カスタマイズ? or スーパーNAS?
“ODM Direct”サーバが日本で生き抜く道(1/2 ページ)
ODM Directで調達するサーバに注目する企業が海外で増えている。基幹システムで動くサーバとは別の業務領域で拡大しつつあるサーバ市場の日本における現状とこれからの見通しをキーマンに聞いた。
大手サーバベンダーでは対応できない領域を突き進む
本来「ODM Direct」という単語は、製造における企業間の受託関係を示す(ベンダーから依頼を受けた生産企業が設計開発から製造まで行い、完成品を納めてベンダーが自分のブランドで販売する)言葉で、主にクライアントPCのODM(相手先ブランドによる設計と開発)ベンダーを差すことが多い。最近のODMベンダーは、Appleの「MacBook Air」を思わせるような薄くて軽いノートPCも開発製造できるようになってきた。
ところが、このところ、ODM Directという言葉をサーバの領域でも使うことが多くなっている。企業の基幹システムに導入するサーバは今まで、大手サーバベンダーの独壇場だった。だが最近では大企業が必要とする基幹システムのサーバとは別に、中小規模の企業の間でデータを共有するためのサーバ、コンテンツ制作現場で特定のプロジェクトや部署ごとに用意するサーバなど、これまでとは異なる需要が増えている。こういった需要に対応できるのがODM Directで調達できるサーバだ。
大手サーバベンダーが提供するハードウェア構成が一律のラインアップでは、特定部署が求める処理能力を満たさない。そういう理由から、ユーザーがCPUやシステムメモリ、データストレージなどの構成をカスタマイズできるサーバをODM Directから調達するケースも多い。個人向けクライアントPCでよくある「BTO」(注文生産)のサーバ版だ。ショップブランドPC感覚でオーダーできるところから「ホワイトボックスサーバ」と呼ぶ関係者も多い。
このように海外市場で先行する一方、日本のODM Directによるサーバ市場はどのような状況にあるのか。ここでは、「カスタマイズサーバ」と「中小規模事業所向けサーバ」という2つの側面から現状を確認する。
DIYパワーユーザーが支持するカスタマイズサーバ
ODM Directの1社として事業を展開しているサードウェーブデジノス 取締役社長の田中基文氏は、日本におけるサーバ市場の現状について、「2010年以降にMicrosoftやCiscoなどが策定したデータセンターのアークテクチャ標準化によって、データセンターで用いるサーバでは、ハードウェアが横並びとなりベンダーは納入価格でしか違いを出せなくなってしまった」と指摘する。「そのため、このカテゴリーのサーバ市場では、価格競争力のある中国ベンダーが日本でもシェアを拡大している状況にある」(田中氏)
その一方で、企業で必要としているサーバでは、IT部門が取り扱う基幹システム向け以外でサーバの需要が拡大している。「例えば、動画コンテンツ制作現場では4K(解像度3840×2160ピクセル)や8K(解像度7680×4320ピクセル)クラスのデータを扱う。そのため、既存のサーバでは処理能力が足りなくなり、転送速度が高速で大容量のストレージを搭載したコンテンツ制作ファイル専用の共有サーバを用意するなど、特定の部署や業務内容に合わせてサーバを使う目的が細分化している」(田中氏)。このような、目的特化タイプのサーバに対する需要は、コンテンツ制作現場以外でも大学の研究室や企業の開発部署など「セクション単位」で増えている。
企業の基幹システムといったIT部門が扱うミッションクリティカルなサーバは(富士通やNECや東芝、日立といった)ナショナルメーカーや外資大手メーカーが扱う領域だ。そのような大手メーカーではできない、ユーザーの柔軟なニーズに細かく対応するのがODM Directが提供するサーバ(以下、ODM Directサーバ)というすみ分けになる。
田中氏は、サードウェーブデジノスのようなODM Directの強みとして、大手サーバベンダーやシステムインテグレーター(SIer)が同じベンダーの製品でシステムを構成しなければならないのに対して、個別のユーザー企業に合わせて異なるベンダーから適切なパーツを選んで柔軟に構成できることも挙げている。さらに、サードウェーブデジノス 営業本部 システムソリューション部次長の村田敦士氏は、システムを構成するパーツだけでなく、それらを収納するケースについてもシャシーのカスタマイズが可能など、ユーザー企業の自由度は大手ベンダーのサーバと比べてはるかに高いと主張する。「BIOSなどのファームウェアでもユーザー企業に利用場面に合わせてチューニングしたオリジナルバージョンを用意できます」(村田氏)
日本では「ODM Direct サーバ」という言葉自体はまだ一般的ではない。ただし、構成を柔軟にカスタマイズできるODM Directサーバのニーズは、日本でも確実に存在する。実際、企業の開発部や大学の研究室といったセクション規模でパワーユーザーがカスタマイズできるサーバとして導入するケースも少なくない。
田中氏は、ODM Dircetサーバ市場の今後について、現在主流の映像コンテンツ制作現場や研究開発現場以外にもIoTの実用化に伴って、農業などのフィールドコンピューティングでも新しい需要が生まれるという見通しを示めす。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
技術文書・技術解説
[Jamf Japan 合同会社] MDMだけでモバイルセキュリティは十分? 不足する対策を16項目でチェック -
製品資料
[株式会社ウェーブスプリッタ・ジャパン] 100Gbps対応の光トランシーバーはどう選ぶ? 10分で分かる選定のポイント -
製品資料
[株式会社フィックスターズ] 組み込み開発の生産性と機密性を両立、自社環境で構築する「セキュアAI」活用術 -
製品レビュー
[ServiceNow Japan合同会社] 問い合わせの約9割を自動で解決、AI主導の自律型CRMがもたらす業務変革の全貌 -
市場調査・トレンド
[ServiceNow Japan合同会社] AI活用が業務自動化で止まる理由は何か? 調査で判明した課題と変革への道筋
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
AI全部入り「Microsoft 365 E7」に企業が二の足を踏む訳 移行意向はわずか4%
-
2
なぜOpenAIやAnthropicのAIは「脱走」したのか 情シスが迫られるエージェント統制
-
3
【基本情報技術者試験】「デュプレックスシステム」と「デュアルシステム」の違いは?
-
4
GitHubが指摘 AIが書いた「おそらく動くコード」が招くシステム崩壊
-
5
Anthropicが明かす AIは入力データを「どこまで覚えているのか」
-
6
「高すぎるGPU」を捨てAI推論をCPUへ Armが示す電力とコストの現実解
-
7
「Microsoft一択」で本当にいいのか 知らぬ間にライセンス費用が膨らむ真相
-
8
MS月例パッチが1000件突破 人手不足の情シスを襲う「月1回メンテ」の崩壊
-
9
バイブコーディングの限界を突破するお役立ちOSSツール「Spec Kit」とは
-
10
「有線LAN環境」に関するアンケート
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
生成AIのハルシネーションを防止 回答精度を高めるセマンティックレイヤーとは
-
2
5回聞くだけじゃ足りない? トヨタ式「なぜなぜ分析」の正しい実践方法
-
3
AIエージェントで多様な日常業務を効率化するための入門ガイド
-
4
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
5
「脱Excel」か「Excel快適化」か? 現場にやさしい業務改善の進め方
-
6
マンガで解説:「ゼロトラスト」「SASE」の必要性とメリット
-
7
5分で分かる「セキュア大容量ファイル転送サービス」の機能とメリット
-
8
情報セキュリティ対策早分かりガイド:25の自社診断で弱点と解決策を理解
-
9
国税庁の次世代基幹システム「KSK2」稼働開始に向けて、対応すべき変更点とは?
-
10
AIが「わざわざ使うツール」になっていない? 業務で自然に使う導線にする秘訣
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー