「テープ」の古き良き利点と、予想だにしなかった進化とは?激変するテープの今とこれから【前編】

過去には「終わり」を告げられたことがあるテープは、まだまだ健在だ。テープが企業向けのストレージとして古びない理由と、新たな進化を考える。

2024年05月13日 08時00分 公開
[Adam ArmstrongTechTarget]

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管理者 | インフラ | ストレージ


 「テープ」は、基本的にはアクセス頻度の低いデータを保存するアーカイブ向けのストレージとして使われてきた。昨今は、企業におけるデータ活用が広がるのと同時に、ストレージの技術が進化している。テープの競合となるストレージが多様化し、その一方ではテープの使い方に変化が見られる。テープの利点を踏まえて、テープがどう進化し、これからどうなるのかを考える。

「テープ」のいまさら聞けない利点と、その新たな進化とは?

 テープは、エネルギー消費量やコストの低さといった点において定評があるストレージだ。テープの利用はアーカイブ用途で広がってきた。コンサルティング会社Dragon Slayer Consultingプレジデントのマーク・ステイマー氏によると、大容量データを低コストで長期保存するニーズは高まりつつある。「テープを使ったアーカイブはデータ損失によるさまざまなビジネスリスクを回避しやすい」とステイマー氏は語る。

 一方で、人工知能(AI)技術が台頭するなどデータ活用が広がる状況を受けて、保存しているデータに迅速にアクセスできる特性も重要になりつつある。これはテープの終焉(しゅうえん)を告げるわけではない。テープは“古き良き”技術であるとともに、近年、さまざまな進化を遂げてきた。「テープは常時利用するデータのストレージとしても活用できる」。そう指摘するのは、米TechTargetの調査部門Enterprise Strategy Group(ESG)アナリスト、クリストフ・バートランド氏だ。

 磁気テープは1950年代に登場して以来、さまざまな組織がストレージとして採用してきた。HDDやSDDといった他のストレージと併せて、テープは企業のデータ保管を支えるストレージの一つとなっている。2024年現在は、企業が利用するテープには「LTO」(リニアテープオープン)と、「IBM 3592」という種類がある。IBMが提供するテープ製品はデータ容量が圧縮時で150TBまで増えている。

 テープはさまざまな進化の一つとして、データをオブジェクト(メタデータを含むデータの単位)で保存できるようになった。ストレージベンダーSpectra Logicのシニアディレクター、マット・ナインスリング氏は、「テープは時代のニーズをくみ取る適応性があることを証明し続けている」と指摘する。


 中編は、テープと光ディスクの“共存”を考える。

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