企業のメッセージングサービスの中枢を担うようになったMicrosoft Exchange。だが中小企業にとって、そのサーバ構築費用や運用の負荷は決して低くはない。この問題を解決するのがホスティングサービスだ。
「Microsoft Exchange Server」(以下、Exchange Server)は、メールのみならず、スケジュールや連絡先などの個人情報の管理/ファイルを含めたグループでの情報共有を行うためのコミュニケーション基盤である。今や大規模ユーザーを中心としたスタンダードなメッセージングソリューションの1つになったといってもいいだろう。しかし、Exchange Serverのメインターゲットは、専任の情報システム部門を抱える大手企業が中心。中堅・中小企業が導入するにはハードルが高い。これは費用面および運用管理面の負担が大きいためだ。
Exchange Serverを新規導入する場合、サーバのハードウェア費用とともにWindows ServerとExchange Serverのライセンス料金がサーバ/クライアントの台数に応じて掛かってくる。この具体的な費用は、実際の構築を担当するシステムインテグレーターやサービスプロバイダーによって異なるが、サーバ1台当たりのWindows Server 2008 Standard Editionのライセンス参考価格で18万8000円(5クライアントライセンス付き)、Exchange Server 2007 Standard Editionのライセンス参考料金で13万5000円だ。
また、ハードウェアの障害によってデータが消失しないよう計画的なバックアップが必要であり、セキュリティパッチも定期的に適用しなければならない。また、ストレージの容量監視やトラフィックの監視、場合によってはサーバを分散させる必要もある。特に専任のIT管理者がいることの少ない中小企業ではこうしたExchange Serverの運用は難しく、運用管理をサービスプロバイダーに依頼すると、かなりのコスト負担になってしまう。
これらの問題を解決するのが、「Exchange Serverホスティングサービス」だ。Exchange Serverホスティングは、サービス事業者のデータセンターに設置された共用サーバまたは専用サーバに構築されたExchange Server環境をインターネットを介して利用するものだ。
Exchange Serverの環境は事業者側でセットアップされるので、自前でサーバ機器を調達したり、ネットワークインフラを整備する必要はない。もちろん、Windows Server、Exchange Serverのインストールやセットアップも必要ないし、ライセンスを購入する必要もない。Exchange Serverの機能を利用する上でコストと手間を最小化できるのが特徴だ。ほとんどのサービスが、1アカウント当たりの単価で料金を設定しているため、必要な社員の分だけ契約できるのも大きい。
Exchange Serverホスティングはインターネットの接続環境さえあれば、オフィスや社員の自宅、サテライトオフィス、取引先、さらにはWindows Mobile端末やiPhone、Netbookなど、場所や端末の種類を選ばずにアクセスできる。スケジュールや連絡先はもちろん、共有フォルダを利用してグループ内で情報/データ共有が効果的に行えるだろう。通信経路は「RPC over HTTPS」(※)で暗号化されており、データは安全に伝送される。
※ Exchange ServerのメッセージングAPIであるRPCをHTTPSでカプセル化して伝送する技術。クライアントとの通信をSSLによって暗号化することができる。
また、ユーザー側で運用管理を行う必要は一切ない。ホスティングサービス側ではサーバのデータを常時バックアップしているので、メールデータなどを失うリスクも低い。例えば、何らかの問題が発生したときに過去のメールを参照して、監査証跡として利用することもできる。加えて、ウイルススキャン機能/スパムブロック機能を標準で備えていることも特徴だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
ある調査によるとDXに取り組んでいる中小企業は、2割にも満たないという。中小企業がDXを実現できない理由となっているのが、人材不足だ。しかし、人材不足の中でもDXを目指して取り組めることはある。それがペーパーレス化だ。
IoTカメラは工場や倉庫における保安・監視用途などで活用されることが多かったが、現在の活用領域は大きく広がっている。観光地における課題解決と体験価値の向上を目指し、IoTカメラを観光コンテンツに応用した事例から、その実態を探る。
中小企業は、モバイルアプリケーションを活用することで顧客と密接な関係を構築したり、パートナー企業との関係を維持したりできる。モバイルアプリケーションが役立つ理由を7つ紹介する。
コロナ禍を経て、業務に必要な「ノートPC」の条件は変わった。どのような条件で選ぶことが望ましいのか。選定のポイントを解説する。
価格の低下で中堅・中小企業にとっても手の届きやすい存在になった「SAN」。「NAS」を使う中堅・中小企業が、SANへ移行する適切なタイミングを把握するために注視すべき「7つの兆候」とは。
いつまで紙やExcelで情報共有するの? クラウドERPが変える中堅製造業の将来像 (2024/12/6)
「安さ」「機能」「サポート」の課題を解決 社用スマホ選定4つのポイント (2024/3/26)
後回しではいけない 今こそ実施したいBCP対策と通信の冗長化 (2024/3/26)
地方で働き方のリーディングカンパニーを目指す鈴弥洋行の取り組みとは? (2023/1/13)
いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。
「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。
「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。
「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...