IBMの新オフィススイート「IBM SmartCloud Docs」はMicrosoftやGoogleの既存サービスにどう対抗するのか。選択肢が増えてきたクラウド型オフィススイートの動向を探る。
従来の「Microsoft Office」をやめて、クラウド型オフィススイートを採用することを検討する企業向けの新たな選択肢が登場した。米IBMが「 Google Docs」や「Microsoft Office 365」の対抗サービスと位置付ける「IBM SmartCloud Docs」だ。
IBMはこの新しいクラウド型スイートを2012年12月にリリースした。このスイートには、ワープロ、スプレッドシート、プレゼンテーションのツールが含まれる。これらは、IBMがこれまで行ってきた「Apache OpenOffice」スイートへの協力を基に開発された(参考記事:OracleがOpenOfficeを譲渡──オープンソース支持者の評価はさまざま)。
IBMはSmartCloud Docsで、Microsoft Officeを必要としないユーザーに対して、十分なコラボレーション機能や文書作成機能をパブリッククラウドを使って手頃な価格で顧客に提供することを目指している。
だが、SmartCloud Docsは、「契約書を作成する弁護士や、Microsoft Excelを駆使する金融アナリストが求める、機能豊富なMicrosoft Officeに取って代わることはないだろう」とIBMのソーシャルビジネス/コラボレーションソリューションディレクター、エド・ブリル氏は語った。
ただIBMは、SmartCloud Docsとオンプレミスのオフィススイートを併用することに価値を見いだすIT部門もあるかもしれないと考えている。
「クラウドアプリケーションとレガシーアプリケーションは、相いれないものではない」と、調査会社の米Enterprise Strategy Groupのソーシャルコラボレーション担当アナリスト、トム・ペトロセリ氏は語った。「両者は二者択一の関係ではない。IT部門としては、社員がビジネスニーズに応じてこうした類似したオフィススイートを使い分けるように持っていく方が、戦略的な運用方法になることがある」
医療関連の非営利団体である米Colleagues in Care(CIC)は、全米のボランティア医療ワーカーの力を結集して活動を進めている。そのCICでは、ハイチの医療従事者がアクセスできる医療トレーニング手順を医師が共有、編集、保存する方法を必要としていた。
IBMのSmartCloudを使う前、CICは膨大な電子メールや、ファイルのバージョンに伴う混乱、共同作業の煩雑なルールに翻弄されていた。
「作業の重複や無駄が多かった」と、CICの最高コラボレーション・ラーニング責任者、マリー・ケナーソン氏は語った。
今では「ミネソタの医師がトレーニングの進め方や医療手順をSmartCloudにアップロードし、ニューヨークの医師からリアルタイムでコメントやフィードバックを受ける」「その文書をカリフォルニア在住者がフランス語やハイチ語に翻訳する」「ハイチの医療ワーカーがiPhoneでその文書にアクセスし、自分のニーズに合わせて手を加え、実務に適用する」といったことが可能になっている。
「オンプレミスアプリケーションを買っていたら、この取り組みは不可能だっただろう」(ケナーソン氏)
SmartCloud Docsのおかげでハイチの医療従事者は、米国の医療専門家が作成、改良した優れたトレーニングマニュアルや医療証明プログラムにアクセスできるようになった。「開発途上国における欧米諸国の医師の協力活動は、単発的なアプローチになりがちだが、われわれの場合は全く違う」とケナーソン氏は付け加えた。
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