ERP製品カタログ【第2回】富士通
「GLOVIA/SUMMIT」が切り開くグループ経営の新境地
富士通のERPパッケージ「GLOVIA/SUMMIT」はグループ経営のサポートに強みを持つ製品だ。大手企業を中心に1700社以上が導入している。製品の特徴やIFRSへの取り組みなどを聞いた。
グループ経営における「財管一致」の実現をサポート
「GLOVIA/SUMMIT」は、富士通が提供するERPパッケージで、会計と経営管理の領域を担う製品である。1999年の発売以来、製造業と流通業の大手企業を中心に、1700社以上の導入実績がある。
同社では、中堅企業向けのERPパッケージとして「GLOVIA smart」という製品もラインアップするが、GLOVIA/SUMMITは年商300億円以上の大手企業、特にグループ経営を行っている企業に適しているという。富士通ビジネスシステム 民需ソリューション事業本部 GLOVIAビジネス統括部 共通業務ソリューション部 プロジェクト課長 長谷川 隆氏は、同製品の特徴を次のように説明する。
「GLOVIA/SUMMITはもともと、富士通社内で行われてきた経理業務改革の成果を製品化したもの。実際に社内で行われてきたグループ経営の会計ノウハウが、そのまま反映されている。そのためユーザーも、同製品を企業グループ全体に導入する例が多い」
例えば、多くの企業グループが抱える経営課題の1つに「決算早期化」が挙げられるが、同製品はこれを支援するためのさまざまな機能を備えている。その一例が、連結決算時のグループ内取引の処理だ。通常、グループ内企業同士の取引は、それぞれの企業で個別に仕訳を生成し、連結決算時にそれをあらためて相殺する。この作業には通常、多くの手間と時間を要するが、GLOVIA/SUMMITは1社の取引データからグループ内取引相手の仕訳を同時生成する「会社間論理仕訳」機能を備えており、取引の金額や計上月のぶれをあらかじめ防ぐことができる。そのため、グループ内企業の個別決算が確定すれば、自動的に連結決算もほぼ確定できる仕組みになっている。
グループ全体の経営状況を分析
また、財務会計だけでなく、管理会計に強いことも同製品の大きな強みだという。
「これは富士通における経理の考え方でもあるが、明細管理をきめ細かくできるようになっている。今までの経理業務は、どちらかというと決算書を作成するための『集約作業』の色合いが濃かった。しかしGLOVIA/SUMMITは、明細データを逐次取得・管理するため、これらのデータを活用してグループ全体の経営状況をさまざまな切り口で分析できる」(長谷川氏)
例えば、セグメント別の切り口で分析すれば、IFRS(国際財務報告基準、国際会計基準)が求めるセグメント情報開示に対応できるし、そのほかさまざまな切り口で経営に役立つ指標を導き出すことができる。もちろん、決算時には科目の切り口で集約することで決算書を作成できる。
このように、グループ経営における管理会計や経営管理に役立つ機能を提供することにより、「財管一致」の実現を目指すのが同製品のコンセプトだという。
管理会計・経営管理分野における提案力
また同社では、製品そのものの機能だけでなく、ソリューション全体を高い次元で提案・適用できる「人の力」も強みの1つに挙げている。富士通ビジネスシステム 民需ソリューション事業本部 GLOVIA開発事業部 開発部長の種池一雅氏は、次のように述べる。
「われわれはGLOVIA/SUMMITのソリューションに長く取り組んでいるので、その間に社内に多くのノウハウが蓄積されている。こうしたノウハウを実際にソリューションに落とし込むSEが、富士通グループ全体で全国に200~250人おり、パートナー企業も含めるとその数はさらに多くなる」
製品知識や財務会計に関するスキルはもちろんのこと、GLOVIA/SUMMITの大きな特徴である管理会計と経営管理のスキルにも長けた専門SEが、業種別SEとタッグを組んで顧客企業のニーズに合わせたソリューションを提案するという。
「財務会計はともかく、管理会計に関しては他社でどんなやり方をしているのか気にする企業が多い。そうした企業に対しては、管理会計に長く取り組んできたわれわれのノウハウを提供することで、経営改善に大きく貢献できるのではないかと考えている」(種池氏)
また同製品は、ライセンス体系にも特徴がある。大きく分けてユーザーライセンスとサーバライセンスの2つのライセンス体系に分かれているが、サーバライセンスは扱うデータのレコード数によって料金が異なる。これは、極めて大規模な会計データベースを効率的に運用できる同製品の特徴を反映したものだという。
「先に説明した通り、GLOVIA/SUMMITは『業務改革』『明細管理』『財管一致』というコンセプトで開発されているので、大量データの扱いに注力している。従って、ライセンス体系・料金体系もデータの扱い方によって分類している」(種池氏)
また、企業グループ全体に同製品を導入した場合、導入後にグループ企業の数が増えたとしても、追加ライセンスを購入する必要はない。同社では、この点においてもGLOVIA/SUMMITは企業グループでの導入に適するとしている。
コンバージェンス対応と並行してアドプション対応版を開発
富士通では、大手上場企業のIFRS対応に対しても、GLOVIA/SUMMITの管理会計の強みを生かしたソリューションを提案していくという。
「IFRS対応に関しては、単なる制度対応、投資家への情報開示というだけではなく、企業の経営基盤を強化できる機会だととらえている。制度対応をきっかけに、経営課題を解決していくことが重要だと思う」(長谷川氏)
そのためには、IFRS対応に早めに取り組んでいく必要があるが、同時に現段階ではIFRS自体の行く末もまだ不透明であり、今できることは限られている。従って、決して焦ることなく、動向をしっかり見極めながら、その都度できることを確実にこなしていく姿勢が大事だと種池氏は言う。
「他ベンダーの中には、いたずらに危機感をあおって自社ソリューションに引き込もうという動きも見られるが、われわれはそのようなアプローチは取らないよう心掛けている。実際に多くの企業では、J-SOX対応時の混乱を繰り返さないよう地に足を付けて冷静に動向を見守っている。GLOVIA/SUMMITの大手ユーザーの中にはIFRSの早期適用を計画している企業もあるが、現時点ではまだ計画を立てている段階だ」(種池氏)
長谷川氏も、「ほとんどの顧客はまだ情報収集のフェーズ。早めに対応を始める企業でも、システム化に具体的に着手するのは2011年度以降になるのでは」と述べる。
とはいえ、日本の会計基準のIFRSへの「コンバージェンス」に関しては、適宜、同製品の機能に反映させていくという。事実、「資産除去債務」など既に出ているコンバージェンス項目に関しては、同製品の対応を完了している。
その一方で、IFRSを一括適用する「アドプション」に対応するための製品も計画している。これはGLOVIA/SUMMITの「アドプション対応版」で、2011年秋のリリースを予定している。取材時点(2010年6月)では、製品の要件や仕様を検討している段階だという。
例えば、従来の日本基準に沿った総勘定元帳と、IFRSの勘定科目に対応した総勘定元帳の2つの元帳データベースを保持できる「複数元帳」機能に対応する予定だ。このような総勘定元帳の持ち方は、連結決算時の組替仕訳を簡素化できるため、決算早期化に極めて有効である。
また、IFRSに対応した有価証券報告書では注記情報のボリュームが大幅に増加するといわれており、その作成のために経理部門が費やす工数も増すことが予想される。GLOVIA/SUMMITのアドプション対応版では、この注記情報の作成作業を支援する機能も実装する予定だという。
さらに、固定資産管理の機能に関しても、IFRSにきめ細かく対応させていく。もともとGLOVIA/SUMMITの固定資産管理製品は、法改正対応の早さときめ細かさにおいて定評があったという。外資系ベンダーのERPパッケージを導入していても、固定資産管理の部分だけはGLOVIA/SUMMITを使う企業もある。また、固定資産の取り扱いはIFRS対応において最も影響を受ける領域でもある。いわゆる「再評価モデル」「減損会計」「コンポーネント・アカウンティング」などのトピックがそれだ。「IFRS対応においては、固定資産は肝になる」と長谷川氏も述べる。
コンバージェンスの先にアドプションがある
同社ではこのように、コンバージェンスには適宜対応しつつ、アドプション対応の準備も進めていくという2つの方向で、GLOVIA/SUMMITのIFRS対応ソリューションを展開する。種池氏は次のように説明する。
「まだIFRSの行く末は読めない部分が多いが、基本的にはコンバージェンスの延長線上にアドプションがあると考えている。また、IFRSの強制適用が決まったとしても、その後も制度変更は継続して行われるはず。従って、アドプション版の製品を出したからといってそこで終わりなのではなく、その後もIFRSの動向に追随しながら製品をアップデートしていく」
また、2010年5月に国内初となるIFRS任意適用の決算発表を行った日本電波工業では、連結財務諸表の作成に富士通の連結会計ソリューション「GLOVIA/SUPER COMPACT Pathfinder」を利用している。こうした先進事例における実績やノウハウも、同社が提供するIFRS対応ソリューションの信頼性の高さを裏付けるものだと長谷川氏は言う。
「いたずらに危機感をあおるようなことはせず、やるべきことをきちんとやっていく。先進事例や富士通社内で積み重ねられたノウハウによる裏付けもある。従って、安心してIFRS対応を任せてもらいたい」(長谷川氏)
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