サービスプロバイダーのトップ企業入りを目指す米Microsoftにとって「Office 365」は期待の星だ。しかし同サービスは障害が相次ぎ、ユーザーの信頼が薄れつつある。同社の対応は。
米Microsoftは2012年、大きな転機を迎えた。同年春から2013年1~3月期にかけて、Microsoftはデスクトップ市場とモバイル市場に向けて戦略的に重要な製品を10本以上投入することになる。これらは基本的に同社の技術ポートフォリオを刷新するものだ。現時点でこれらの製品の半数以上が既にリリースされているが、それなりにヒットしたものもあれば、失敗もある。(Microsoftが)出すと言っておきながら出なかった製品や、あと1年ほど市場での評価を見なければ判断がつかない製品などもある。同社の製品と人事に関連して、2012年における注目すべき展開や興味深い出来事をピックアップした(項目の順序に特に意味はない)。
Microsoftはコラボレーションスイートの「Office 365」を2010年に発表して以来、トップクラスのホスティング型サービスプロバイダーになるという野望を抱いてきた。しかし同サービスの提供開始からわずか3カ月後の2011年9月までに2回の障害が発生した。そして2012年11月には、わずか5日間でさらに2回のサービス停止が発生した。このときは、多くのユーザーが電子メールを利用できなくなり、ユーザーの信頼がさらに揺らぐ結果になった。
不安を感じているのはユーザーだけではない。ここにきて、ITコンサルタントたちも警戒心を抱き始めている。これまで多くのコンサルタントが、経費の節約と管理負担の軽減を求めている企業に対して、堅牢かつ信頼性の高い選択肢としてOffice 365を推奨してきた。しかし今では、自身の評判を落とすことにもなりかねないサービスを推奨するのをためらうコンサルタントもいる。
これらの失策は、Microsoftが新市場に参入するのに伴う産みの苦しみと見なすこともでき、同社の野望を打ち砕くものではないかもしれない。しかし2013年により多くの企業のIT部門で同社の製品を真剣に検討してほしいのであれば、こういった失敗を避ける必要があることは確かだ。
「Windows Server 2012」とクラウド環境である「Windows Azure」との緊密な連係は、クラウドに全面的にコミットする姿勢をMicrosoftがはっきりと宣言したことを示すものだといえる。同社は両製品の組み合わせを“Cloud OS”(クラウドOS)と呼び、「これによりISV(独立系ソフトウェアベンダー)およびユーザー企業がプライベートクラウドを構築し、アプリケーションとサービスの開発、提供、管理をこれらのクラウド上で行うための環境が実現される」としている。
しかし同社の強力な販売部隊がマーケティングに本腰を入れているにもかかわらず、市場での評価は定まらない。Azureを既に運用しているIT部門の間では、Windows Server 2012で大きな改善効果があったと評価する声も聞かれるが、「同製品の今後の方向性についてMicrosoftが明確なビジョンを示していない」として本格的な採用をためらっているIT部門もある。
2012年9月に発売されたWindows Server 2012は、同製品の中でもかつてなく意欲的なリリースだといわれた。発売当初の時点では、Azureとの連係機能は数百に及ぶ機能改善の1つにすぎないという位置付けだった。PowerShellのコマンドレットの数は2300に及び、Active Directoryやクラウドベースの各種サーバにも対応した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
国内のITサービス市場が堅調に伸びている一方、その推進役を担うIT人材の不足が深刻化しつつある。この問題によって、特に多拠点/多店舗を展開する企業の多くが、自社のネットワーク運用においてさまざまな課題に直面しているという。
管理職の対話型マネジメントによる組織力の活性化を目的に、「1on1」を導入する企業が増えている。しかし、さまざまな課題も浮上している。最先端のAI技術で、客観的に1on1を分析し、PDCAを回して改善ができる1on1支援ツールを紹介する。
社内のセキュリティ意識を高めるために欠かせないセキュリティ教育。効果的な教育を行うには、年間を通じた計画を立てることが必要だ。本資料では、その具体的なアプローチとともに、セキュリティ教育を自動で実現するサービスを紹介する。
プライバシー保護に関する規制が厳格化する中、データの収集・活用における戦略の見直しが進められている。規制対応のガイドラインとして、求められる対策やファーストパーティーデータ活用時の留意事項などを解説する。
昨今、多くの組織が、商用サイトなどに来訪するユーザーのプライバシーデータの取り扱いや、その法令順守について戦略の見直しを迫られている。ガバナンスを確保しながらデジタルマーケティングや顧客向けビジネスを推進する方法を探る。
2025年の「IT導入補助金」で中堅・中小が導入すべき2つのツール (2025/3/31)
申請業務のシステム化が難しい理由とその解決策とは (2024/9/27)
運用・管理はお任せ 生成AIを安全に活用できるRPAプラットフォーム (2024/5/16)
オンライン研修で情報処理安全確保支援士の取得と維持を支援 (2024/2/1)
セキュリティ対策にDX 情シスが「やりたくてもできない」状況から脱するには? (2024/1/29)
「テレワークでネットが遅い」の帯域幅じゃない“真犯人”はこれだ
ネットワークの問題は「帯域幅を増やせば解決する」と考えてはいないだろうか。こうした誤解をしているIT担当者は珍しくない。ネットワークを快適に利用するために、持つべき視点とは。
「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。
「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。
「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...