技術革新がなおも継続中
フラッシュストレージで活性化、ファイバーチャネルは生き残れるか
ファイバーチャネル(FC)ストレージの時代はまだ終わっていない。さまざまな業界アナリストによる市場調査の結果を見ると、FCストレージはまだ広く使用されており、ゆっくりと減少しているようだ。
ファイバーチャネル(FC)は終わったという記事がまた出てきている。市場調査によると、FCによるストレージ相互接続はゆっくりとした減少傾向にあるものの、まだテクノロジーの墓場に葬られてはいない様子だ。前編「SSDで再ブレイク、ファイバーチャネルがいまだ健在である理由」に続き、FC市場の今後を読み解く。
ストレージネットワークの動向を追っている米調査会社Dell'Oro Groupの予測では、2019年までの年平均減少率はFCスイッチポートで3%、サーバとストレージ間の接続とI/O処理を提供するホストバスアダプター(HBA)のFCポートで7~8%になる見通しだという。また、米Crehan Researchの予測では、2019年までの年平均出荷減少率は、FCスイッチ、HBAポートともに5%としている。2008~2014年の実際の減少率は2%だった。
「課題は市場拡大」
米451 Researchが2015年に247社の大企業と中規模企業にインタビューを実施したところ、FCが依然として広く利用されていることが分かった。大多数の企業(83%)がファブリックやダイレクタークラスFCスイッチを運用していた。
451 Researchのストレージカスタマーインサイト担当副社長のマルコ・コールター氏は電子メールで「課題は市場拡大だ」と述べた。現在、運用環境にFC未導入の回答企業のうち、導入を計画しているのは4社のみだったという。
ストレージ戦略について話を聞いた82社のうち、FC SAN使用中の企業67%がFC SANを今後5年間の戦略技術と見なしており、その40%がFC SANより低コストで高パフォーマンスの技術がなければ置き換えないと答えた。一方、FC SANを戦略技術と考えない企業が挙げる代替技術の1位はiSCSIで39%、2位はFCoE(Fibre Channel over Ethernet)で17%だった。
「企業におけるストレージは、フラッシュやクラウド、ハイパーコンバージェンスの影響で劇的な構造的変化の過程にある。この混沌(こんとん)の中で、FC SANは既に利用されている戦略技術である一方、未導入企業の選択肢にはならない技術と位置付けられている」(コールター氏)
フラッシュストレージで活性化するFC
フラッシュストレージのおかげでFCは勢いを得た。米TechTargetが2015年に実施した調査では、ストレージベンダー11社中8社が、それぞれの企業顧客の多くが社内のオールフラッシュアレイや(ソリッドステートドライブとHDDを併用する)ハイブリッドストレージシステムにFCスイッチとアダプターを使っていると回答した。
ハイブリッドアレイを専門とする米新興企業Nimble Storageは当初、同社のSAN製品でiSCSIのみをサポートしていた。2014年、FCネットワークを導入する必要性に気付いた。もともとはハイエンドの中小企業を対象としていたが、マーケットベースを大企業に拡大したい考えだという。
米EMCと米Hewlett-Packardは、フラッシュによって16 Gbps FCへのアップグレードが加速することが多いと答えた。前述のCrehanの調査によると、2014年に出荷されたFCスイッチポートのおよそ半数が16 Gbpsであり、2015年になると16 Gbps HBAの出荷台数が増えた。スイッチの導入の方が速かったのは、帯域幅需要の大きいスイッチ間リンクが原因だという。
Crehanの調査では、2013年から2014年でFC HBAポートの出荷台数は300万台から280万台に減り、HBAの売り上げは5億7000万ドルから5億3700万ドルに落ちた。
2大HBAベンダーの1つ、米国・シンガポールAvago TechnologiesのEmulexコネクティビティ部門でバイスプレジデント兼ゼネラルマネジャーを務めるジェフ・フーゲンブーム氏は、FCマーケットが減速する原因はUNIXサーバの低迷にあると話す。
ただし、フラッシュや16 Gbpsへの移行、中国などにおける需要拡大によってFCは再活性化する、とフーゲンブーム氏は話す。同氏によれば、FC HBAおよびFCoE CNA(コンバージドネットワークアダプター)のSAN接続率は2013年から2014年で2%増加しており、HBAは微減、新しいCNAの方は微増だったという。
FC技術の将来
今のところ、FCの技術革新が行き止まりに達した気配はない。大手FCスイッチメーカーの米Brocade Communications Systemsと米Cisco Systems、HBAベンダーの米QLogicとAvagoのEmulex部門、これら各社は、データ転送速度を32 Gbpsに倍増する次世代製品に取り掛かっている。
Ciscoデータセンター&エンタープライズスイッチンググループでプロダクト管理シニアマネジャーを務めるニティン・ガーグ氏は次のように話した。「Ciscoはマルチプロトコルストレージネットワークに投資する方針であり、そこには高トランザクションI/O処理を必要とするデータベースや『Microsoft Exchange』などのアプリケーションの存在がある。過去に顧客がファイバーチャネルを導入したのはそうしたアプリケーションのためであり、Ciscoとしては顧客が当面ファイバーチャネルを使い続けるだろうと考えている」
新しいFC技術を真っ先に取り入れるスイッチベンダーのBrocadeは、2016年に32 Gbps製品の出荷を開始する予定だと製品マーケティングディレクターのスコット・シモムラ氏は話す。
シモムラ氏によると、最新のGen 6 FC標準では、1レーン32 GbpsのFCを4レーンまとめて1つのケーブルと光トランシーバーに割り当てることで、合計128 GbpsのFCにトラフィックを集約することもできるという。Brocadeは2017年に128 Gbpsスイッチを出荷する計画だ。シモムラ氏は、128 Gbps FCを使うには、16 Gbps FCと32 Gbps FCで使用していたSFP+光トランシーバーから、QSFP(Quad Small Form-Factor Pluggable)トランシーバーに移行する必要があるという。
FCはもう終わりだという話は、FC製品が初めて登場してからわずか3年の2000年ごろから耳にしていたとシモムラ氏はいい、新世代のFCが登場しそうになるころ、こうした否定的予測が出てくると話す。
「終わりだという予測が出るたびに逆のことになった。横ばいになった1、2年ほど前までは、記録的な年が続いていた」
Brocadeの2015年5月締め四半期のSAN製品収入は3億1400万ドルで、2014年同四半期比2%減となった。同社はその原因として、ストレージ需要の軟化とOEMパートナーの事業問題を挙げている。一方、BrocadeのIPネットワーク製品収入は前年同四半期比19%増の1億4500万ドルだった。
米Dragon Slayer Consulting社長のマーク・ステイマー氏は、FC SANは10年以内にニッチ技術に格下げになり、IT組織の変化の遅いところだけで使われる技術になるだろうと予想する。
「残っているFCスイッチベンダーは2社のみ、HBAベンダーは2社のみで、この分野が非成長市場であることを示している。ストレージは不滅だが、FCはウォッチリストに入っている」(ステイマー氏)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品レビュー
「電子帳簿保存法対応」実践術:タイムスタンプ付与などの要件の手軽な実現方法 -
事例
「大企業のデジタル化」成功事例集【コクヨ、九州電力、ヨネックスなど21社】 -
製品資料
“顧客管理の課題”を簡単に解決する方法とは? -
製品資料
契約管理の“あるある課題”をノーコード開発で解決するためのポイント -
製品資料
揺らぐ境界防御 いま企業が特に警戒すべき「3つのセキュリティ課題」とは?
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
2
Microsoft製品でここまで自動化できる 情シスがやめられる手作業10選
-
3
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
-
4
継続利用は4割どまり M365 Copilotが「効く業務」と期待外れの境界
-
5
画面をティッシュで拭くのはNG Dellが推奨するPCの正しいお手入れ方法
-
6
VDI運用の“生きたノウハウ”を共有 歴史あるユーザー会の魅力とは?
-
7
メインフレームは死なず AI活用で20年来の高収益をたたき出す基幹システムの底力
-
8
Oracle巨大ITプロジェクトはなぜつまずいたのか 8年で導入1割、追加で170億ドル
-
9
「GitHub Copilot」3000人に配布も基本機能しか使われない 保険大手が得た教訓
-
10
GitHub Copilotを使いこなす第一歩 初めてのプロンプト6つのコツ
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AIエージェントで多様な日常業務を効率化するための入門ガイド
-
2
AIが「わざわざ使うツール」になっていない? 業務で自然に使う導線にする秘訣
-
3
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
4
5回聞くだけじゃ足りない? トヨタ式「なぜなぜ分析」の正しい実践方法
-
5
「脱Excel」か「Excel快適化」か? 現場にやさしい業務改善の進め方
-
6
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
7
「結局、一部の人しか使わない」 AI活用が業務に定着しない根本的な理由
-
8
AIエージェントで成果は出る? 調査結果に見る費用対効果の実態
-
9
PostgreSQLの「機能」「性能」「運用」「拡張性」に関する悩みの解消法
-
10
ゼロトラストにおける「IDaaSの課題」と補完すべき重要機能とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー