データの分析に関わる課題は、インメモリ技術を搭載し、高いパフォーマンスを実現するSAP HANAの登場で解決できるのか。HANAがデータ分析で機能するための条件や、考えられる影響を挙げてみよう。
独SAPの幹部らは最近、「『SAP HANA』はエンタープライズソフトウェア業界に大きな変革をもたらす」という主張を繰り返している。HANAによってパフォーマンスが数倍、あるいは数十倍に改善したというケースは多いが、実際にどんな変革が訪れるのかは、現時点でははっきりしない。
SAPがERP市場で大きな影響力を持つようになって以来、ユーザー企業は自社のデータを意思決定に役立つフォーマットに変換する手段を模索してきた。企業があらゆるトランザクションをデータベースに記録するようになったのもそのためだ。
だがそこに今日のジレンマがある。すなわち、「複雑な課題に答えを出すために、いかにしてデータを抽出し、どのように適切なフォーマットに変換すればいいのか」という悩みだ。社内のエンドユーザーとしての経験がある人であれば、「SAP ERP」のデータを「Microsoft Excel」に放り込み、それを表やチャート、グラフなどに変換するのに多くの時間を取られたことだろう(参考記事:Excel最大の課題は「パフォーマンス」 中堅・中小企業が導入したいBI製品は?)。
ビジネス分析アプリケーション(「SAP BusinessObjects」プラットフォームなど)が普及した今日においても、多くのナレッジワーカーがExcelを使って手作業でデータをクレンジングしているという状況には驚くばかりだ。最近、あるビジネスユーザーから聞いた話によると、適切なデータを抽出し、それを月次管理リポートの形式に変換するのに丸3日かかったそうだ。「このユーザーがその3日間をもっと戦略的な仕事に振り向けることができたら」と想像していただきたい。
これは30年近く前にデータウェアハウス(DWH)が登場したときから存在する問題だ。DWHを構築し、それを維持するのにかかる時間の問題である。さらに何年もかけて巨大なDWHを構築した後で人々が直面したのは、データをどう表示するかという新たな問題だ。
これらの問題の中心となるのは、開発のスピード、ビジネスに適用するスピード、そして柔軟性だ。リポート生成のパフォーマンスも問題になることが多いが、アグリゲーション(集約化)や「SAP Business Warehouse Accelerator(BWA)」などの技術によって基本的に解決された。
私がSAP社員としてSAP BWAのユーザーをサポートした3年間を振り返ると、企業から最も多かった反応は、「BWAなしではやっていけない」というものだった。高速なリポート生成が可能になった今、ユーザーの最大の不満は「リポートのフォーマットを変換するのに時間がかかり過ぎる」というものだ。分析結果をWebや携帯端末用のフォーマットに変換できなかったり、迅速に活用できないというのは、今日ではもはや受け入れられないことなのだ。
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