クライアントベースの仮想マシン/クライアントハイパーバイザー方式/client-based virtual machine
クライアントベースの仮想マシンは、サーバで集中管理され、クライアント端末のローカルハードウェアで実行されるOSインスタンスである。仮想マシンイメージはサーバとの定期的な同期によって更新とバックアップが行われるが、クライアントベースの仮想マシンはネットワークへの常時接続がなくても機能する。
クライアントベースの仮想マシンは、Type 1(ベアメタル)ハイパーバイザー上でホストOSを使わずに実行することも、Type 2ハイパーバイザーを使ってホストOSとともに実行することもできる。ハイパーバイザーは、ローカルハードウェアとのインタフェースを提供し、OSイメージに通常含まれるドライバーの代わりになる。これにより、仮想マシンイメージを標準化でき、さまざまなハードウェア構成で使用できる。
ただし、より高度な機能を利用するには、多くの場合、仮想マシンからハイパーバイザーを介してローカルホストのハードウェアに直接アクセスし、操作しなければならない。そのためには、仮想マシンを実行しているハードウェア用のドライバーを用意する必要があるが、標準化のメリットは失われることになる。この点を差し引いても、バックアップ、セキュリティ、暗号化、ディスクイメージの修復を簡単にできるなど、集中管理のメリットは多い。
クライアントハイパーバイザーにまず注目したのは、仮想デスクトップをオフラインで実行する方法や、Windows 7マシンで旧バージョンのWindowsを使う方法を必要としているIT担当者だった。しかし、このデスクトップ仮想化技術は、従業員のデスクトップのセキュリティを確保する簡単な方法でもある。
ベアメタル型のクライアントハイパーバイザーのマイナス面の1つは、ノートPCのバッテリー持続時間が約40%短くなってしまうことだ。その理由は、基本的にOSを2つ実行し、セッション全体がRAMの中で処理されるからだ。そのため、社外に出る従業員は予備のバッテリーの携帯が不可欠だという。
クライアントハイパーバイザーが提供するデスクトップの集中管理機能は、トラブルが発生したマシンをリプレースしたり、OSを新バージョンにアップグレードしたりする場合の新しいOSイメージの展開も容易にする。セキュリティパッチの配布も、イメージ更新の一環として行える。
市場では、さまざまなベンダーのクライアントハイパーバイザーが提供されている。これらにはそれぞれ、考慮すべき固有の要件や制約がある。
各社製品の特徴や機能を解説するとともに、製品選定のポイントを紹介する。
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