クラウドサービスのリソース量やコストを適切に管理するには、タグ付けを適切に実施することが不可欠だ。タグ付けによるメリットと、基本的な運用方法を説明する。
クラウドアーキテクトやクラウドエンジニアの教育やトレーニングには、重要な基本トピックの一つとしてリソースの「タグ付け」が含まれている。実際には、クラウドサービス導入の初期段階ではタグ付けがしばしば省略される傾向にあるが、Amazon Web Services(AWS)やMicrosoftなどのクラウドサービスを適切に運用管理する上で、タグ付けは重要だ。どのようなメリットがあるのか。タグ付けの運用方法と併せて解説する。
仮想マシン(VM)やストレージアカウント、データベースといったリソースを効果的に識別し、管理するための機能がタグ付けだ。リソースのタグ付けは、以下の作業に役立つ。
AWSの同名サービスや「Microsoft Azure」「Google Cloud」といった主要なクラウドサービスで、クラウドリソースへのタグ付けは重要な要素になる。リソースへのタグ付けではまず、関連するリソース情報を踏まえた、意味が明確なタグの作成から始める。明確で一貫した命名規則の確立が重要になる。
さまざまなクラウドベンダーのサービスを利用する「マルチクラウド」のインフラで統一されたタグ付けの運用を実現するためには、リソースのタグ付け戦略を綿密に計画し、文書化することが重要だ。
タグを効果的に使用するには、命名規則を確立した上で、それに従う必要がある。例えばAWSではコストセンター(コストが発生する部門やプロジェクト)に割り当てるタグは次のようになる。
このキー「CostCenter」は、特定のコストセンター「TT12345」を指す。さまざまなAWSリソースにこのタグを適用することで、関連するコストを追跡し、組織全体での正確な費用配分をしやすくする。
タグを使用して、所有または管理する部門に基づいたリソースの分類ができる。例として、エンジニアリング部門が所有するクラウドリソースには以下のタグを使用すればよい。
インフラの利用目的ごとに、リソースを区分するためのタグを付けることも可能だ。例えば、本番環境のクラウドリソースには以下のようなタグを適用する。
リソースのタグ付けの規則は、定期的に見直し、改善する必要がある。リソースのタグ付けは、組織内部からのフィードバックを取り入れて、継続的かつ反復的に改善することが重要だ。
次回は、タグ付けの命名規則を検討する際のこつを紹介する。
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