SSDとHDDの性能とコストを徹底比較、“王位継承”は起きるのか?価格差は平行線のまま(1/2 ページ)

SSDはHDDと比べると桁違いに高速だ。データセンターではSSDの採用が増え、DRAMの導入も始まっている。それでも当面のところ、HDDは生き残っていきそうだ。

2017年08月09日 05時00分 公開
[Jim HandyTechTarget]

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 HDDは60年前からある古い方式の記憶装置だ。他の新しい方式と比べてアクセス速度が遅く性能も低いが、記憶容量当たりの価格は安い。SSDに押されてHDDは数年以内に姿を消すといわれて久しいが、2017年現在もまだ、HDD vs. SSDの議論に決着は付いていない。PCやサーバの分野では依然としてSSDよりHDDが主流であり、HDDの販売台数は2005年とあまり変わらない水準を維持している。

 なぜ市場はSSD一色にならないのか。簡単に言えば、SSDの最も有効な用途はHDDを代替することではないからだ。図1は、メモリとストレージの各タイプが構成する階層を示している。HDD vs. SSDの構図は重要だが、この階層全体の中では一部にすぎない。この構造を詳しく見ていこう。

 このグラフの横軸はギガバイト単位の価格、縦軸は帯域幅を表す。最大値と最小値の差を見やすくするために対数目盛(10の3乗=1000、10の4乗=1万……)を使っている。

 この階層の左下の先端に位置するテープは、最も低速で最も安価な方式であり、現在も広く普及している。右上の先端にあるL1キャッシュは、最も高速で最も高価だ。この両端の間に左から右へ向かってHDD、SSD(このグラフでは「NAND」)、ダイナミックRAM(DRAM)、各レベルのキャッシュが順に並ぶ。それぞれ右隣が上位で左隣が下位であり、右側より左側が低速で安価、左側より右側が高速で高価だ。

図1 図1:メモリやストレージの速度と価格の位置付け《クリックで拡大》

 アクセス頻度の高いホットデータを高速で高価なメモリやストレージへ、アクセス頻度の低いコールドデータを低速で安価なメモリやストレージへ自動的に振り分けるアルゴリズムも、この順位に沿っている。キャッシュとDRAMの間やキャッシュのレベル間の振り分けはキャッシュ管理ロジックで行う。DRAMとHDDまたはSSD-NANDの間の振り分けは、仮想メモリの実装方法であるデマンドページングのオペレーティングシステム(OS)で行う。SSDは比較的新しいため、SSDとHDDの間はOSではなくキャッシュソフトウェアが管理する。テープとHDDの間のデータ管理を自動化しているシステムはほとんどない。

 システムの価格性能比を高めるには、用意するメモリやストレージの容量のバランスが重要だ。あまり大量に用意すると必要以上にコストがかさみ、少な過ぎると性能が不足する。

DRAMの代替としてのSSD

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