新年を機に、VDIをけん引する4つの主要トレンドをチェックしていく。ユーザーエクスペリエンスやデータ集約型アプリケーションが、VDI分野で注目を浴びている理由が見えてくるだろう。
新しい年が動き出したこのタイミングで、2017年にVDI(仮想デスクトップインフラ)分野で起こった大きな動きを振り返ってみよう。VDIの4つのトレンドは、今後もこの分野の焦点となるからだ。
こうしたVDIの主要トレンドを把握しておけば、自社の環境に求められる要件にタイムリーに対応していく上で役立つ。
良好なユーザーエクスペリエンス(UX)はユーザーの生産性を高める。企業にとっては、これはVDIのROI(投資対効果)の向上につながる。ユーザーエクスペリエンスが貧弱な場合は、誰も仮想デスクトップを使おうとしなくなり、企業の投資が無駄になってしまう。
適切なハードウェアとソフトウェアを組み合わせてVDIを運用している企業は、共有ワークロードでもユーザーに優れたパフォーマンスを提供する。こうしたハードウェアとソフトウェアには、例えば、ユーザーが行っている作業に最適化されたシンクライアントや、ユーザーの日々の業務を支援するタイプのアプリケーションなどが含まれる。
VDIモニタリングツールは、IT担当者がVDIの動作状況全体を把握し、問題を迅速に特定、解決できるようにすることで、良質なUXの実現を支援する。
多くのユーザーは、仮想デスクトップで経験している問題を説明できないため、VDIモニタリングツールは、UXを提供する上で重要だ。IT担当者は、ログインの集中によるハイパーバイザーの過負荷など、問題を特定するのにモニタリングツールを利用できる。
2017年には、VDIモニタリングツールの大手各社が製品の機能強化を進めた。例えば、Liquidwareは同社のツールの最新版「Stratusphere UX 6.0」で、アプリケーションごとのGPUの使用状況に関する指標を導入した。
グラフィックスは、もはやパワーユーザーのためだけのぜいたく品ではない。拡張現実(AR)アプリケーションから、メッセージングアプリケーションのGIFチャットまで、全ての従業員がグラフィックスや大量のデータを使いたいと要求するようになっている。「Microsoft Office」のようなアプリケーションも、今ではグラフィックスアクセラレーションを利用している。
VDI環境が高い処理負荷に対応できない場合、企業は、大部分のデータを処理できる高価なエンドポイントデバイスに投資しなければならなくなる。さもないと、システムのパフォーマンスが低下してしまう。
VDIを運用する企業は2017年に、こうした流れを踏まえ、CPUをグラフィックスレンダリングから解放するGPU技術への投資を拡大し、VDI環境を調整した。GPUはデータセンターにおいて、アプリケーションの発行や、仮想デスクトップのシームレスな実行、リソース集約型アプリケーションを使用するハイエンドワークステーションをサポートする。
グラフィック集約型およびデータ集約型のVDI環境には、適切なリモートディスプレイプロトコルも不可欠だ。優れたリモートディスプレイプロトコルは、レイテンシや競合を防止できる。
VMwareは、ポート共有機能とセキュリティ証明書の追加により、同社のリモートディスプレイプロトコル「Blast Extreme」のセキュリティを強化した。ポート共有機能は、従業員が企業ネットワークの外部から1つのポートに接続できるようにすることで、ファイアウォールの負担を軽減する。
Citrix SystemsとMicrosoftもリモートディスプレイプロトコルを提供しており、「Parallels Client」など、サードパーティーオプションも数多くある。
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