拡張性に優れたARMプロセッサ。急速に進歩する一方、現時点での導入には幾つかの制約を理解しておくことが重要だ。同技術のデメリットと今後の展望を解説する。
前回の「消費電力をIAサーバ比90%削減するARMサーバの可能性」に続き、現時点でのARMサーバのメリットと限界について解説する。
ARMプロセッサの各コアの純粋な処理能力は、従来のIntelチップやAMDチップよりも低いが、電力・冷却要求が低いおかげで、従来型プロセッサでは不可能なレベルのサーバ拡張性を実現できる。例えば、米Tileraの「TILE-Gx」プロセッサファミリーでは、1個のチップに16〜100個のコアを搭載できる。
しかも、1台のサーバに多数のプロセッサを組み込むことが可能だ。例えば、米SeaMicroの「SeaMicro SM10000-64-HD」には数十個のIntel Atomプロセッサが組み込まれ、1台のシャーシで768個のコアを提供する。2個の8コア(あるいは12コア)プロセッサを搭載した標準的な1Uラックサーバとは大きな違いだ。理想的なケースでは、SeaMicro SM10000-64-HDのようなシステムは1台で60台の従来型サーバを置き換え、消費電力とシステムの重量を4分の1に、設置スペースを6分の1に削減できる。
しかし注文書を送るのはまだ早い。ARM技術は急速に進歩しているが、まだ十分に成熟しているとはいえないからだ(関連記事:ARMアーキテクチャはどのように進化してきたのか?)。次のIT機器更新計画にARMサーバを含める前に、現時点での制約を理解しておくことが重要だ。
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