TechTargetジャパンでは今回、デスクトップ仮想化に関する会員アンケートを実施した。サーバ/クライアント型でデスクトップ仮想化を導入している企業は12%という結果だった。
TechTargetジャパンでは2010年7月23日から8月10日にかけて、TechTargetジャパン会員を対象に「デスクトップ仮想化」に関する読者アンケート調査を実施した。大手調査会社のIDC Japanが「2010年は、クライアント仮想化(デスクトップ仮想化)がビジネス課題を解決するための、戦略的IT投資として有効であることを実証する年となる」と予測したり、大手仮想化ベンダーからは「2010年はデスクトップ仮想化元年」という声が聞こえる中、読者のデスクトップ仮想化に対する関心や導入状況を調査した。以下で、調査リポートの一部を紹介する。
なお、本調査では、サーバの仮想インフラストラクチャで稼働する仮想マシンにクライアント端末からリモート接続し操作する技術である「サーバ/クライアント型」(以下、S/C型)と、クライアント端末上の仮想インフラストラクチャで稼働する仮想マシンを操作する技術である「クライアント型」を区別している。
目的:TechTargetジャパン会員のデスクトップ仮想化導入について調査するため
方法:Webによるアンケート
調査対象:TechTargetジャパン会員
調査期間:2010年7月23日〜8月10日
有効回答数:382件
※回答の比率(%)は小数点第2位を四捨五入し、小数点第1位まで表示しているため、比率の合計が100.0%にならない場合があります。
デスクトップ仮想化の導入状況を尋ねた調査では、S/C型デスクトップ仮想化を「導入済み」と回答した人は全体の12.0%。「試験導入中」と合わせても26.9%にとどまり、半数以上が「導入していない」と回答した。
ちなみに、S/C型デスクトップ仮想化を「導入済み」「試験導入中」と回答した人が勤める企業規模で最も多かったのは、従業員1001人以上の大企業(33.7%)だった。続いて、従業員11〜1000人の中堅・中小企業が24.6%、従業員10人以下のSOHOでは23.7%となった。クライアントPCの運用管理コストが膨大な大企業では、S/C型デスクトップ仮想化の導入が比較的進んでいるのかもしれない。
S/C型のデスクトップ仮想化を導入する目的について調査したところ、「情報漏えい・セキュリティ対策」(61.3%)と回答する人が最も多く、次いで「クライアントPCの管理運用の効率化」(59.7%)および「クライアントPCの管理運用のコスト削減」(57.3%)という結果だった。コンプライアンスの強化が叫ばれる中、情報漏えいなどの問題を防ぐためにデスクトップ環境を効率的に集中管理したいと考える企業は多いようだ。
まだ導入が本格化していないデスクトップ仮想化だが、導入済みの人の約6割はその効果に満足している。「とても満足している」が5.7%、「ある程度満足している」が53.1%だった。
デスクトップ仮想化を「導入していない」が過半数を占める結果になったものの、今後の導入への意向を尋ねた調査では、「情報収集段階」(51.3%)、「導入候補製品の評価/選定段階」(16.8%)、「導入時期や予算などの検討段階」(9.4%)の各段階を合計すると7割以上の人が検討中の状況にあると分かる。
その人たちがデスクトップ仮想化導入を検討する際に必要とする情報としては、「技術や製品の基礎知識」(64.1%)が最も多く、「価格表/ライセンス体系」(62.3%)、「製品の導入事例」(50.5%)が続いた。こうした情報を得るための情報源で上位を占めたのは「IT情報Webサイト」(80.9%)だった。「展示会/セミナー」(44.0%)、「雑誌」(43.2%)も需要が高かった。
デスクトップ仮想化の導入を検討開始してから製品を選定して実際に導入開始するまでの期間を尋ねたところ、最も多かったのが「分からない」(47.4%)。続いて多かったのが「1〜3年未満」(18.6%)、「6カ月〜1年未満」(17.5%)だった。
デスクトップ仮想化の導入に当たっては、「技術や製品の基礎知識が欲しい」といった回答や導入検討期間が「分からない」といった回答が目立つことから、読者はまだ初期の「情報収集段階」にある。デスクトップ仮想化という技術に対して手探りの状態であり、様子をうかがっていることが見てとれる。「デスクトップ仮想化元年」と言い切るにはまだ早いのかもしれない。
本稿では紹介しきれなかったさまざまなアンケート結果と共にアンケート回答者の詳細な属性も紹介されているので、ぜひ参照されたい。
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