IT分野の人材不足がさまざまな組織において問題になっている。メインフレームもその例外ではない。ただしこの状況は、若手がメインフレームの魅力に気付くことで変わる可能性がある。
IT人材の不足という課題がさまざまな組織において顕在化している。メインフレームのスキル不足も、その例外ではない。特に若手がメインフレームにあまり関心を持っていないことは、メインフレームを扱うさまざまな企業にとって深刻な問題だ。
筆者は調査会社Freeform Dynamicsで働いている。筆者と同僚のトニー・ロック氏は、メインフレームのスキル不足の解消に取り組むベンダーBroadcomのチームと接する機会を得た。筆者とロック氏は、メインフレーム人材の育成に関するプログラムをBroadcomが提供していることに関心を持った。そこでメインフレームのスキル不足の現状や、どうすれば若手がメインフレームに興味を持てるようになるのかについて詳しく知りたいと考えたのだ。
会談に臨んですぐ、Broadcomのチームが広範囲に及ぶ現場経験を持っているだけでなく、顧客がメインフレームのスキルの土台を築くためのサポートを意欲的に提供していることが分かった。
Broadcomでカスタマーエクスペリエンスと戦略的アライアンスのグローバルバイスプレジデントを務めるヴィカース・シンハ氏は、こう話す。「メインフレームから他のシステムに乗り換える理由としてスキル不足が挙げられることは少なくない。この見方の背景にある要因について、もっと踏み込んで話をすることが重要だ」。シンハ氏によれば、企業はベテランのメインフレーム担当者が定年退職してから新たな人材を確保すればいいと考える傾向にある。「企業はメインフレームのスキル不足に対処し切れなくなるまでこの問題を放置している」と同氏は指摘する。
シンハ氏によれば、企業の最高情報責任者(CIO)は次のような見解を示すことがよくある。「メインフレームに関する経験を持った人材が見つからない場合は、老朽化したシステムに投資できる予算が制限されてしまう」。メインフレームに関するスキルの問題が意思決定と切り離せない要素であるのは事実だが、メインフレームが正真正銘の適切な選択肢であるのに、スキルの問題を理由に他のシステムを選択せざるを得ないのは望ましいとは言えない。「そうした状態から抜け出せるよう顧客に手を差し伸べる必要がある」と同氏は語る。
Broadcomのチームは、「若い世代のIT担当者がメインフレーム分野のキャリアに興味がないという見解に立ち向かわなければならない」と強調する。Broadcomで教育と顧客エンゲージメントの担当幹部を務めるローレン・ヴァレンティ氏は、大学の就職説明会で学生に手を差し伸べることに成功した経験について、次のように語る。「初めはメインフレームの重要性を認識していなかった学生が、銀行や保険、政府機関でメインフレームが果たす重要な役割を知り、メインフレームに意欲的になる例を少なからず見てきた」
シンハ氏は「アジャイル開発やDevOps(運用と開発の融合)、機械学習などは若い世代が関心を寄せるトピックだが、世界有数の企業はメインフレームを使用していることが珍しくない」と語る。これはメインフレームのスキル不足を解消するに当たっては見逃せない事実だ。「世界有数の企業と仕事をする機会があることを理解すれば、メインフレームの分野は学生にとって非常に魅力的なキャリアとして映るはずだ」と同氏は指摘する。
他の人材についてシンハ氏は次のように述べる。「セカンドキャリア(第2の人生における職業)を探す人は少なくない。このような人材は人生経験に加えて他の分野で専門家として働いた経験を持っている。セカンドキャリアを探す多くの人材にとって、IT分野への進出は興味深いキャリアになる。海外派遣からの帰還兵や子育てが一段落してキャリアを再開したい女性などについても同じことが言える」
Broadcomは新しい世代のメインフレーム担当者を育成して、顧客がスキル不足の問題に対処するのに役立つよう設計された包括的な一連のプログラムを開発している。この取り組みにおいて重要な取り組みの一つが、「Vitality Residency Program」だ。これにはメインフレームを扱える人材を育成するためのトレーニング、専門家による指導、経済的支援などが盛り込まれている。
Vitality Residency Programの取り組みの一環として、Broadcomは新しいメインフレーム担当者の採用、トレーニング、指導を提供し、新しい担当者が顧客の組織に参加するまでの間、最長12カ月にわたって支援をする。顧客はこのプログラムを利用して、既存従業員のスキルアップを図ることも、Broadcomに新しい人材の育成を依頼することもできる。
メインフレームのスキル不足は、組織にとっては手ごわい問題になりがちだ。だが積極的な投資と革新的なアプローチを採用することで、問題を先取りして危機的状況を回避できる可能性がある。
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