SaaSやモバイルの台頭により、Windows PCがクライアントPCの代名詞である時代にかげりが見えつつある。米Microsoftは、歴史あるデスクトップビジネスの盛り返しを図るために、データセンター市場で反撃を開始している。
Windowsデスクトップへの攻撃は激しい。MicrosoftのOSビジネスは米Appleやコンシューマ向け端末による砲火にさらされている。
稼ぎ頭のOfficeアプリケーションは、無数の新しいSaaSアプリ、モバイルアプリ、Webアプリからの影響を受けている。Microsoft Exchange、SharePoint、Active Directoryなどのバックエンドサービスでさえ、クラウドベースの製品が脅威になりつつある。
この争いの象徴として最も顕著なのはクライアントPCだ。今後はWindows PCがクライアントPCの代名詞として使われることは少なくなっていくだろう。米TechTargetのエグゼクティブエディター、コリン・スティールも、「Windows PCがエンタープライズ分野で維持してきた安住の地が、最近タブレットやスマートフォンに攻め込まれている」と指摘している。調査会社の米IDCは、「端末市場に占めるWindowsのシェアは、2012年の31%から2016年には24%に縮小する」と予想している。Windowsアプリケーションから他製品への乗り換えも、この傾向を悪化させる可能性があるという。
実際、Office、Exchange、SharePointなど、企業IT環境の主力製品は、どうだろうか。ユーザーが業務にモバイル端末を利用する時間が増えれば、OutlookやWordの利用が少なくなる可能性がある。
米TechTargetのニュースライター、ジェームス・ファーブッシュは、「Active Directoryさえ影響を受けている」と述べる。ファーブッシュによると、「SaaSを利用している組織は、現在、米OneLoginや米OKTAなど新興企業が提供するクラウドベースのアイデンティティーアクセス管理ツールを導入している」という。データセンターにおけるActive Directoryの覇権を思うと、かつては考えられなかった展開だ。
Microsoftはこの状況に甘んじているわけではない。2013年2月に発表されたMicrosoftの野心的なサブスクリプションプログラム「Office 365」は、Officeスイートのホスティングバージョンをサブスクリプションとして販売することで、デスクトップ製品を21世紀にふさわしい形で提供しようとする試みだ。
だが、米TechTargetのエグゼクティブエディター、エド・スキャンネルは、「サブスクリプション化はMicrosoft製品を運用してきた企業にとって、あまりに負担の大きい変更になり得る」と指摘している。特に、以前のバージョンの永続ライセンスと、オンプレミスソフトウェアのアップグレードを保証するソフトウェアアシュアランスが購入されていること考えると、この影響は大きい。
さらに、米TechTargetのニュースディレクター、ブリジット・ボテリョは、SaaSとオンプレミスソフトウェアの長期にわたるコスト分析を行い、「SaaSは必ずしも有利にならない」と指摘している。
Microsoftが数々の敵と戦うために十分な顧客を招集できるのかどうか、今後の情勢を見守りたい。
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