ストレージ専用OS「NexentaStor」でVPSからクラウドサービスに転身
GMOインターネット「ConoHa」、性能大幅改善の鍵はSDSとSSD(1/2 ページ)
GMOインターネットが2015年5月にリニューアルしたクラウドプラットフォーム「ConoHa」。ストレージ基盤にSSDを全面導入してパフォーマンスを格段に向上させた。その取り組みを紹介する。
インターネット関連サービス事業を展開するGMOインターネットは、2013年に仮想化技術で専用の領域を低価格で利用できるVPS(仮想専用サーバ)サービス「ConoHa」(コノハ: Compute nodes with High flexible architecture)の提供を開始。低価格な料金体系と使いやすさなどから、多くのユーザーを獲得し順調にビジネスを拡大してきた。その一方でインフラの規模が拡大し、ユーザーのニーズも多様になったことでより高いパフォーマンスを望む声が多くなっていた。
同社はそこで、ボトルネックとなっていたHDDのストレージ構成をSSD(ソリッドステートドライブ)に換装することでパフォーマンス強化を図ることにした。ネクセンタ・システムズ・ジャパンのストレージ専用OS「NexentaStor」を活用して、汎用サーバを追加して拡張するストレージ基盤に再構築した。
GMOインターネットはなぜアプライアンス型のストレージシステムを採用せず、ソフトウェアのNexentaStorを選んだのか。その決め手となったリファレンスアーキテクチャとは何か。
併せて読みたいお薦め記事
SSD(ソリッドステートドライブ)に関する記事
SDS(ソフトウェア定義ストレージ)に関する記事
- 5分で分かるSoftware-Defined Storage(SDS)のメリット
- 「SDS」とは? ストレージを語る上で欠かせない3つの最新キーワード
- SDSで得する企業と損する企業、ストレージ最大の注目技術はなぜ革新的か
「NexentaStor」に関する記事
ConoHaが抱えたシステムの課題とは?
GMOインターネットは、1995年の創業以来インターネット関連サービス事業を展開している業界の老舗だ。
- ドメインやレンタルサーバ、クラウドサービスなどを提供するインターネットインフラ事業
- 広告配信業、SEOなどをサポートするインターネット広告・メディア事業
- 外国為替証拠金取引(FX)などのインターネット証券事業
- ソーシャルアプリゲーム、スマートフォンゲームプラットフォームなどの開発支援を行うモバイルエンターテイメント事業
の4つが主力事業となっている。
同社は顧客にマッチした多ブランド戦略を取っており、2013年にConoHaをスタートさせた。ConoHaは一般のシェアードホスティングサービスとは異なり、仮想化技術で論理的に独立した専用の領域を低価格で利用できることがメリットだ。シンプルなプラン構成と分かりやすいグラフィカルユーザーインタフェース(GUI)、定額制の料金体系などから、サービスの迅速な立ち上げやシステム運用コストの削減を目指すインターネットビジネス展開企業で導入が進んだ。主にエンジニアや開発者が中心顧客となり、アプリケーションやデータベース、サービスの運用基盤として利用されてきた。
好調なConoHaだったが、次第にデータベース(DB)やWebサーバなどのインフラの規模が拡大し、ロードバランサやドメインネームシステム(DNS)、海外のデータセンターとの連係などのニーズが多様化してきた。その流れを受け、VPSだけではユーザーのニーズをカバーできなくなっていった。課題は、システムの冗長化だった。仮想サーバを複数台組み合わせてシステムを構築するケースや、仮想サーバを一時的に立てて不要になれば消すといったインフラのライフサイクルに対してパフォーマンスが不足してきた。また、クラウドを利用した仮想サーバの再配備手法が注目される中、ConoHaはその運用に不可欠なアプリケーションプログラミングインタフェース(API)を用意していなかった。
ストレージのパフォーマンスは高ければ高いほどいい
「当社はConoHaのサービスを大幅に拡充し、VPSからパブリッククラウドサービスへと進化させることで、個人からエンタープライズまでのニーズに幅広く対応するよう、サービスをより強化する方向に舵を切りました」。こう説明するのは、GMOインターネット 事業本部 ホスティング事業部 テクニカルエバンジェリスト 斉藤弘信氏だ。斉藤氏はConoHa立ち上げから関わり、実際に開発にも携わるとともに「Twitter」「Facebook」などのソーシャルネットワーキングサービス(SNS)でConoHaの情報を発信したり、イベント講演や記事執筆なども手掛ける伝道師的存在として知られる。
ただ、そうしたインフラサービスを提供するためにボトルネックになりがちなのがストレージの存在だ。VPS時代のConoHaは全てのストレージをHDDで構成していた。パフォーマンスはチューニングしていたが、CPUやメモリとは異なりストレージは、数を増やしただけでは簡単にパフォーマンスを上げにくいやっかいな要素だ。Webアプリケーションを作るときにも必ずデータベースは不可欠だが、そのI/Oパフォーマンスを左右するのもストレージだといえる。
「ユーザーからはいつもより高いパフォーマンスが求められていましたので、ストレージのパフォーマンスは高ければ高いほどいいと考えていました」と斉藤氏は語る。
またHDDのI/Oでは1台のサーバに収容できるユーザーの数が頭打ちになり、収益の改善が見込めない状態になっていた。どのようなストレージを選択し、何を活用して構成を組めばいいのか。幾つかの改善策を検討した結果、注目したのがNexentaStorだった。
SDSでの実装を
NexentaStorは、オープンソースソフトウェア(OSS)のUNIX系OS「OpenSolaris」を継承する団体illumosのカーネルを利用した、「ZFS」ベースのストレージ構築用ソフトウェアだ。ZFSは「Oracle Solaris」で実装されている128ビットアドレッシング方式のファイルシステム。汎用的なx86サーバと、「JBOD」(複数ディスクを単一ディスクのように扱う技術)を採用したディスクエンクロージャーを組み合わせて実装する仕組みを持つ。「SDS(Software Defined Storage:ソフトウェアで定義されたストレージ)」として、大規模企業を中心にグローバルで導入実績を重ねている。
NexentaStorは信頼性と可用性を高める工夫を施している。具体的には、HAクラスタ(高可用性を得るために構成されたクラスタ)やレプリケーション、Web管理コンソールのサポート、「VMware」「OpenStack」など仮想化/クラウド環境構築ソフトウェアとの連係機能といったエンタープライズストレージに必要な機能を備えている。アプライアンス型のストレージシステムと比べて柔軟性と拡張性が高く、大容量かつハイパフォーマンスなエンタープライズレベルのストレージを低コストで構築するという、相反した目的を実現することが可能な製品として一目置かれている。
既にConoHaのサーバのローカルにはSSDが格納されていたが、追加でSSDにアクセスするストレージ専用サーバ基盤にNexentaStorを採用した。
「信頼性や可用性、パフォーマンスを総合的に考慮した結果、ベストなプロダクトだと判断しました」と話す斉藤氏。だが、NexentaStorが選ばれるべき理由は他にもあった。
GMOインターネットは業務上さまざまな最先端のテクノロジーを積極的に取り入れているが、SDSはConoHaが初めての試みとなる。ConoHaはOpenStackで構築されており、NexentaStorもドライバレベルでOpenStackに対応しているので、一からの作り込みが不要で連係もしやすい。また社内でもZFSを使っており、使い慣れた手法でストレージを構築できるという点でもメリットが多かった。
さらにGMOインターネットは今回、米Nexenta Systemsと米DellがHCL(ハードウェア互換リスト)を共有し、詳細なハードウェアコンポーネント(CPU、DRAM、NICなど)を共同で設計・テストしたリファレンスアーキテクチャに基づくモデル(RAモデル)を採用した。RAモデルはNexentaStorの機能をほぼ保証する検証済みのアプライアンス形態で提供でき、NexentaStorとハードウェアの相性問題が発生する可能性を抑えることができ、Dellから直接のサポートも受けられ、短期間での構築とサービス開始に大きく貢献した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
事例
[株式会社マクニカ] アイカ工業に学ぶ脆弱性対策 情シスが把握できずにいたアセットも正確に把握 -
製品資料
[株式会社マクニカ] 「脆弱性総まとめ」解説 被害事例から考える必須の対策ポイント -
製品資料
[Splunk Services Japan合同会社] サイバー脅威「トップ50」完全解説ガイド、新たな攻撃手法に対抗するには -
製品資料
[株式会社うるる] 「入札市場」完全ガイドブック:メリットから資格取得のポイントまで -
市場調査・トレンド
[株式会社うるる] はじめての「自治体/官公庁入札」 必要な知識がすぐに学べる入門ガイド
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
2
Oracle巨大ITプロジェクトはなぜつまずいたのか 8年で導入1割、追加で170億ドル
-
3
Microsoft製品でここまで自動化できる 情シスがやめられる手作業10選
-
4
「企業内サーバ環境の利用実態」に関するアンケート
-
5
AI基盤は本当に「オンプレ回帰」する? Broadcomの言い分と企業の本音
-
6
「技術屋」で終わらないために 情シスが今取るべき認定資格5選
-
7
「攻撃側にナイフ、防御側にパン」 OpenAIの10億ドル支援に潜む危うさ
-
8
「世界一給与にハングリー」な日本のエンジニアが“雇用の安定”を求める理由
-
9
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
-
10
「Linuxサーバの長期運用とRed Hat Enterprise Linux」に関するアンケート
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AIエージェントで多様な日常業務を効率化するための入門ガイド
-
2
AIが「わざわざ使うツール」になっていない? 業務で自然に使う導線にする秘訣
-
3
5回聞くだけじゃ足りない? トヨタ式「なぜなぜ分析」の正しい実践方法
-
4
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
5
「脱Excel」か「Excel快適化」か? 現場にやさしい業務改善の進め方
-
6
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
7
PostgreSQLの「機能」「性能」「運用」「拡張性」に関する悩みの解消法
-
8
5分で分かる「セキュア大容量ファイル転送サービス」の機能とメリット
-
9
Macの安全神話は崩壊? 最新の脅威動向から見えた攻撃のトレンドと有効な対策
-
10
情報セキュリティ対策早分かりガイド:25の自社診断で弱点と解決策を理解
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー