Windows 10が、データ量の多いワークロードを処理するため、PC最適化機能を備えたエディションの提供を計画している。機械学習などで大量のデータを扱う企業に有用なアップデートとなりそうだ。
企業は目下、各種の最新技術から生じる大量データの処理方法を模索している。近く登場するWindows 10の新エディションが、その答えを提供してくれることになるかもしれない。
Microsoftは2017年6月1日、「Windows Insider Program」の参加者に配信したビルドにおいて、「Windows 10 Pro for Workstation」という新エディションの開発計画を誤って公開してしまった。ハイエンドPCの処理能力をうまく利用することで、データ量の多いワークロードを効率的に処理することを目指したエディションだ。近年は人工知能(AI)や機械学習、拡張現実(AR)、仮想現実(VR)といった最新技術の導入拡大に伴い、企業が利用するデータ量は日に日に増加しており、今後もこの傾向が続くと予想されている。
「データは増加の一途をたどるだろう」とUnited Bankでメッセージングとコラボレーションを担当するウィレム・バッカス氏は語る。モノのインターネット(IoT)やARやVRなどで、かつてないほど大量のデータが収集、追跡、保存されるようになりつつある昨今、Windows 10 Pro for Workstationは極めて有用なエディションとなりそうだ。
United Bankは2019年までにWindows 10への移行を予定しており、バッカス氏はこの新エディションが大量の財務データの処理に役立つと期待している。
誤って公開されたMicrosoftのスライドによると、Windows 10 Pro for Workstationは「Workstation Mode」という機能を搭載する。高度なグラフィック処理や大量データの転送など、負荷の高いワークロードを実行する際にPCの処理能力を最適化するための機能だ。このモードを実行中にPCのその他の処理に影響が及ぶかどうかは、スライドの内容からだけでは定かでない。
調査会社J. Gold Associatesの創業者で主任アナリストのジャック・ゴールド氏によれば、Workstation Modeの実行中は一部の機能が通常通りに実行できなくなる可能性があるという。自動更新やMicrosoftへのユーザー情報の送信など、バックグラウンド処理が一時的に停止する可能性もある。
またWindows 10 Pro for Workstationは「SMBDirect」プロトコルをサポートし、CPUにあまり負荷をかけずに大量データをPC間において高速かつ低レイテンシで転送できる。
さらに同エディションはMicrosoftの最新ファイルシステム「Resilient File System」(ReFS)を搭載し、ファイル転送時にラグやエラーが発生した場合にフォールトトレランスや自動修復機能を提供する。大容量データ転送時の問題を回避することで、ReFSはファイル転送の高速化を図ることが可能だ。
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