モバイルウォレットが実現する決済の未来
現金はいずれ消える――鮮明になるモバイル財布「Apple Pay」「Android Pay」普及の道筋(1/2 ページ)
モビリティ専門家で起業家の筆者にとって、一日中お尻のポケットに入れた財布の上に座っているのは苦痛でしかない。「モバイルウォレット」はその解決策となり得るのだろうか。
筆者は常々、支払いに必要な金銭を持ち歩かなければならないことを疎ましく思っていた。紙幣は破れてボロボロになる。貨幣は不愉快であり、財布の上に一日中座っているとお尻が痛くなる。もし読者が私と同じような人間なら、お金は紛失しやすい(ティーンエージャーのいる家庭ではまさに“消失”する)。クレジットカードだって、それほど優れたものではない。子どもたちがベースボールカードを収集するように、われわれもプラスチック製のカードを収集してしまいがちだ。小売り大手の米Targetや米Walmart、カナダWholesale Club、その他の小売店や雑貨店のカードが、ポケットや財布の中で増殖し続ける。このカードの束を持ち歩くことに耐えているのは実際、現時点でそれらによる支払い方法が要求されない日はほとんどないからである。
こうした伝統的な通貨にはリスクが山のように存在している。もし現金を落としたら、拾った人に好き勝手に使われてしまうだろう。クレジットカードはコピーされたり、盗まれたりすると、持ち主や信販会社が盗難に気付く前に何度も使われてしまう危険性がある。2015年、POS(販売時点情報管理)やATM(現金自動預け払い機)がハッカーに狙われ、大手小売店の顧客名簿からクレジットカード情報が大量に盗まれるという事件があった。もうこりごりだ。
しかし、全く新しい電子決済システムを実現して、こうした物理マネーに付属するさまざまな負の副産物による苦痛を軽減してくれるモバイル技術がある。「モバイルウォレット」だ。
電子決済、あるいは“ePay”と呼ばれる技術は、今日さまざまな形態があり、うれしいことにユーザーの個人的な好み以上に支払い方式の選択肢が多い。例えば、筆者はAndroidスマートフォン派なので、当然のことながら「Googleウォレット」をモバイルウォレットとして利用している。この電子決済サービスに自分の銀行口座やクレジットカードの多くを接続した。同じように、Appleユーザーなら「Apple Pay」にアクセスすればよい。その他の事業者も何らかの形式のモバイルウォレットを提供している。
モバイルウォレットは、全ての支払い方法を1つのソリューションに統合できるだけでなく、安全性は古い財布と比較にならないくらい高い。全ての個人情報は電子決済サービスによって暗号化される。また、デバイスにパスコードを設定できるため、携帯電話を置き忘れてもその中に保存されている情報へ他人がアクセスすることは難しい。モバイルウォレットがあれば、道端に札束を落とすこともなければ、クレジットカード情報が盗まれることもない。
このように、モバイルウォレットは現金を物理的に持ち歩くときに生じる問題を解決してくれるが、本当のメリットを実感するのは小売店に入ったときだ。全世界の大手小売店とPOS事業者の多くが、この新しい支払い方式を採用し、POSデバイスやレジの近くに携帯電話をかざすだけで買い物ができる。それらの小売店は、顧客の利便性や、さらにはこうしたシステムが提供するセキュリティがいかに重要であるかを理解している。
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