BT傘下の通信事業者はロンドンなど英国各地で「スモールセル」の活用を進めている。スモールセルはなぜ、土地が狭い英国の都市に最適な通信技術だと考えられるのか。
通信大手BT傘下の通信事業者EEは英国各地に「スモールセル」と呼ばれる小型基地局を設置し、通信インフラの強化に取り組んでいる。同社は2024年8月、設置したスモールセルが1000基を超えたと発表した。中には、ロンドンに設置した初の「5G」(第5世代移動通信システム)用スモールセルも含まれる。そもそもスモールセルとはどのような仕組みで、なぜ”優れ物”なのか。
スモールセルは大きさを抑えた基地局で、場所が限られている都会でも設置しやすいことが特徴だ。都会は特に通信需要が高く、そのインフラをいかに整備するかが課題になっている。スモールセルは電話ボックスや小型の売店、街灯などに設置できる。それぞれ出力が低いためカバー範囲は狭いが、高密度で設置すれば町全体で通信インフラを強化できる。
EEはスモールセルの設置に当たり、通信機器ベンダーのNokiaとEricssonと協力している。同社らは、カーディフやダンディー、ルートンなどで「4G」(第4世代移動通信システム)用のスモールセルを設置している。通信速度に関して最大300Mbpsを目指すとEEは説明する。5G用スモールセルでは、最大600Mbpsが可能だという。
EEはロンドンで5G用スモールセルの実証実験に取り組んでいる。同社は現在、ロンドンのクロイドン区で周波数帯1.8GHz帯を利用した4Gのスモールセルと、3.5GHz帯を利用した5G用スモールセルを組み合わせて試験運用している。クロイドン区は企業や店舗、住宅がひしめき、ロンドンの中でも通信需要が高い。EEは同区7カ所にスモールセルを設置。毎日3TB(テラバイト)以上のデータ量を処理しているという。クロイドン区のジェーソン・ペリー区長は、「区民や訪問者にとってより快適なインターネット接続ができれば」と期待する。
BT最高ネットワーク責任者(CNO)グレッグ・マッコール氏はスモールセルについて、「当社のモバイル通信網の不可欠な技術だ」と述べる。同氏によると、スモールセルの利用によって混雑しがちな場所でも安定した通信環境を提供できる。
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