2012年の支出額が、中堅・中小企業だけでも約37億ドルに達するとみられる「モバイルSaaS」。多様化が進むモバイルSaaSの最新動向をまとめた。
企業向けSaaS(Software as a Service)の選択肢は豊富にある。米Salesforce.com、「SalesNOW」のカナダInterchange Solutions、米SugarCRMといったSaaSベンダーのほとんどは、業務遂行を支援するプレハブ型のモバイルSaaSを開発している。一方で、米SoftServeのように、代替パッケージを提供し、企業の開発者がカスタマイズ性の高いモバイルSaaSを開発/導入できるようにしている事業者もある。どちらのアプローチを取るにしても、ベストプラクティスに従って、それぞれのタイプのモバイルSaaSのメリットとデメリットを理解することが大切だ。
登場した当時のSaaSは、デスクトップPCのWebブラウザ経由でアクセスし、データはベンダーが運用するクラウド環境のデータベースに保存する形式だった。この分野で成功するために、SaaSベンダーはできるだけ多くのWebブラウザをサポートしなければならなかった。
だがスマートフォンなどのモバイル端末の人気上昇に伴い、ベンダーはデスクトップPC以外にもアクセスできる範囲を広げ、スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末からWebブラウザ経由でアクセスできるモバイルSaaSを提供するようになった。
デベロッパーとアプリケーションベンダーは、モバイル端末のWebブラウザ経由でアクセスするモバイルSaaSの開発プロセスに関連して、幾つかの制約があることを認識するようになった。その制約には、コンパスやカメラ、通知といった端末機能へのアクセスが最低限しかできないことも含まれる。このためソフトウェアベンダーは、モバイル端末のネイティブインタフェース経由で利用するSaaSの開発に力を入れるようになった。
Webブラウザ経由でアクセスするアプリケーションと異なり、ネイティブSaaSは、モバイル端末にインタフェースを置く。インタフェース経由でシステムに入力された情報は、SaaSを運用するクラウド環境との間で自動的に同期される。
モバイル端末の機能を利用するアプリケーションを開発したかったり、プラットフォームを横断して各種のモバイル端末に対応させたい場合は、ハイブリッドのアプローチを検討するといいだろう。ハイブリッドのアプリケーションは、Webブラウザ経由でアクセスできる一方で、モバイル端末のネイティブコンテナ内部で実行することもできる。
米調査会社Forrester Researchの予想では、SaaSの売り上げは、IaaS(Infrastructure as a Service)やPaaS(Platform as a Service)の売り上げをはるかにしのぐ見通しだ。さらに、ベンダー各社を合わせたSaaSの売り上げの合計は、2016年までに928億ドルに達すると予想する。これは、パッケージ型ソフトウェア市場全体の25%強に当たる。
売り上げがこれほどの規模になる一因は、モバイルSaaSにある。
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