失敗しないモバイルデバイス選びの5大ポイント【後編】
放置iPhone、使われないAndroidスマホはなぜ生まれるのか
モバイルデバイス選びを成功させるためには、どのような視点で選定を進めるべきなのか。5つの選定ポイントのうち、残る3つのポイントを紹介する。
前編「『iPhone』と『Android』スマホを比較するなら『機種』『OS』にまず注目すべし」では、企業がモバイルデバイスを選定する際に検討すべき5つのポイントのうち「機種」と「OS」を取り上げた。後編では残る3つのポイントを紹介する。
ポイント3:ユーザー要件
モバイルデバイスは形状もサイズもさまざまだ。自社のワークフローと従業員のニーズに合った機種を選ぶには、従業員がいつ、どこで、どのように仕事をしているのかを把握しておく必要がある。日常業務の内容や業務に必要なアプリケーションの種類に加え、モバイルデバイスを社内と出先のどちらで使うかなどの情報が必要だ。
写真や動画を撮影することの多い仕事に使うなら、高性能のカメラ機能を備えた機種がよいだろう。Appleの「iPhone X」、Samsung Electronicsの「Galaxy S8」、Googleの「Pixel 2」などが候補に挙がる。頻繁に充電できない出先で処理負荷の高いアプリを使う場合は、バッテリー駆動時間の長いタブレットを選ぶ必要がある。Appleの「iPad Pro」、Samsungの「Galaxy Tab S3」、Lenovoの「Yoga Tab 3」などが考えられる。仕事の内容をよく理解すればするほど、必要なデバイスを絞り込むことができる。
業務用のモバイルデバイスを比較するには、数々の要素を検討しなければならない。どれを重視するかを決めるのは、やはり業務内容だ。例えば出張サポートに行く技術者は、客先で以下のことができなければならない。
- 仕様書の確認
- 案件の入力
- 顧客との情報共有
- 顧客情報の閲覧
- 略図の描画
- 過去の案件の参照
タブレットを導入することを決めたとしたら、次は運びやすさと使いやすさのバランスを考えてサイズを決める。例えばHuawei TechnologiesやLG Electronicsは、7型から10型まで幅広いディスプレイサイズのタブレットを提供しており、それぞれに長所と短所がある。スタイラスペンが必要かどうか、携帯電話回線接続が必要かどうかも検討する必要がある。
ポイント4:管理
企業が従業員用に購入するモバイルデバイスは、効果的に管理できなければならない。デバイスのプロビジョニング(配備)や基幹業務(LOB)アプリの配布、アップデートの適用、ポリシーの設定など、さまざまな管理を可能にする機能が必要だ。
主要OSの「Android」「iOS」「Windows 10」はいずれも、モバイルデバイスやアプリ、データを一元管理する「エンタープライズモビリティー管理」(EMM)機能をOS自体に組み込んでいる。それぞれ新しいリリースのたびに機能を強化し、プロビジョニングや管理の柔軟性を高めている。
例えばAppleは、iOSに管理機能を組み込んでいる。この管理機能を使ったサードパーティー製EMM製品を利用すれば、従業員のAppleデバイスやアプリ、データの管理、監視ができる。Appleのアプリストア「App Store」に登録されているアプリやLOBアプリを管理者がインストールして、設定、管理、削除することもできる。Appleは、デバイスの登録を自動化して初期設定や配布を簡単にする「Device Enrollment Program」も提供している。
AndroidもEMM機能を組み込んでいる。iOSの場合と同じく、EMMベンダーはこれを使ってデバイスとアプリを管理する機能を提供する。アプリのダウンロードのブロック、アプリのホワイトリストとブラックリストの設定、一括購入ライセンスの管理などが可能だ。管理対象とするデバイスの登録方法を複数提供しており、一括登録やQRコードによる登録を可能にしている。
デバイスベンダーの中には、独自のデバイス管理ツールを提供しているところもある。例えばSamsungの「Samsung For Enterprise」(SAFE)やLGの「LG Guarded Access To Enterprise」(LG GATE)というプログラムは、モバイルデバイス管理(MDM)機能を含む。中でもSamsungは、企業向けAndroidデバイスをリードしている。
AndroidのEMM機能を使ったベンダー独自のプログラムを比較するときは、OSのバージョンにも気を付けた方がよい。バージョンが新しいほど管理機能も向上しており、現在は「Android 8.0 Oreo」の機能が最も充実している。
MicrosoftはOSにMDMクライアントを直接組み込んでいる。デバイス管理サービス「Microsoft Intune」とIT資産管理製品「Microsoft System Center Configuration Manager」(SCCM)の組み合わせやサードパーティー製EMM製品により、デスクトップ、タブレット、スマートフォンなど多様なWindows 10デバイスを管理できる。MicrosoftはMDM用API(アプリケーションプログラミングインタフェース)を公開している。
ポイント5:セキュリティ
IT管理者はモバイルデバイスとそのデータのセキュリティを確保し、従業員の個人情報を保護しなければならない。
Appleはハードウェア、ソフトウェア、サービスの3層に対して、一体化したセキュリティアプローチを採用している。iOSデバイスは認証と暗号化の両方に業界標準プロトコルを使用し、保存されているデータと流れているデータを保護する。MDM機能によって、iOSデバイスへの無許可のアクセスをブロックしたり、デバイスの紛失時や盗難時にデータをリモートで消去したりできる。
Androidはサンドボックスや暗号化などの機能で、デバイス、アプリ、データを保護する。Androidの管理APIは、管理対象の全てのデバイスにセキュリティポリシーやコンプライアンス設定、ネットワーク設定を適用する機能を含む。「仕事用プロファイル」を使えば、個人と会社のデータをOSレベルで分離できる。セキュリティ監視サービス「Google Playプロテクト」で常時、アプリの分析やスキャン、削除が可能だ。
Samsungの「Samsung Knox」やLG GATEのように、デバイスベンダーが独自の技術をデバイスに組み込んでセキュリティ機能を提供している場合もある。デバイス管理と同じく、セキュリティ機能を比較するときも、OSのバージョンの違いを確認し、デバイスベンダーがOSをアップデートする頻度も考慮する必要がある。
MicrosoftのモバイルOS「Windows 10 Mobile」もデバイスを保護する機能を提供しており、ID/アクセス制御や多要素認証の機能を利用できる。会社用と個人用のデータやアプリを分離して制御することも可能で、例えば会社のデータへのアクセスやVPN(仮想プライベートネットワーク)接続といったアプリの動作を制限できる。デバイス暗号化機能の「BitLocker」も利用可能だ。
Androidは、iOSやWindows 10と比べて多くのベンダーがデバイスを提供しており、ベンダーによってセキュリティ機能が異なる可能性がある。購入を検討するときは、選択するベンダーのセキュリティ対策やOSのアップデートポリシーなどを確認することが重要だ。Appleの厳密に管理された環境では、デバイスのアップデートやセキュリティ管理がしやすい。
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