MicrosoftのサーバOSの次期バージョン「Windows Server 2025」には、複数の新機能が加えられる。特に関心が集まっている3つの変更点をまとめた。
MicrosoftのサーバOS「Windows Server」の次期バージョン「Windows Server 2025」には、従来にはなかった目新しい機能や特徴が加わる。Windows Server 2025の一般提供は2024年の後半には開始になるとみられる。
Windows Serverを使用してきたIT管理者であれば、Windows Server 2025を違和感なく扱えるはずだ。それでも一部は大幅に変わる可能性があるので、特に目立った変更になりそうな3つのポイントを確認しておこう。
大きな変化の一つは、サブスクリプションベースの従量課金によるライセンス体系が取り入れられる点だ。ただしMicrosoftは、全てのWindows Serverユーザーにサブスクリプションを強制するわけではない。同社は5年間のメインストリームサポート(新バージョン発売後の初期のサポート)と5年間の延長サポートを含む永久ライセンスを維持する方針だ。
サブスクリプションが加わることで、必要に応じてサーバのリソースを利用することが可能になる。例えばEコマース(EC:電子商取引)のアプリケーションを手掛ける企業があるとする。その企業は需要が増加する年末年始に備えて、従量課金制のライセンスを利用して一時的にサーバを用意できるようになる。期間限定で必要になるサーバのために大規模に投資することを避けつつ、コストを抑制してサーバを用意することが可能だ。
Windows Server 2025の従量課金のライセンスを利用するには、オンプレミスのシステムやクラウドサービスを一元管理するためのツール群「Azure Arc」の利用が必要になる。料金はMicrosoftのクラウドサービス群「Microsoft Azure」を通じて請求される。
Windows Server 2025に関して特に注目を集めるのは、「ホットパッチ」という機能だ。ホットパッチにより、管理者はシステム再起動をすることなしにセキュリティ更新プログラムを適用できる。通常、システムファイルを変更するときには再起動が必要になる。
従来は、「Windows Server 2022」のエディションの一つである「Windows Server 2022 Datacenter」でのみホットパッチの利用ができた。Windows Server 2025では「Standard」および「Datacenter」のエディションでもホットパッチを利用可能になる。
ホットパッチは、Azure Arcや、ソフトウェアのアップグレード保証サービスである「ソフトウェアアシュアランス」(SA)とセットで利用することになる。そのための契約が必要になるものの、Webでは「追加コストを支払ってでもホットパッチを利用したい」といった肯定的な意見が目立つ。
ホットパッチ利用で、ピークではない時間帯を待たずに迅速にパッチ(更新プログラム)を適用することが可能になる。この機能を利用できれば、企業は自社のパッチ管理方針を見直せるようになる。
Windows Server 2025では、ストレージ関連の複数の機能が改善される見込みだ。特に、ストレージインタフェース規格「NVMe」(Non-Volatile Memory Express)を使用するサーバでは、IOPS(1秒当たりの入出力)のパフォーマンスが大幅に向上する可能性がある。
Windows Server 2025は、NVMeをイーサネットやファイバーチャネルに拡張する仕組みである「NVMe over Fabrics」(NVMe-oF)を利用可能になる。NVMe over Fabricsは、高速データ転送が特徴であり、「ストレージエリアネットワーク(SAN)の接続方法として注目を集めている。
他にもストレージ関連では、ファイルシステム「ReFS」(Resilient File System)の重複排除、通信プロトコル「TLS 1.3」の暗号化を取り入れたファイル共有プロトコル「SMB over QUIC」などが機能強化の対象になる。
後編は、ハードウェア仮想化ソフトウェア「Hyper-V」に関する変更点を中心に紹介する。
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