社内アプリケーションをとにかくパブリッククラウドに移行すれば良い、と考える企業も少なくない。だが本当にそうだろうか。移行前に3つの質問に答えられないとその移行は間違っているかもしれない。
多くの企業にとって、パブリッククラウドは魅力的な選択肢だ。その理由は、パブリッククラウドの拡張性(スケーラビリティ)、速度、従量課金制モデルにある。だが、このメリットが全てのアプリケーションに当てはまるわけではない。事実、パブリッククラウドではパフォーマンスが低下し、コストが高くつくアプリケーションも存在する。
まずは、事前にパブリッククラウドへの移行がビジネスに価値を提供するかを検討すべきだ。具体的には、クラウドに移行する動機を理解することから始めると良い。コストを下げたいのか。柔軟性を高めたいのか。クラウドに移行すべきだと考えて移行を急いだ結果、後で問題を抱えることになる企業も存在するためだ。
移行担当者はアプリケーションをパブリッククラウドに移行するという大きな一歩を踏み出す前に、以下の3点について検討してみてほしい。
アプリケーションを評価し、パフォーマンスとコンプライアンスの両面からアプリケーションの要件を確認してほしい。そして、そのアプリケーションがパブリッククラウドに移行する候補として適しているかを判断する。それから、アプリケーションに特殊なネットワークの要件や依存関係があるかどうかを確認することも重要だ。仮に特殊なネットワーク要件があるアプリケーションをパブリッククラウドに移行した場合、システムの待ち時間(レスポンス)が問題になることが考えられる。これを解消するにはアプリケーションが依存するシステムとデータベースも一緒に移行すれば良い。また、クラウドに移行する前にアプリケーションの設計を確認することも忘れてはならない。例えば、ストレージへの書き込みと読み取りを頻繁に行うアプリケーションは、クラウドに移行することでコストが高くなる可能性がある。頻繁にシステムが呼び出されるということは、常にシステムを稼働状態にしておかなければならない。システム稼働時間が増え、稼働時間分のコストが請求されてしまう。一般的にパブリッククラウドで運用するのに適しているのは、リソースを集中的に使用したり、需要が頻繁に急増したりするアプリケーションだ。一方、状態が安定し、使用状況が予想可能なアプリケーションは引き続き社内で運用する方が良いだろう。
クラウド提供企業は、このパブリッククラウドに移行するアプリケーションの調査、検証を簡略化するツールを提供している。例えば、Microsoftの「Free cloud migration assessment」とAmazon Web Services(AWS)の「AWS Application Discovery Service」がある。アプリケーション評価だけでなくクラウドのコストを見積もる計算ツールもAWS、Microsoft、Googleは提供している。
また、選択したクラウド提供企業が、自社のセキュリティとコンプライアンスの要件を満たしていることも確認してほしい。特に厳格なコンプライアンスの基準を満たさなければならない機密データを保持している場合は、クラウド提供企業が保有しているデータセンターの場所を確認することを忘れてはならない。
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