「Windows 11=がっかりOS」が定説になりかねない3つの理由Windows 11移行の要注意ガイド【第3回】

「Windows 10」のサポート終了日が迫っているとは言え、焦って「Windows 11」への移行のタイミングを見誤ってはならない。Windows 11への移行でがっかりしてしまう可能性がある問題があるからだ。それは何か。

2024年10月06日 08時00分 公開
[Brien PoseyTechTarget]

 クライアントOS「Windows 10」のサポート終了が迫る中であっても、焦って「Windows 11」への移行タイミングを見誤ってはならない。Windows 11への移行が“失敗だった”となる可能性がある、幾つかの問題があるからだ。主に3つの問題を挙げることができる。

「Windows 11にがっかり」する3つの理由はこれだ

会員登録(無料)が必要です

 Windows 11への移行では以降で紹介する問題が発生する可能性があるので、移行のタイミングや作業を慎重に検討する必要がある。

システム要件

 まず、Windows 11移行の障壁になるのはハードウェア関連のシステム要件だ。特に以下の項目が注意すべき点になる。

  • 「TPM 2.0」(TPM:Trusted Platform Module)に準拠したセキュリティモジュール
    • TPM 2.0はハードウェアベースの暗号化を提供する標準規格
  • 「UEFI」(Unified Extensible Firmware Interface)に準拠したシステムファームウェア
    • UEFIはファームウェアとOS間のインタフェースに関する標準規格
  • 「セキュアブート」の有効化
    • セキュアブートは、起動時に不正なプログラムが実行されるのを防ぐセキュリティ機能

 ハードウェア関連のシステム要件はこれだけではない。Windows 11には、

  • 64bitのCPU
  • 4GB以上のメモリ
  • 64GB以上のストレージ容量

が必要だ。Windows 10のメモリの要件は2GB以上だったため、それと比較するとWindows 11では倍増している。64bit版のWindows 10ではストレージ容量の要件は20GB以上だったため、Windows 11の最小容量はかなり大きい。これらのシステム要件は、既存のWindowsユーザーを戸惑わせる1つ目の原因になる。

 筆者は、新しいPCに切り替えると同時にWindows 11を導入したため、ハードウェア関連のシステム要件は問題にならなかった。だがWindows 10のPCからWindows 11にアップグレードしようとする場合には、上記のシステム要件が障壁になって移行できない場合がある。

ユーザーエクスペリエンス

 上記のシステム要件を満たしたとしても、Windows 10ユーザーがWindows 11への移行をためらう別の理由がある。ユーザーエクスペリエンス(UX)がその一つだ。Windows 11に移行したエンドユーザーの中には「Windows 10のUXの方が優れていた」と感じる人がいる。

 Windows 10からユーザーインタフェースが変更になった個所があることや、シングルサインオン(SSO)が使えるアカウント「Microsoftアカウント」(MSA:Microsoft account)の作成が求められることなどが、そうした評価の理由になっていると考えられる。

移行後のトラブル

 過去のWindows移行でも問題になりがちだった問題として、OS移行後に発生しがちなトラブルがある。移行後の問題としては、

  • アプリケーションやドライバの互換性がない
  • 最低限のシステム要件しか満たしていないためにシステムの動作が遅くなる

などがある。

 そうした移行に伴う問題を完全に排除することはできないため、事前にテストを実施するなどして、

  • すぐにWindows 11に移行してよいのかどうか
  • より時間をかけて移行すべきなのかどうか

などを慎重に見極める必要がある。

Windows 10サポート終了

 システム要件を満たしたハードウェアを用意しなければならないことに加えて、互換性の問題を解消するための確認作業を実施する必要があるとなれば、Windows 11への移行のタイミングは慎重に考えなければならない。

 ただしWindows 10のサポートが終了すれば無償ではセキュリティの更新プログラムを受け取れなくなるため、基本的に2025年10月14日のサポート終了までにWindows 11に移行しなければならない。互換性の問題が出ないように確認を進めつつ、移行のタイミングを慎重に見極めることが重要だ。


 次回はWindows 10とWindows 11を比較しながら、Windows 11にすぐに移行すべきなのかどうかを考える。

TechTarget発 世界のインサイト&ベストプラクティス

米国TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

新着ホワイトペーパー

事例 New Relic株式会社

保育・教育業務支援クラウド「CoDMON」がユーザー体験を向上させた方法

全国2万以上の保育/教育施設で職員の業務を支援するためのクラウドサービスを運営しているコドモン。ユーザー数の増加に伴いシステムの安定運用が課題になっていたという同社は、どのように監視体制の強化を進めたのだろうか。

事例 New Relic株式会社

オブザーバビリティ(可観測性)ツールで何ができるのか? 事例に見る導入効果

AIプラットフォーマーとしてさまざまなサービスを展開しているAI inside。同社は、サービスの安定運用を実現するために監視体制の強化に着手する。同社がどのようなツールを導入して取り組みを進めたのか、本資料で解説する。

プレミアムコンテンツ アイティメディア広告企画

「Windows 11は低スペックPCお断り」の真相

「Windows 11」は従来の「Windows」と比較して、システム要件が厳しいとの声がある。具体的には何が違うのか。そもそもWindows 11への移行に意味はあるのか。

プレミアムコンテンツ アイティメディア広告企画

「Windows 11は10とほぼ同じ」を信じてはいけない理由

「Windows 10」のサポート終了が迫る中、移行に関する幾つかのハードルや誤解からまだ「Windows 11」に移行できていない組織がある。移行を円滑に進めるために押さえておくべき点とは。

製品資料 SB C&S株式会社

マルチテナント型SaaS開発者向け:ID・アカウント管理の重要性と構築のポイント

マルチテナント型SaaSの開発・運用に当たっては、ID・アカウント管理を適切に設計・実装していくことが不可欠だ。その理由を確認しながら、ID・アカウント管理で求められる要件や構築のポイントを解説する。

アイティメディアからのお知らせ

From Informa TechTarget

「テレワークでネットが遅い」の帯域幅じゃない“真犯人”はこれだ

「テレワークでネットが遅い」の帯域幅じゃない“真犯人”はこれだ
ネットワークの問題は「帯域幅を増やせば解決する」と考えてはいないだろうか。こうした誤解をしているIT担当者は珍しくない。ネットワークを快適に利用するために、持つべき視点とは。

ITmedia マーケティング新着記事

news017.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news027.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news023.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...