賢く使用してビジネス価値を享受する
チャットbot導入で浮上する「顧客サポート不要論」は真実ではない?
企業のチャットbotへの投資は十分な効果をもたらすが、それでも顧客サービス部門は複雑な問題に対処し、顧客の言葉に共感し魅力的な意見を提供するために担当者を置き続ける必要がある。
ここ数年のAI(人工知能)の話題に関する大熱狂は沈静化する兆しを見せていない。だが、とどまることを知らぬ大熱狂の裏で、企業はAIの限界を理解し、その上で真のビジネス価値を生み出す方法が存在することに気付きつつある。
今日、企業がAIから最大の価値を見いだしている分野の1つが顧客サポートだ。チャットbotアプリケーションは、AIの中で最も成熟した分野である。AIチャットbotはビジネス価値を生み出す可能性があるが、そのためには適切な方法で導入する必要があることを企業は認識し始めた。
各種試験準備対策をオンラインで提供するMagooshの場合、顧客サポート窓口に寄せられる簡単な問い合わせに対してはチャットbotに返答を任せている。しかし、さらに複雑な問題の対応窓口として今もなおサポートチームを配置することが、同社にとっては適切なだという。
Magooshは、顧客サービス部門への問い合わせを処理するのにDigitalGeniusのチャットbotを使用している。このシステムはメッセージの内容を読み取り、用意された返答内容を提示する。内容は担当スタッフが顧客に合わせてカスタマイズしても、そのまま送信してもよい。最終的には担当スタッフの見直しを省略してシステムが自動的に応答できるようにする予定だ。
AIチャットbotは共感については対応できない
パスワードのリセット依頼など顧客からの単純な問い合わせの大部分に対しては、チャットbotによる対応が効果的な手段となる。しかし、場合によってはなお人間の力を必要とする問題がある。Magooshの学生ヘルプマネジャーであるブリアナ・カーン氏は、顧客がサービスの面で不満を感じている場面や、以前には見られなかった技術的な問題が発生した場面がそれに当たると考えている。
Magooshは1月からDigitalGeniusのシステムを使用しており、カーン氏は今後、その機能を拡張する予定でいる。しかし一方、感情的になり得る敏感な問題を処理するために担当スタッフを確実に配置することが、同社のAI活用を成功させるための1つの鍵になると考えている。
「今まで、AI活用は慎重に進めてきましたが、まだまだ理想郷に到達したような気はしません。AIと熟練のサポートスタッフ、この2つの機能を融合させることが必要だと思います」とカーン氏は語った
チャットbotはまだブランディングできるレベルには達していない
ひげそりのサブスクリプションサービスを提供するDollar Shave Clubでは、若干異なる理由によって、主にメッセージング業務にたずさわる担当者を配置している。顧客サービス用AIチャットbotを使用しているにもかかわらずだ。
同社は、4月にZendeskの「アンサーボット」というチャットbotを導入し、注文や製品の操作方法への回答など単純な依頼への返答処理に使用している。このような問い合わせに対して、チャットbotは自動的にサポートページへのリンクを送信する。
同社の顧客エンゲージメントチームのアナリティクス・インサイトマネジャーであるブライアン・クランプリー氏は、チャットbotの導入により、顧客サポートチームのメンバーの一部が、単純なメールによる返答業務よりも影響力の強い業務を遂行する時間が持てるようになったと語った。現在、メンバーは顧客からのフィードバックの成功事例を紹介する雑誌スタイルの社内報を執筆する業務に取り組んでいる。クランプリー氏は、顧客が製品をどのように使用しているかをプロダクトマネジャーが理解するのに、この成功事例が役立っていると評価している。
サポートチームのメンバーはさらに、Dollar Shave Clubのブランディングを支える業務により多くの時間を費やすこともできる。同社はポップカルチャーやソーシャルメディアのトレンドを取り入れてブランドをユニークな形で発信しようとしているが、AIがそのような発信を自然な形で再現するのは難しいだろうとクランプリー氏は言う。
また、より複雑な問題を抱えている顧客にはいつでも、チームメンバーが時間をかけて、ブランドの発言を強化する方法で対応できる。
「AIのおかげで他の分野の業務を自動化できるからこそ、われわれは顧客とこのような会話をする時間が作れます。どのような方法があるか分かりませんが、必要なときだけ都合よく自動化技術を導入できるようになるといい」と、クランプリー氏は語る。
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