HDDが故障しやすくなる「やってはいけない使い方」HDD故障の原因と対処法【第2回】

HDDが一度故障すると修復はほとんど不可能になることがあるため、まずは故障しないように使うことが欠かせない。HDDが壊れてしまう、やってはいけない使い方とは。HDDの基本を理解しておこう。

2024年09月29日 08時30分 公開
[Robert SheldonTechTarget]

 HDDは比較的低コストで大容量を保存できるストレージとして幅広い用途に使われているが、その構造上、故障しやすくなることがあるので注意が必要だ。HDDの故障リスクをできるだけ抑えて使うにはどうすればいいのか。HDDが故障しやすくなる原因を解説する。

HDDが故障しやすくなる原因はこれだ

 HDDは通常、金属製のケースに収められており、一見すると頑丈で壊れないデバイスのように見える。だが実際にはずいぶん異なるものだ。内部は、ナノメートル単位で計算された複雑なメカニズムと、さまざまな可動部品で構成されている。

 ドライブを乱暴に扱えば、その衝撃でスピンドル(円盤を回転させるための軸)、プラッタ(データを記録する円盤部分)、磁気ヘッド(データ読み書きを担う部品)などの内部コンポーネントが甚大な被害を受ける可能性がある。

 HDDは環境要因に影響されやすい。特に高温で動作しているときはこれが顕著だ。この原因は、ファンの故障や不適切な換気などの要因によって引き起こされる可能性がある。長期間にわたって温度が高過ぎる状態が続くと、回路が劣化し、素材が物理的に侵食される可能性がある。

 地震、竜巻、洪水、火災などの自然災害でも、HDDのコンポーネントが損傷することがある。長期間にわたる過度な振動や電気的な障害もHDD故障につながる可能性がある。

 物理的に損傷したHDDからは、さまざまな症状が発現する可能性がある。例えば、HDDに触れると熱く感じたり、カチカチという音がしたりする場合、どちらもオーバーヒートになっている可能性がある。

 冷却ファンの動きが遅いことも、潜在的なオーバーヒートを示唆している。一方で、システムのBIOS(Basic Input/Output System)がHDDを検出できない場合や、ドライブが全く起動しない場合は、どちらも電力サージが原因である可能性がある。電力サージとは、通常の電圧よりも高い電力が一瞬の間に電気回路を流れる現象を指す。

 外部の影響からHDDを保護するために、まずは

  • HDDを物理的にどのように扱うべきか
  • 環境要因によるリスクを最小限に抑えるためにどのような手順を踏んだらよいのか

などに関するガイドラインを策定する必要がある。そのガイドラインには、

  • 適切な温度と湿度を維持する方法
  • 静電気を回避する方法
  • ドライブの安全な保管方法

などが記載されている必要がある。実際に運用する際には、HDDの設置場所を清潔に保ち、埃が入らないようにし、適切に換気する必要がある。HDDの稼働を正常に保つだけでなく、電源やケーブル、無停電電源装置(UPS)も正常に動作している必要がある。


 次回は、HDD内部の機械的故障について解説する。

TechTarget発 世界のインサイト&ベストプラクティス

米国TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

From Informa TechTarget

お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。

ITmedia マーケティング新着記事

news041.jpg

「非常時にピザ1枚無料」のデータがドミノ・ピザのマーケティングに生む好循環とは? CMOに聞く
2024年10月にDomino'sのチーフブランドオフィサーからエグゼクティブバイスプレジデント...

news054.jpg

AI搭載は「もう売りにならない」──「Marketing Dive」2025年予測【前編】
広告費が世界で1兆ドルを超える中、マーケターは多くの課題に直面している。不透明な規制...

news045.jpg

Xがアルゴリズム変更へ イーロン・マスク氏が優遇したい投稿とは?
Xは新たなアルゴリズムアップデートで「情報的かつ娯楽的」なコンテンツに重点を置いてい...