企業ユーザーの「Microsoft Office 2013」へのアップグレードには時間がかかる見込みだ。アップグレードにコストが掛かる上に、その他の選択肢としてクラウド版Officeが浮上していることが理由だ。
「Office 2013」は米国では1月29日に一般向けに発売される予定(編注:日本国内では2月7日に発売予定)だが、米Microsoftのユーザーの多くは今後もOfficeの従来版を使い続けるものとみられ、Office 2013へのアップグレードを急ぐことはなさそうだ。企業もアップグレードせずに、クラウドベースのOfficeスイート製品に移行するケースがあるとみられる。
Microsoftは2012年後半に「Windows 8」や「Windows RT」をはじめとする多数の新製品やアップグレードをリリースした。Office 2013は、大口ユーザー向けには2012年12月初めに提供が開始された。
リリースが遅れたのは大した問題ではない。というのも、多くのITプロフェッショナルはずっと前のバージョンのOfficeを使っており、アップグレードするつもりは当分なさそうだからだ。
米電気工事業者のCon. J. Franke ElectricのIT管理者、スコット・フレージャー氏は「リリースが少し遅れてうれしいくらいだ。テストをする時間ができるからだ」と話している。
同社では現在、Office 2013よりも2バージョン前のOffice 2007を運用しており、他の多くの企業と同様、ソフトウェアの刷新が必要になった時点でアップグレードする方針だという。
旧バージョンのOfficeは依然として人気が高い。Windowsライセンスを専門とする米コンサルティング会社Pica Communicationsで主席コンサルタントを務めるポール・デグルート氏は「当社の顧客の多くはOffice 2010への移行を終えたばかりだ」と話す。Office 2013が一般向けにリリースされても、ユーザーが一斉に飛び付くような状況は考えられないという。
「ユーザーがアップグレードを先延ばしにする最大の理由の1つがコストだ」と指摘するのは、米調査会社Directions on Microsoftでアプリケーションを担当するウェス・ミラー副社長だ。また、アップグレードは時間のかかる作業でもある。
「Office 2010への移行を終えたばかりの企業は当分、同じ作業をもう一度したいとは思わないだろう」とミラー氏は話す。
MicrosoftはOffice 2013を推進しながらも、本音としては、クラウド上で提供されるサブスクリプション版のOfficeにユーザーを移行させたいと考えているようだ。実際、クラウド版には魅力的なアドオンも含まれている。
例えば、「Microsoft Office 365」では「Office Professional Plus 2013」をサブスクリプションベースで利用できるバージョンも用意されている。Professional Plusには、標準のデスクトップ版のOfficeスイートに加え、Exchange、SharePoint Server、Lync(ユニファイドコミュニケーション製品)などのクラウドサーバアプリケーションが含まれる。
とはいえMicrosoftは、Office 2013のオンプレミス版を好むユーザーを無視するつもりはないようだ。
オンプレミス版とサブスクリプション版の選択は結局、ユーザーがどちらの支払い方式を好むのかという問題に帰着する。サブスクリプションモデルでは、ユーザーは継続的に料金を支払い、アップデートはその都度クラウドから提供される。ライセンス方式の場合の支払いは1回だけだが、アップデートは提供されない。
またMicrosoftは、Officeスイートの領土に「Google Docs」や「IBM SmartCloud」などの競合製品が進出するのを阻止したいと考えている。
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