冷え込んでいたPC市場は回復傾向にある。背景にあるのは「Windows 11」移行だけではない。LenovoとMicrosoftの見方を基に、市場の今後を探る。
低迷していたPC市場が好転の兆しを見せている。背景にあるのは、クライアントOS「Windows 10」のサポート終了だけではない。IT市場分析会社Canapiiが2024年10月に開催したイベント「Canalys Channel Forum」でLenovoとMicrosoftの幹部が登壇し、PC市場の今後の見通しについて語った。
Lenovoでインテリジェントデバイスグループ(IDG)プレジデント兼エグゼクティブバイスプレジデントを務めるルカ・ロッシ氏は、「2025年、PC市場は5~10%成長し、2026年にも同程度の成長が見込まれる」と話す。特に成長を支えると考えられるのが「Windows 11」への移行だ。Windows 10のサポートは2025年10月に終了するため、PCの買い替え需要が高まると考えられる。
PCの売り上げを押し上げるもう一つの要因になるのが、AI(人工知能)モデルを実行するための専用のハードウェアやソフトウェアを搭載する「AI PC」の台頭だ。タブレットやスマートフォン、IoT(モノのインターネット)デバイス、スマートスピーカーなど、PC以外のデバイスにもAI搭載の流れは起きており、この影響で今後数年間はデバイス市場全体が成長を続けると見込まれている。
ロッシ氏によると、売り上げが伸びる理由はPCの性能向上にある。PCに搭載するメモリやSSDの容量が増える他、「CPU」(中央処理装置)や「NPU」(ニューラル処理装置)など部品の価格は上昇している。「PC1台当たりの販売価格は、3~5%、場合によっては7%ほど高くなる」と同氏は予測する。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)でテレワーク用PCの購入が進んだ。そのPCを買い替える需要が出てくることも市場の成長を後押しする。
ロッシ氏は、AI技術を活用したいと考えるエンドユーザーが増加することを見据えて、Lenovoが幅広いAI PCラインアップを用意している点を強調する。特にLenovoが注目するのが、クラウドサービスやオンプレミスインフラ、エッジデバイスなどを組み合わせてAIモデルを稼働させる「ハイブリッドAI」だ。例えば、政府や自治体など公共機関は一部のデータをオンプレミスインフラで管理したいと考える傾向にある。エッジデバイスを活用して低遅延のデータ処理を実現したいと考える企業もあるだろう。
MicrosoftでEMEA(欧州、中東、アフリカ)デバイスパートナーソリューションセールス担当ゼネラルマネジャーを務めるディミトラ・ダーダ氏は、「MicrosoftはWindows 10のサポート終了について積極的に周知し、移行の促進に取り組んでいる」と説明する。「Microsoftが提供する最新の技術やサポートを活用するためには、Windows 11に移行する必要がある」(ダーダ氏)
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