HDDが壊れる「よくある原因」は衝撃でも熱でもない“あれ”HDD故障の原因と対処法【第3回】

内蔵ストレージやNASなどさまざまな用途で使われている「HDD」は、突然壊れることがある。重要なデータを失わないためには、HDDが故障する主な原因を知って運用することが欠かせない。

2024年10月05日 08時00分 公開
[Robert SheldonTechTarget]

 PCやサーバの内蔵ストレージ、ネットワーク接続ストレージ(NAS)などさまざまな用途で使われている「HDD」は、突然故障してしまうことがある。データが消えて取り返しがつかない――といった事態に陥らないためには、HDDが故障する原因を知って運用することが欠かせない。以降で紹介する、HDDの主要な故障原因に注意が必要だ。

HDDが壊れる「よくある原因」は“あれ”

会員登録(無料)が必要です

 HDDが故障する原因はさまざまで、必ずしも物理的な要因のみによって故障するわけではない。ただしHDDは非常にデリケートなデバイスであるため、物理的な扱いには注意しなければならない。よくある物理的な故障の原因は次の通りだ。

ヘッドクラッシュ

 HDDの内部に問題が発生するのはよくあることだ。一般的な障害の一つは、ヘッドクラッシュによって、プラッタ(円盤状の記録媒体)の表面が損傷し、データが損失してしまうことだ。ヘッドクラッシュとは強い衝撃がかかるなど何らかの原因によって磁気ヘッド(データ読み書きを担う部品)がプラッタに接触することを指す。ヘッドクラッシュは、

  • 物理的な衝撃がかかる
  • 製造上の欠陥
  • 電気的な故障

などが原因となって発生する可能性がある。

スティクション

 もう一つのよくある問題としては、スティクションが挙げられる。これは磁気ヘッドがプラッタの表面に張り付いてしまう現象だ。長期間の未使用が原因になることがよくある。

摩耗

 HDDの故障原因としては、通常の使用によって発生する摩耗が、最も一般的だと言える。HDDは、コンポーネントが劣化し始めるまでの一定期間しか正常に機能しない。

モーター不良

 まれなことではあるが、潤滑剤が不十分だったり、過度の熱にさらされたりすることがHDDのモーター故障の原因となる可能性がある。

プリント基板の異常

 部品の観点で見ると、問題が発生する可能性が高いのはプリント基板(PCB)だ。PCBは、電子回路を形成し、さまざまな部品を接続するための基板だ。PCBは、湿気や静電気などが原因で故障する可能性がある。

不良セクタ

 HDDには不良セクタが発生することもあり、これによってプラッタの全セクションが使用不可能になる可能性がある。セクタとは、プラッタを同心円状に分割した記録領域であるトラック内にある、データ記録領域の最小単位を指す。不良セクタの数が増加すると、データ損失やドライブの故障につながる可能性がある。


 次回は、HDDが故障する“予兆”を紹介する。

TechTarget発 世界のインサイト&ベストプラクティス

米国TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

新着ホワイトペーパー

プレミアムコンテンツ アイティメディア株式会社

HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?

SSDの大容量化や価格競争力の向上により、「SSDオンリー」という選択肢が現実味を帯びつつある。しかし、HDDが完全に不要になるとは断言できない。その理由は何か。

製品資料 JBCC株式会社

ファイルサーバのクラウド移行は今が好機か、最適な移行先を選ぶヒント

昨今は企業で扱うデータが増加傾向にある上、働き方の変化などにも対応する必要性から、オンプレミスのファイルサーバをクラウドに移行する企業が増えている。そこで、移行先を選ぶポイントやセキュリティ対策について、動画で解説する。

事例 INFINIDAT JAPAN合同会社

ECシステムのデータ急増やI/O性能低下などの問題を解消したストレージとは?

ECと通販システムを統合したパッケージの開発と導入を事業の柱とするエルテックスでは、事業の成長に伴いデータの容量を拡大する必要に迫られていた。そこでストレージを刷新してコスト削減や可用性の向上などさまざまな成果を得たという。

事例 レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ合同会社

大阪回生病院が新たな仮想化基盤となるHCIに求めた要件とは?

職員700人が利用する部門システムの刷新を決断した大阪回生病院では、運用のシンプル化に期待して、HCIの導入を検討する。同病院がHCIに求めた要件とは何か。そして、この大規模移行プロジェクトを成功裏に完了できた理由に迫る。

市場調査・トレンド プリサイスリー・ソフトウェア株式会社

クラウド戦略の障壁となるメインフレームシステム、段階的にモダナイズするには

長年にわたり強力かつ安全な基盤であり続けてきたメインフレームシステム。しかし今では、クラウド戦略におけるボトルネックとなりつつある。ボトルネックの解消に向け、メインフレームを段階的にモダナイズするアプローチを解説する。

From Informa TechTarget

お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。

ITmedia マーケティング新着記事

news040.png

「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。

news253.jpg

「AIエージェント」はデジタルマーケティングをどう高度化するのか
電通デジタルはAIを活用したマーケティングソリューションブランド「∞AI」の大型アップ...

news163.jpg

「政府」「メディア」への信頼度は日本が最低 どうしてこうなった?
「信頼」に関する年次消費者意識調査の結果から、日本においても社会的な不満・憤りが大...