スマートデバイス活用コストを再考する【前編】
「TCO」(総所有コスト)の本当の意味、正しく説明できますか?
企業がモバイル活用を進める際、IT部門は生産性やセキュリティの影響に目を向ける。だが経営陣はそれらと同等か、それ以上にコストも重視する。経営陣との対話に備え、コストに関する基礎知識をおさらいしよう。
IT部門および企業の財務で最も重要な要素の1つが総所有コスト(TCO)だ。ただし、TCOは誤解されている場合が多く、算出するのも容易ではない。
特に、企業のモバイル活用に関わるTCOを算出する方法は複雑だ。ほとんどの企業はIT投資の効果を評価する上で、最も重要な指標は従業員の生産性であると考えている。だが効率改善の数値化は難しい場合が多い。
TCOを理解すれば、財務の専門知識がなくてもモバイル関連予算を管理するのに苦労しなくて済むだろう。
モバイル活用のTCOに含まれるもの
TCOとは、何らかのリソースまたは要素をその寿命を通じて保有するための総コストである。企業のモバイル活用におけるリソース/要素の保有には、モバイル関連投資の収益価値を最大化する目的がある。投資の収益価値には、企業が得る投資利益(ROI)も含まれる。
TCOには2つの基本要素がある。設備投資コスト(CAPEX)と運用維持コスト(OPEX)である。
CAPEXは機器やソフトウェアを購入するコストを含み、通常は1回限りの支出である。だが追加的な一時支出を伴う場合も多い。これらは、1回限りの技術作業(無線LAN構築時に電波状況を調べるサイトサーベイなど)や準備、導入、初期設定、機能検証、連係などの作業に伴う支出である。
OPEXは日常的な運用管理に関連した全てのコストである。監視や制御、管理、トラブルシューティング、サポート、メンテナンス、修理などの費用を含む。大抵の企業は、アップグレードについて新たなCAPEXだと見なす。だがアップグレードに関連したOPEXが発生する場合も多く、その金額はアップグレードの性格によって異なる。
CAPEXとOPEXの管理
IT部門は、ビジネスプロセスをより効率的かつ効果的、そしてより安価に実現する方法を探すことを経営層から常に求められている。モバイル関連予算の管理にも忍耐と戦略が必要だ。各種モバイル製品は、新技術の登場や生産性向上機能の進歩に伴って、費用対効果が大幅に向上する。特にCAPEXを評価する際には、こうした技術的進歩を考慮に入れる必要がある。モバイル活用の初期コストは、技術革新と規模の経済に大きく左右されるのだ。
企業は製品/サービスのアップグレードに対して、常に前向きな姿勢で臨むべきだ。新しい機能は生産性を向上させる場合が多く、これは運用スタッフとエンドユーザーの両方にとってOPEXの削減につながる。確かに、旧式のクライアントPCやインフラをお払い箱にすれば新たなCAPEXが必要になるが、いち早く賢明な投資をした企業は競争で優位に立てる可能性が高い。
一方、OPEXは主として労働者に関係するコストである。管理者や技術者、運用担当者、財務部門のスタッフなどさまざまな職務の従業員の賃金と密接に絡み合っている。だが資本設備と異なり、従業員のコスト(給与および諸手当)は次第に高くなるのが普通だ。もちろんこれは、従業員の労働生産性を向上できなければ、の話である。
新たな資本設備への投資は賢明な判断である場合が多い。最大の理由は、従業員の日常的業務を効率化できるからだ。サポートコストの削減はOPEXの削減を意味し、これは実質的にモバイル活用のTCO削減につながる。
特に、私物端末の業務利用(BYOD)の推進はCAPEXを削減する。企業がクライアント端末を支給しなくて済むからだ。社内で認可する端末のリストを比較的新しい製品で統一すれば、サポートコストの削減、すなわちOPEXの削減が可能になる。
モバイル時代においては、CAPEXとOPEXの削減方法は比較的分かりやすい。だがTCOが不変であるわけではない。
後編では、モバイル活用におけるTCOを最適化する3つのヒントを紹介する。
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