。それぞれの機能を確認しよう。

2024年05月02日 05時00分 公開
[Andrew FroehlichTechTarget]

 専用ハードウェアを用いて映像と音声をやりとりするテレビ会議システムは、同僚やパートナー企業、顧客とのコラボレーションをするためのツールとして使われている。企業が従業員に対し、オフィスでの勤務もしくはハイブリッドワーク(テレワークとオフィスワークの組み合わせ)を求めるようになったことで、オフィスにいる従業員とテレワーカーの両方が会議に参加できる環境づくりが重要になった。そうした中で、テレビ会議システムの重要性はますます高まっている。

 さまざまなベンダーが、オフィスの会議室でもWeb会議を実施できるテレビ会議システムを提供している。本稿はその中から、Microsoftの「Microsoft Teams Rooms」(以下、Teams Rooms)とZoom Video Communications(以下、Zoom)の「Zoom Rooms」の違いを比較する。

「Microsoft Teams Rooms」と「Zoom Rooms」の違いとは?

Microsoft Teams Rooms

 PCにインストールして使うソフトウェア版の「Microsoft Teams」とは異なり、Teams Roomsはハードウェアとソフトウェアから成る、複数人が使用可能なテレビ会議システムだ。Microsoftのソフトウェアと、Dell TechnologiesやPoly(2022年にHPが買収完了)、Lenovoなどさまざまなベンダーのハードウェアを組み合わせている。最大5人程度の小規模会議室向け、最大11人程度の中規模会議室向け、18人以上の大規模会議室向けという3つのカテゴリーがある。

 Teams Roomsのハードウェアはネットワークに接続し、Microsoftのサブスクリプションサービス「Microsoft 365」と連携している。エンドユーザーは、TeamsかMicrosoftのメールクライアント「Microsoft Outlook」を使い、会議室を予約可能だ。会議室に備え付けられた専用のタッチスクリーンを操作し、会議を開始したり、映像やコンテンツ共有画面のレイアウトをカスタマイズしたりできる。会議室には1台以上の高解像度カメラとマイクを配置し、会議参加者に音声と映像を配信する。

 Microsoftは、2種類のTeams Roomsのライセンスを提供している。1つ目の「Microsoft Teams Rooms Basic」(以下、Teams Rooms Basic)ライセンスは、Teams Roomsのハードウェアを購入した企業に無料で付与される。ユーザー企業は、1社当たり最大25室でTeams Roomsを利用でき、デバイスを1回タッチするだけで会議に参加したり、無線通信によるコンテンツ共有などのリアルタイムコラボレーション機能を利用したりすることが可能だ。

 2つ目の「Microsoft Teams Rooms Pro」(以下、Teams Rooms Pro)ライセンスは、26室以上の会議室がある大企業向けだ。このライセンスでTeams Roomsを利用する場合、Teams Roomsのハードウェアごとに年間のサブスクリプション料金がかかる。Teams Rooms Proライセンスは、Teams Rooms Basicで利用可能な機能に加え、以下の機能を提供する。

  • 会議の映像を2台のディスプレイに分割して表示できる機能
  • 会議室のホワイトボードの内容をキャプチャーし、共有できる機能
  • 参加者の発言をリアルタイムで文字起こしできる機能
  • クラウド電話システム「Microsoft Teams電話」と連携し、発信と受信ができる機能
  • 会議室レイアウトの詳細なカスタマイズ機能追加
  • 高度なセキュリティ機能
  • AI(人工知能)技術を活用したトラブルシューティング機能

 Teams Rooms Proの年間サブスクリプション料金は、会議室1室当たり月額5997円となっている(2024年4月時点)。

Zoom Rooms

 Zoom Roomsは、Teams Roomsと同様、小規模から大規模までの会議室に適したサードパーティー製のハードウェアをそろえている。ハードウェアを提供するサードパーティーとしてはLogitech、Poly、Yealink Network Technologyなどがある。加えてZoomは、ユーザー企業がハードウェアを購入する代わりにレンタルできるサービス「Zoom Rooms Hardware as a Service」を用意している。

 Teams Roomsのように、Microsoft Outlookなどさまざまなアプリケーションによるリモート会議予約、ワンタッチでの会議参加、ワイヤレスでのコンテンツ共有、ホワイトボードなどの機能も提供する。Teams Roomsとは異なり、Zoom Roomsのライセンスは1種類のみだ。料金は会議室1室当たり月額6600円、年額は6万7100円となっている(2024年4月時点)。


 後編は、Teams RoomsとZoom Roomsを選定する際のポイントを解説する。

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