XenClient 1.0のHCLに登録されているチップファミリーは1種類、vProだけだ。しかし、クライアント型のハイパーバイザーを実行するのにvProは必要ない。
前編「クライアント仮想化にIntel vProを利用、価格に見合う価値はあるか?」では、なぜハイパーバイザー型のクライアントハイパーバイザーの実行にvProが必要ないかについて説明した。後編では、クライアントハイパーバイザーの現状の課題と今後の選択肢に触れる。
ベアメタル型のクライアントハイパーバイザーのマイナス面の1つは、ノートPCのバッテリー持続時間が約40%短くなってしまうことだ。その理由は、基本的にOSを2つ実行し、セッション全体がRAMの中で処理されるからだ、とマクブリッジ氏。そのため、社外に出る従業員は予備のバッテリーの携帯が不可欠だという。
同氏によると、もう1つの問題はパスワード認証が2つのレベル、すなわちブートアップ後のログインパスワードとWindowsパスワード認証で行われるため、シングルサインオンの利便性が失われることである。
しかし、VDIに関してマクブリッジ氏が最も不満に思う点の1つは、いまだオフラインサポートが欠落していることだ。Citrix SystemsとVMwareは2010年、この問題に取りあえず対応した。ところが、Citrix SystemsのType1クライアントハイパーバイザーは欠陥だらけであり、VMwareのType2バージョンも現時点で大きな成功を収めたとは言いがたい。
XenClient 1.0に関する主な不満は、HCLが非常に限定されていることと、エンドユーザーのマシンに何かをインストールする場合、ITの専門家が手作業で実行しなければならない点だ。これは従業員が自前でPCを用意しなければならない企業では大きな問題になるだろう。
「自分のマシンにIT部門が何かをインストールするのを喜ぶ人はいない」と、米Gartnerのアナリスト、クリス・ウルフ氏は語る。「HPや米Dellからクライアントハイパーバイザーがセットアップ済みで届くなら、それはそれで構わない。だが、会社のIT部門に自分のマシンをめちゃくちゃにされることをユーザーは望まないだろう」
バックエンド管理システムを持つVirtual ComputerのXenベースのクライアントハイパーバイザーは、Windows ServerおよびHyper-V上で稼働する。同社は、2010年Intelに買収されたNeocleusとともに、最も早くベアメタル型クライアントハイパーバイザーを提供したベンダーの1社だ。
Intelは、独自のクライアントハイパーバイザーを出荷するかどうかは明らかにしないだろう。だが、Neocleusの技術を自社のロードマップに統合し、OEMやISV(独立系ソフトウェアベンダー)に提供する計画を検討中であることは明言している。
Microsoftもまた、Windows 8の一部としてHyper-Vクライアントハイパーバイザーの開発を進めている。仏Microsoftの技術セキュリティディレクター、ベルナール・ウーガンリアン氏は2010年、フランスのメディアに対して、Hyper-V 3.0がMinWinバージョンとともにクライアントハイパーバイザーとしてWindows 8で走るだろうと述べた。ただし、Microsoftはこの記事について公式に認めていない。
MinWinとHyper-VクライアントハイパーバイザーがWindows 8で登場か?(前編)
MinWinとHyper-VクライアントハイパーバイザーがWindows 8で登場か?(後編)
XenClientは、Ctrix SystemsがHCLを拡充して製品を改善すれば、より強力な選択肢になるはずだ。そして、仮想デスクトップにリモートワーカーがオフラインアクセスできるようにしたい企業にとって、今後重要なテクノロジーの1つになることは間違いないだろう。
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