企業のCRM戦略で最大の課題は何であり、IT責任者がどのような分野で苦労しているのかが、Forrester Researchの調査で浮き彫りになった。
CRMソフトで期待したほどの効果が出ないと感じているのは、あなただけではない。
米Forrester Researchは最近の調査で、290社のIT責任者と経営者に、自社のCRM戦略をランク付けしてもらった。
「この調査で、企業にとって最大の課題は何で、IT責任者がどのような分野で苦労しているのかが判明した。多くの人が、多数の問題で苦労している」。報告書を執筆したForresterの副社長兼主席アナリスト、ウィリアム・バンド氏はこう説明する。
具体的にはマーケティング分析、顧客サービス、間接販売が、組織にとって困難な課題になっていることが分かった。マーケティングリソース管理の分野では、回答者の半数近くが、マーケティング方法を把握・標準化する機能が良くないまたは平均以下だと答えた。顧客関係管理機能は良くないか平均以下で、顧客感情に悪影響を及ぼす危険があるとの回答も60%に上った。
バンド氏は「マーケティングでは、CRMソリューションは成熟度が最も低く、ソリューションプロバイダーに後回しにされていたものだとの見方もできるだろう。マーケティング分野全般が、今現在大きく様変わりしつつある」と話す。
CRMベンダーは、マーケティング分析についてもSFA(Sales Force Automation)ほどは注目しておらず、それが調査結果にも示された。
「分析機能も同じようなものだ。過去5年の究極の目標は、分析機能を使ってCRMをもっと有効活用することだった」とバンド氏は言う。
しかしほとんどの組織では、まだその目標に到達していない。顧客の分類から購入パターン、回答率に至るまで何Tバイト分ものデータはたまっても、顧客行動に関する確固たるデータに結び付けることができていない。例えば回答者の38%が、事前構築された分析アプリケーションについて、良くないまたは平均以下と評価した。
顧客サービスも同様に、企業にとって果てしない挑戦になっているようだ。案件を作成して適切な顧客サービス担当者に回す機能について、回答者の3分の1が良くないまたは平均以下と評価。FAQを自動生成する機能については、欠陥があるとの回答が40%を占めた。
「顧客サービスの方がソリューションの観点から見ると成熟度は高い。そういう仮説を立てるのは、顧客にリピーターになってもらえるサービスを提供するのが本当に難しいからだ」とバンド氏。
今回の調査結果は、売り上げ増大や経費削減のため特定の業務機能を向上させるという目標を欠いた戦略の不備を反映したものだと、Forresterは分析している。
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