Googleの親会社Alphabetの2024年第3四半期の売上高が前年比15%増を記録した。この成長を支えているのは、顧客向けAIサービスの提供だけではなく、自社開発における「Gemini」の活用にもあるという。
Googleは、画像や文章を自動生成するAI(人工知能)技術「生成AI」や、クラウドサービス「Google Cloud」部門の主力サービスが成長している。その成長は、生成AIを外部に提供するだけではなく、自社の開発にも積極的に活用することで実現したという。その具体的な取り組みについて、Googleの親会社AlphabetのCEOサンダー・ピチャイ氏が決算発表で語った。
Googleの2024年第3四半期(7〜9月)の業績は、売上高が前年同期比15%増の883億ドルに達し、Google Cloud部門は35%増の114億ドルを記録した。
決算発表に際して、ピチャイ氏はGoogleの生成AIモデル「Gemini」を開発者向けに提供することを表明。「技術革新への取り組みと機械学習への継続的な投資が実を結び、ユーザー企業とパートナーの双方がGeminiの恩恵を得ている」と述べた。
ピチャイ氏はソフトウェア開発の効率化にも言及し、「スピードと俊敏性を重視した組織づくりを進め、社内で機械学習モデルを活用してコーディングを改善している」と説明する。同氏によると、現在Googleにおける新規ソースコードの25%以上を生成AIが作成し、エンジニアによるコードレビューを通してから適用している。これによって開発スピードが大幅に向上したという。
その他、新しいAIモデルの開発速度を加速するため、Geminiの開発チームを子会社のAI技術ベンダーGoogle DeepMindに移行した。この移管は、研究、機械学習基盤、開発の各チームを一体化する組織改革の一環だ。
新たに最高財務責任者(CFO)に就任することになるアナト・アシュケナジ氏は、「大規模な機械学習モデルを開発できる技術やインフラを持つ当社は、革新的な技術で収益を伸ばせる位置にいる」との見通しを示した。
AIモデルを開発するための投資について、ピチャイ氏はGPU(グラフィックス処理ユニット)、TPU(テンソル処理ユニット)、CPU(中央演算装置)など、主要な演算処理装置全てに投資していると述べる。NVIDIAの最新の機械学習向けプロセッサも導入しているという。アシュケナジ氏によると、技術インフラへの投資配分は、サーバが約60%、データセンターとネットワークが約40%となっている。
アシュケナジ氏は、Google Cloudの収益性向上を重要課題に挙げる。競合他社に対する競争力の強化について質問を受けた際、同氏は「人員配置や設備の効率化を進めている一方で、さらなる改善の余地がある」と説明した。その上で、社内業務における生成AIの活用を積極的に推進する意向を示した。
市場調査会社Forrester Researchでプリンシパルアナリストを務めるトレイシー・ウー氏によると、クラウドサービスとAI技術がAlphabetの成長をけん引しており、前年比目標を0.25ポイント以上上回る成果を上げている。「クラウドAIサービスへの大規模投資によって、Alphabetは生成AI分野のリーダーとしての地位を確立しつつある。2025年は、これらのサービスが同社のさらなる成長をけん引する」とウー氏は展望する。
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