クラウドサービスへの投資が加速する中でメインフレームの存在感は薄れつつあったが、最新の調査では、メインフレームへの投資意欲が高まっている状況が見えた。その背景には何があるのか。
メインフレームへの投資意欲が高まっていることが、メインフレーム向けのソフトウェアベンダーBMC Softwareが実施する年次調査で明らかになった。クラウドサービスへの投資が加速する中で、メインフレームをレガシーシステムだと見なして投資を抑制する企業はあるが、それ以上にメインフレームの活用を広げる企業が多い実態が見える。メインフレームへの投資が戻ってきた背景には何があるのか。
BMC SoftwareはITおよびビジネス分野のリーダー約800人を対象にメインフレームに関する運用や投資の状況を調査し、結果を年次調査レポート「2023 BMC Mainframe Survey」でまとめた。
レポートによれば、「メインフレームで動かす新たなワークロード(アプリケーション)が増えた」と回答した割合は62%で、「メインフレームをレガシーシステムだと見なしている」という回答(32%)を大きく上回った。メインフレームで動かす新たなワークロードが増えたという回答は、2016年の同じ調査では46%だったため、以前よりメインフレームの活用が重視される傾向にあることが分かる。今回の調査では、「過去1年でメインフレームへの投資を増やした」という回答は63%だった。
BMC Softwareによれば、メインフレームを運用している組織において顕著なのは、以下2つの手法の採用が進んでいることだ。
組織がDevOpsの体制強化を重視するのは、業務の中核的なアプリケーションをビジネスの状況に応じて迅速に変更する必要性があるからだと考えられる。DevOpsを強化する過程でデータ量やデータベースの種類が増え、インフラの改善が必要になり、メインフレームへの新規投資に向かっていると推測できる。
DevOpsにおいて強化が必要な要素を尋ねる設問で、最も多かった2つの回答は「開発者体験の向上」と「開発の品質と効率の向上」だった。他には、以下が挙がった。
AIOpsの採用は、メインフレームか非メインフレームかにかかわらず進む傾向にある。特筆すべき点は、メインフレームの重要性が見直されている兆候が見えることだ。「メインフレームでAIOpsは必要ない」と回答した割合は、2年前の2021年版では41%だった。今回の2023年版ではその割合は29%へと下がっている。
企業がAIOpsを導入する主な目的は以下の通りだ。
AIOpsを導入する際は、スキルやコストの不足、システムの複雑性などが課題になりがちだが、BMC Softwareによれば、これらを課題だと捉える組織は減少する傾向にある。同社は「組織がリスクを抑制しながらシステムの回復力(レジリエンス)を高められる程度にまで、AIOpsの分野は成熟した」と指摘する。
一方、クラウドコンピューティングの導入を検討している場合の優先事項として最も多かったのは、「クラウドコンピューティングによるワークロードと、メインフレームを接続すること」だった。クラウドコンピューティングの用途として、回答者の41%が「クラウド型のストレージとバックアップ」を挙げた。
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