2018年度の診療報酬改定の基本方針に「働き方改革」のテーマが盛り込まれています。これを機に医師事務作業補助者(医療クラーク)の配置、活用が期待されています。
医療機関のIT化は他の業界に比べて5〜10年は遅れているといわれます。医療現場でIT製品を導入する際、スタッフから不安の声が上がるなど、多かれ少なかれ障害が発生します。なぜ、医療現場にITが浸透しないのか。その理由を探るとともに、解決策を考えていきます。
前回「2018年診療報酬改定に向けて議論進む『遠隔診療』が集患にも“効果あり”な理由」では、医療機関の“IT武装”による集患効果として「遠隔診療サービス」の活用を考えました。今回は、2018年度の診療報酬改定の基本方針にも盛り込まれた「医療分野における働き方改革」について考えます。
厚生労働省は2017年12月に公表した「平成30年度診療報酬改定の基本方針」で、「医療従事者の負担軽減、働き方改革の推進」というテーマを盛り込みました。基本方針は、医療従事者の厳しい勤務環境を問題視。医療安全や地域医療を確保しつつ、医療従事者の負担軽減、専門性の発揮を可能にするためには、柔軟な働き方ができるような環境整備、働き方改革が必要だと説明しています。
具体的な方向性として、次の5点を例示しています。
「チーム医療の推進」については、従来の医師、看護師などの専門職と、それをサポートする補助職の役割分担をどう図っていくかが重要になります。補助職には、看護補助者や医師事務作業補助者(医師と事務スタッフとの間で業務の役割分担を推進し、医師の事務作業を補助する専従者。いわゆる「医療クラーク」)を含みます。
例えば、医師事務作業補助体制加算(医師事務作業補助者の配置を評価する診療報酬の加算制度)を算定している施設を対象にした調査(注1)によれば、医師事務作業補助者を配置することで、勤務医の負担軽減に「効果があった」「どちらかといえば効果があった」と回答した施設が9割を超えました。
※注1:厚生労働省・中央社会保険医療協議会「平成26年度診療報酬改定の結果検証に係る特別調査」(2015年)による。
この結果を踏まえて2018年度改定では、さらに医師事務作業補助者の配置を評価する方向となることでしょう。
従来の医師事務作業補助者は、大学病院などで医師の事務作業を代行するスタッフを診療報酬点数で評価したものです。主な業務は、診療に関するデータ整理や院内がん登録などの統計、カンファレンスの準備などでした。
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