Office 2010導入の問題とその解決方法【第4回】
Office 2010への移行に十分な検討とテスト時間が必要なわけ
これまでの連載では、Office 2010における主にユーザーインタフェースの変更で不便になったと感じられる点を挙げてきた。今回は視点を変えて、ユーザートレーニングや導入上の問題を見ていこう。
Microsoft Office(以下、Office)にまつわる筆者の実体験を交えつつ、最新バージョンであるOffice 2010を導入する際の注意点を解説する本連載。第1回「絶えず変更されるUI、それでもOffice 2010に移行しますか?」ではOffice 2010のユーザーインタフェースの問題を取り上げた。続く第2回「Office 2010への移行におけるExcel 2010、Word 2010の注意点」と第3回「Office 2010への移行におけるOutlook 2010の注意点」では、Excel、Word、Outlookについて取り上げた。
本稿では若干視点を変えて、ユーザートレーニング、導入上の問題、修正が必要な問題について見て行く。
ユーザートレーニング
新バージョンの操作を学習するためのユーザートレーニングはコストも時間もかかるが、アップグレードすれば避けて通ることはできない。トレーニングの手段としては講座、FAQをまとめたWebサイト、UIの位置などを記載した早見表などを利用できる。例えば、ExcelのPowerPivotについて学習する場合はトレーニング講座を用意すべきだが、Outlookの標準操作については、機能の早見表を用意すれば十分かもしれない。
ユーザーが困惑すれば、ヘルプデスクへの問い合わせが発生する。機能に問題があれば、ヘルプデスクへの問い合わせ件数が増え、関連費用がかさむことを忘れてはならない。
修正が放置されている問題
便利な機能もあるが、筆者の目には、解決が必要な問題をMicrosoftは放置しているように見える。
筆者はWordの上級ユーザーだと自負しているが、同製品を使っていてストレスを感じる。中でも書式設定、ヘッダー、アウトライン機能が使いにくく、嫌になってしまうほどだ。アウトライン機能は、完全にバグがある。問題を起こさずに自動アウトライン機能を使うには、工夫が必要だ。グラフ、スクリーンショット、Excelの表などの図を貼り付けるたびに冷や汗をかくし、2010より前のバージョンのWordではスタイルが崩れるのは日常茶飯事だ。その他、次のような不具合がある。
- ヘッダーと自動アウトライン機能は、ヘッダーの挿入やレベル下げなどの操作を実行すると問題が起きる。カット&ペーストで問題を回避できることも多いが、ヘッダー直下のテキストを選択しないと、書式が失われる可能性がある。また、手動でヘッダーを作成しなければならないこともある
- 容易に変更できない。例えば、文書の最後に数ページの補記があり、補記の各ページにレベル1のヘッダーが設定されているとする。この補記部分でページを挿入したり、ページを削除するとどうなるだろうか。筆者は、Word 2010でレベル1のヘッダーを設定した新しいページを追加してみたが、処理が完了するまでに30分もかかった
- 表やスクリーンショットなど、図を貼り付けた場合、レイアウトを整えにくい。これは、文書の先頭に図を貼り付けてから、図の前に文章を挿入する場合に顕著だ。確かに文字列や図の書式設定のオプションを使うことで調整はできるが、図の位置を思うように変更できない。Word 2010では多少改善されているが、以前のバージョンと比べて大きな変化はない
1つうれしい機能強化がある。WordPerfectに古くからある「Reveal Code」という機能が提供されることだ。これは、編集可能な文字列に設定されている書式のコマンドを公開する機能だ。Wordにも同様の機能があるが、有用性は低い。書式設定自体を編集できれば、この記事で指摘した書式関連の問題の一部は解決できるだろう。
いずれにせよ、これ以上メニューをいじくり回すのだけはやめてほしい。
移行に際しては前回の導入時期を考慮
貴社がOffice 2007の完全な導入が完了したばかりなら、Office 2010へのアップグレードは時期尚早かもしれない。新しいソフトウェアのトレーニングにはコストも時間もかかり、ユーザーのストレスにもなる。エンドユーザーには、ある程度時間的な猶予が必要だ。ただし、18カ月前にOffice 2007の導入を完了したばかりだが、「変化の一歩先を行くため」にOffice 2010への移行に着手している会社もある。会社にはそれぞれの事情があるため、自社のニーズを見極めて、ユーザーのことを考えた選択をしてほしい。
導入
System Center Configuration Manager(SCCM)やサードパーティーの製品を使用してOffice 2010を導入するとしても、実際の展開にはなかなかこぎつけない。カスタムスクリプト、専用のテスト環境を用意し、試験導入を実施する必要があるだろう。この計画を立てていないと、展開は遅れる。
断るまでもないが、今回指摘した内容はごく一部にすぎず、読者のOffice製品の運用状態に応じてアプローチは異なる。導入に当たっては、長短を十分に検討し、テストに必要な時間を十分に確保してほしい。問題の解決に6カ月以上を要した会社もざらだ。このように展開前に障害を取り除いておくことで、Office 2010への移行を実施する場合に、直ちに導入に着手できるだろう。
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Office 2010導入の問題とその解決方法
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