ユニファイドコミュニケーションの真骨頂、ビデオ会議が支えるワークスタイルの変化“業務改善型”ユニファイドコミュニケーションを導入する【第4回】

会議における意思決定のスピード向上は、業務の効率化だけではなく、企業の競争力に影響する。新しいワークスタイルに対応した快適なオフィス会議環境を、UCでどこまで実現できるのだろうか。

2010年06月30日 08時00分 公開
[矢萩陽一,ネットマークス]

 業務上の問題をユニファイドコミュニケーション(以下、UC)で改善することを提案する本連載。今回は、企業内における「働き方」「働く場所」の多様化から起こるコミュニケーション課題を挙げ、UCで解消する方法を解説していく。ここで鍵となるのは、ビデオ会議システムに代表されるビジュアルコミュニケーションである。

外出先や在宅での会議環境をどうする?

業務課題1:

出張先や自宅からでは社内会議に参加できない


 会議は、組織がビジネス活動を行う上で重要なコミュニケーション手段だ。会議は通常、会議室に必要な参加者が集まって行われる。しかし、ワークスタイルの変化や組織を横断したチームでの協働作業の割合が増すにつれ、指定された時間、場所に集まって会議を行うことが難しくなってきている。

 また、必要な参加者全員を招集するために会議を業務時間外に行う、あるいは必要な参加者がそろわなかったためにもう一度会議を開くなど、非効率な会議運営が行われることも少なくない。こうした、重要な意思決定が行われる会議に関する問題は、どの企業でも抱えていることだろう。出張先からは社内会議に参加できない、在宅勤務のコミュニケーション手段が電話しかないといったケースもこれに含まれる。

 業務課題1の改善策は2種類ある。

解決策1-1:Web会議システムの利用

 上記の問題解消策として最近よく検討されるのが、Web会議システムの利用である。Web会議はPCとネットワークさえ準備できれば、場所を選ばずに会議を開き、資料共有を行うことも可能だ。

 ただし、電子化された資料を前提に会議を行うには有効だが、双方向で情報共有を行う場合は、操作や情報の伝達が少し難しくなることもある。Web会議で十分事足りる内容の会議もあるが、相手の表情や微妙なニュアンスを伝えたり感じたりすることが重要な会議などにはあまり適さないと考えられる。

解決策1-2:ビデオ会議システムの拡張とモバイル化

 遠隔間での集団コミュニケーションとして従来行われているのが、ビデオ会議システムによる会議である。ビデオ会議システムでは、相手の表情やニュアンスを伝えることも容易になる。また、システム導入後のコスト削減の即効性も高く、費用対効果が算出しやすい改善策といえる。

 しかし、システムが設置された場所でないと会議に参加できないなどの課題もある。外出または移動が多いといったワークスタイルの社員や在宅勤務員など、オフィスから離れた場所にいる社員は会議に参加できない課題も生じていた。このようなユーザーには、ビデオ会議システムの端末をモバイル対応にすることで機動性に富む会議環境を提供できる(図1)。

図1 図1 ビデオ会議システムのモバイル化

 従来、ビデオ会議システムは専用の会議端末でないとシステムに参加できなかったが、昨今ではPCにビデオ会議端末専用クライアントを導入することにより、既存のビデオ会議との接続が行える。固定化された会議端末をPCにするだけで、ユーザーの利便性や機動性を大きく高めるソリューションとなり得る。

 また、「IBM Lotus Sametime」「Microsoft Office Communicator」に代表される統合コミュニケーションツールと相互接続して、既存ビデオ会議端末として参加することも可能だ。ビデオ会議システムをモバイル化することよる主な効果は、以下の通りである(表1)。

表1 ビデオ会議システムのモバイル化による効果
効果 業務に寄与する項目
参加者は場所に依存せず会議に参加できる コミュニケーション問題解消
生産性向上
利便性
参加者のスケジュール調整の自由度が増す
会議室に関する問題解消(予約が困難、移動時間の節約)
在宅勤務における会議手段の提供

 ビデオ会議システムをモバイル化する場合の製品選びのポイントとしては、対外接続や利用者のモバイル接続方法、メーカー間の相互接続性、モバイルデバイスへの対応などを考慮する必要がある(表2)。

表2 ビデオ会議システムのモバイル化における製品選択ポイント
項目 選択ポイント
接続方法 ISDN・VPN接続など接続方法の選択肢
クライアント機能 情報共有機能などがモバイルクライアントに提供されているか
統合コミュニケーションツールとの連携 ビデオ端末機能を持ったコミュニケーションツールと連携可能か(プレゼンス機能連携など)

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