“垂直統合”を目指さないEMCジャパン、既存ストレージを生かせるEMC ViPRを発表NEWS

単一ベンダーによる垂直統合型ではなく、パートナー企業との協業で幅広いインフラの選択肢を提供することを目指すEMC。その手段としてSoftware Defined Storage を実現する統合管理ソフトを2013年下半期に提供する。

2013年06月07日 14時00分 公開
[翁長 潤,TechTargetジャパン]
photo EMCジャパン 山野氏

 EMCジャパンは6月6日、報道機関向け説明会を開催。米EMCが5月に開催したプライベートイベント「EMC World」の内容を踏まえ、今後の戦略方針やストレージ統合管理ソフトウェア「EMC ViPR」などを紹介した。

 EMCジャパン 代表取締役社長 山野 修氏は、これからのIT環境を“モバイル”“クラウド”“ビッグデータ”“ソーシャル”をキーワードとする「第3のプラットフォーム」とする定義を紹介。メインフレームやミニコンピュータが中心だった「第1のプラットフォーム」と比較してユーザー数やアプリケーションの種類が増大する中、多様なOSやアプリケーション、サービス、コンテンツを提供できるITインフラが求められると説明した。

photo IT環境の変化《クリックで拡大》

 その上で「単一ベンダーのハードウェア、各種ミドルウェア、サポートなどで構成される垂直統合型インフラの提供は目指していない」と強調。同社はオープンなアーキテクチャを採用したパートナー企業との“水平協業”で、ユーザーに幅広い選択肢を提供するという。特にクラウド、ビッグデータに加えて、セキュリティや事業継続計画(BCP)災害復旧(DR)などに注力して企業のビジネスを支援する。

 その幅広い選択肢を提供するための鍵を握るのが、EMC World開催中に発表されたストレージ統合管理ソフトウェア「EMC ViPR」だ。

 EMC ViPRは同社が提唱する「Software Defined Storage」を実現する製品で、全てのストレージ管理機能をソフトウェアで実装する。管理対象のストレージを利用するサーバにエージェントをインストールし、専用サーバで統合管理する。

photo EMC ViPRのイメージ《クリックで拡大》

 EMC ViPRはストレージインフラを管理する「コントールプレーン」とインフラ内のデータを管理する「データプレーン」で構成される。コントロールプレーンは単独が可能。

 コントロールプレーンは「ViPR Controller」機能によって、「EMC VMAX」「EMC VNX」「EMC Isilon」などの自社ストレージとサードパーティー製品、コンシューマ向けコモディティ製品などを1つのリソースプールとして管理できる。ストレージプールはアプリケーションごとに分割して利用でき、ストレージのサービスカタログを作成するとセルフポータル機能も利用できる。また、アプリケーションごとのプロビジョニングも可能だ。

 データプレーンは「ViPR Data Services」機能によって、ブロック/ファイル単位のアクセスのみならず、Amazon S3やOpenStack Swift対応のREST API、HDFS(Hadoop Distributed File System)などさまざなストレージアクセスプロトコルやAPIに対応する(関連記事:話題先行のOpenStackを取り巻く俗説と実態)。

 自社以外のストレージ製品も一元管理することに関して、山野氏は「ユーザー側の資産を最大限に活用できる」メリットを強調。一方で、「ユーザーが求めるストレージの要件は、I/Oや容量、管理面などにさまざま。EMCはそれらに応じる最適なストレージ製品をラインアップしている」と語った。EMC ViPRの国内提供は2013年下半期を予定している。

ITmedia マーケティング新着記事

news047.jpg

SASのCMOが語る マーケティング部門が社内の生成AI活用のけん引役に適している理由
データとアナリティクスの世界で半世紀近くにわたり知見を培ってきたSAS。同社のCMOに、...

news159.jpg

SALES ROBOTICSが「カスタマーサクセス支援サービス」を提供
SALES ROBOTICSは、カスタマーサクセスを実現する新サービスの提供を開始した。

news139.jpg

「Fortnite」を活用  朝日広告社がメタバース空間制作サービスとマーケティング支援を開始
朝日広告社は、人気ゲーム「Fortnite」に新たなゲームメタバース空間を公開した。また、...