投資対効果が極めて高いコンシューマー向け無線LANルータ。だが企業で使う場合、コンシューマー向け製品の多くが搭載していない機能が重要なポイントになる。
コンシューマー向けの無線LANルータをネットワークインフラに展開している小規模企業を何回か見たことがある。この機器選択について管理者に尋ねると、毎回同じ答えが返ってきた。「コンシューマー向けの無線LANルータは安価で入手しやすい上、機能的にも他のアクセスポイントに引けを取らない」というものだ。
無線LANルータは無線ユーザーと有線イーサネットインフラを結ぶブリッジとなる。コンシューマー向け製品はいずれもIEEE 802.11の諸規格に準拠しており、業界団体であるWi-Fi Allianceがローミングやセキュリティ要件などについて定めた「相互接続性認証テスト」に合格する仕様を持っている。
ただ最も重要なことは、コンシューマー向け無線LANルータの投資対効果が極めて高いことだろう。これらのルータは、エンタープライズ向け製品の3分の1ほどの価格にすぎないものも少なくない。近所の家電ショップやWebですぐに購入できるほか、クラウドベースの管理に対応しているものもある。
こうしたことは、企業がコンシューマー向け無線LANルータを使う非常に強力な根拠になるといわざるを得ない。特にここ数年でコンシューマー向け無線LANルータ市場は成熟し、多くの製品が高度なレベルに達している。企業規模が小さく、2つほどのアクセスポイントで必要なカバーエリアとキャパシティーを担保できるようなケースなら全く問題なく使用できるだろう。エンドユーザーもエンタープライズ向け製品との違いを意識できないはずだ。
では、企業がそれでもエンタープライズ向け製品に投資すべき理由は何か? その4つの理由を紹介しよう。
エンタープライズ向けのどのような無線LANルータでも、管理コンソール機能が重要な差別化要因になりつつある。企業規模の拡大とともに、可視性やリポート、アラート、アラーム機能が管理効率を大きく左右するためだ。コンシューマー向け製品は、この管理機能がエンタープライズ向け製品ほど充実していない。
エンタープライズ向け製品の多くはさまざまな設定が可能だ。例えばVLAN、VPN、アイデンティティー管理、WPAエンタープライズ(Wi-Fi Protected Access-Enterprise)、CoS(Class of Service)、QoS(Quality of Service)、無線リソース管理などを設定するための機能が用意されている。
コンシューマー向けの製品は、単一の管理コンソールで複数の機器をリモート管理できないケースが多い。この場合、たった2〜3台目から管理作業が煩雑になり始める。筆者も経験があるが、設定変更が必要になると1台ずつ作業することになり、うんざりするほど時間がかかる。将来を見据えると、こうした機器は総入れ替えするしかなさそうだ。
無線LANルータにはさまざまなセキュリティ上の脅威が存在する。従って、周波数帯分析や侵入検知などのセキュリティ機能を内蔵していると大いに役立つ。IT管理者が限られている企業ではなおさらだ。
では、企業は今後もエンタープライズ向けの製品を必ず選ばなければならないのだろうか?
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