「Windows 10」から「Windows 11」への移行作業を焦って進めると、幾つかの問題に直面する可能性がある。Windows 11移行前に何を確認しておくべきなのか。
「Windows 10」から「Windows 11」に移行しなければならない期日が迫っている。ただし焦ってアップグレードの作業を進めると、Windows 10とWindows 11の違いを起因とする幾つかの問題を見落としがちだ。Windows 11移行時に陥りがちな問題を5つの観点で紹介する。
大規模なプロジェクトを進める場合は、全体の計画を数段階に分けると課題を一つ一つ解消しながら着実に進められるようになる。Windows 11移行のプロジェクトは、以降で紹介する5つの観点を踏まえて進めるとよい。
テストは、Windows 11アップグレードに向けた作業の重要な側面だ。OSテストを担当する管理者は、使用中のPCを調べて、エンドユーザーが仕事をするために必要とする全てのアプリケーションや各種ツールがWindows 11で問題なく使えるかどうかを徹底的にテストする必要がある。Microsoftは後方互換性(新バージョンが旧バージョンの機能やツールを使えること)を維持しているため、Windows 10で動作するアプリケーションは、一般的にはWindows 11でも動作する。
とはいえ、Windows 10で使用していたアプリケーションの全てがWindows 11で間違いなく動作する保証はない。基幹業務アプリケーションの想定外の停止を避けるために、テストは重要なステップだ。組織独自のカスタムアプリケーションであればなおさらテストは欠かせない。
Windows 10からWindows 11へのアップグレードを進める際、アップグレードプロセスのフェーズを細かく検討してから進めると結果的に移行作業はスムーズになるはずだ。
まず、Windows 10からWindows 11へのアップグレードを進める際、混乱に陥りやすいのは皮肉にも知識が豊富で洗練されたエンドユーザーだということを念頭に置いておこう。開発者やアナリスト、IT専門家、パワーユーザー(一般的なエンドユーザーよりも深い知識やスキルを持つエンドユーザー)は、新しいOSの機能を学ぶためにアップグレードをすることがある。そうしたエンドユーザーと共にアップグレードプロジェクトを進めることで、一般的なエンドユーザーに提供すべきトレーニングや、対処すべき要望を事前に把握することができる。AI(人工知能)技術による機能強化が進む中で、そうした取り組みは特に重要になる。
データ入力や技術サポート、営業、人事、会計などを主業務とする一般的なエンドユーザーは、アップグレードのプロセスを通じて大きな変化に気付く可能性は低い。そうしたエンドユーザーに適切なサポートを提供するためにも、まずは知識が豊富で洗練されたエンドユーザーに使ってもらうことには意味がある。
ユーザー企業のIT部門やマネージドサービスプロバイダーは、新しく追加されたWindows 11搭載PCが既存の管理ツールで可視化され、管理可能な状態になることを確認する必要がある。OSバージョン間の互換性や適切なパフォーマンスを確保することと同様に、新しいPCを滞りなく管理できることも、Windows 11への移行を成功させるために重要だ。
幸いなことにWindows 11は、Microsoftやサードパーティーの管理ツールとうまく連携するので、オンボーディング(使用可能な状態にすること)やライフサイクル管理をスムーズに進めることができるはずだ。例えばデバイス管理ツールの「Microsoft Intune」や「Microsoft Configuration Manager」、自動設定ツール「Windows Autopilot」などが使える。「ManageEngine」といったサードパーティー製ツールもある。
Windows 10のライセンスがあれば、基本的にはWindows 11へのアップグレードができる。ただしWindows 10が稼働している既存PCからWindows 11へのアップグレードに当たっては、ライセンスに関して事前に確認すべき点がある。既存のライセンス契約において、全てのPCがWindows 11のライセンスを取得できるかどうかを確認する必要がある。全てのエンドユーザーに対して十分なライセンスがあるかどうかを事前に確認しておけば、潜在的なライセンス違反を回避しつつ、使用していないライセンスへの支出を抑制することも可能になる。
Windows 10とWindows 11には、相違点よりも共通点の方が多い。そんためほとんどのエンドユーザーは、Windows 10とWindows 11の間に顕著な違いを感じないはずだ。
とはいえ、Windows 11移行の作業を進める中では、テストや試験運用においてパフォーマンスを監視して比較することが望ましい。パフォーマンスとしては、システムやアプリケーションの起動時間や、ストレージの読み書き時間、操作のスムーズさなどさまざまな対象がある。Windows 11よりもWindows 10の方が優れている差異があればその原因を調査し、可能であればそれを軽減する策を講じることが望ましい。
組織内でWindows 11に全面的に移行するに当たっては、トレーニングを提供することにも意味がある。アプリケーションの利用方法など一部で変更があると、エンドユーザーは混乱する。IT部門はWindows 11はWindows 10から何が変わったのかを説明し、エンドユーザーが情報不足に陥らないように事前の準備を進めておく必要がある。
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