「Nokia」ブランドのAndroidスマートフォン「Nokia 8」の仕上がりは、全盛期のNokia製品をほうふつさせる。「もう少し早く出ていれば、歴史は変わっていたのではないか」と思わせるほどだ。
Googleの「Android」を搭載するNokiaブランドのスマートフォンが、「Nokia 8」としてHMD Globalからリリースされた(写真1、国内では未発売)。信頼されてきた名前、素晴らしい技術品質、羨望(せんぼう)に値するスペック、純正Androidを1台の本体に詰め込んでいる。Googleのスマートフォン「Pixel」によく似ているが、価格は安い。こうした要素から「Nokiaブランドがトップの座に返り咲くチャンスは残っている」とHMD Globalが期待するのは当然のことだ。
出遅れたとしても、Nokia 8の方向性は間違っていない。Nokia 8は解像度2560×1440ピクセルの5.3型ディスプレイを搭載し、本体はアルミニウム製だ。QualcommのSoC(統合型プロセッサ)「Snapdragon 835」、4GBのRAM、ZEISS(Carl Zeiss)ブランドのレンズを採用した1300万画素のデュアルアウトカメラとインカメラ、3090mAhのバッテリーを内蔵する。
Nokia 8は慣れ親しんだ従来型のスマートフォンでありながら、際立った高級感を備えている。これがNokia 8の技術品質の特徴だ。Nokia 8を初めて手にした誰もが同じ結論に達することだろう。スマートフォンが採用する最も強力なアルミニウム合金は、7000番台と呼ばれるものだ。Nokia 8が採用した6000番台アルミニウム合金は7000番台よりも強度で劣るが、平均以上の強度を持っており、頑丈な印象を受けることは確実だ。
薄さはわずか7.9ミリだ。背面も前面も縁が丸みを帯びている。Nokia 8は人間工学に基づいているだけでなく堅牢(けんろう)性も兼ね備える。手の大きさを問わず、手の中にしっくりと収まる安定感がある。尊敬すべきNokiaロゴから想定されるように、Nokia 8の構造に多くの労力がかけられていることは疑いようがない。
Nokia 8は内部にも同じく素晴らしい設計が施され、独自の冷却システムを搭載する。プロセッサへの負荷が非常に高い特定のタスクには、この冷却システムが必要になる。例えばインカメラとアウトカメラで同時に録画するデュアルビデオなどのタスクが、これに該当する。このような状況で過熱を避けるために、グラファイトシートと銅管を組み合わせ、本体全体を冷却機構として利用できるような構造を採用した。これによりハードウェアの発熱量が危険領域に入らないようにして、プロセッサの性能を最大限に引き出すことを可能にした。
各種アンテナ信号用に細長いプラスチック部分があり、これがやや興味を引く。Nokia 8の上部面と下部面は、左右の側面まで含めてこのような細長い部分で覆われている。これにより落下耐性が高くなる。背面のプラスチック素材と金属素材の境目は、指先では感じられない。正面の金属部分とガラス部分も同様だ。一方の素材からもう一方の素材へと慎重に指先を移動させても、その境界は分からない。多くのユーザーは、素材が変わっていることさえ気付かないだろう。
Nokia 8のディスプレイ領域は、前面の底部まで広がっていない。最近の市場トレンドを好む多くのユーザーは、この点を気にする可能性がある。本体の高さは151.5ミリ、幅は73.7ミリだ。Nokia 8はIEC(国際電気標準会議)が定めた防水・防塵(じん)規格「IP57」に準拠している。IP57の場合、継続的に水浸した場合は内部に浸水する可能性があるが、小雨程度であれば耐えられる。
前面のディスプレイの下には、常時有効になっている指紋センサー付きの「ホーム」キーを配置している。このキーを押すとスタンバイモードから起動できる。ホームキーの左右には、背景が光っている静電容量式の「戻る」キーと「タスク」キーがある。そのため、これらのキーはユーザーインタフェース(UI)の下部領域を占領しないだけでなく、いつでも使用できる。スピーカーはディスプレイ上部にインカメラのレンズや複数のセンサーと並べて配置している。
背面の突き出た部分にアウトカメラのレンズ、LEDフラッシュ、フォーカスセンサーに加え、環境音を取り込むアンビエンスマイクの小さなくぼみがある。Nokia 8の上部面には3.5ミリオーディオジャックを用意し、下部面にはUSB Type-C端子やメインマイク、スピーカーがある。電源キーは右側面の親指の高さにあり、その上に音量ボタンがある。左側面には、nanoSIMカードとmicroSDメモリーカードの兼用スロットを装備している。microSDメモリーカードの代わりに別のnanoSIMカードも使用できる。
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